中日俳壇に載った江本さんの句です。
面白い句ですね。
今はトイレ。厠とは言いませんが、トイレでは句が成り立ちませんね。
厠といえば思い出すお話があります。
大昔、大阪府三島郡のセヤダタラヒメが
厠に用足しに入っていたところ、
流れてきた赤い矢が女陰(ホト)を突きました。
その矢は立派な若者となり、二人は結婚したというものです。
大昔の厠は川のうえにあったんですね。自然の水洗便所ですね。
若者は大和三輪山の神で、二人の間に生れたヒメが
ホトタタライススキヒメです。
このヒメの名は、直訳すると、
ホトに矢を立てられて驚きあわてるヒメとなると、
作家の田辺聖子さんが書いています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyoko_thunder.gif)
昔の人は、厠は異界との出入り口と考えていたようです。
今でもトイレの花子さんという子供たちの怪談には
トイレが欠かせない舞台となっています。
江本さんの句もこうしたトイレのイメージを
呼び起こしてくれます。
でも、厠のひとり言って、ちょっと不気味ですね。
遅足
農家なので、厠は母屋から離れた裏庭の片隅にあった。むろん足元も不安定なボットン便所で夜は真っ暗だった。
たまに夜便意を催すと悲劇であった。小便ならば母屋に近い庭の隅で済むのだが、大はなんともならない。付いて行って貰うのも恥ずかしいので、決死の思いで厠に行った。
やっとしゃがんで気を落ち着けると、ウシガエルの不気味な声が迫ってくる。それに気のせいか得体の知れない音や声が聞こえてくるのた゛。
あの時間の長かった事。
いつのまにか おばあちゃんの真似をして「ナンマイダナンマイダ」を繰り返していたものだ。
ウシガエル夜の厠のナンマイダ 愚足