575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

哀史の島へ   鳥野

2011年08月09日 | Weblog
念願の地、隠岐に行ってきました。加齢とともに次第に難しくなる遠出。
機会があれば逃がすわけにはまいりません。

隠岐は期待通りの、緑豊かな優しい島でした。

ここは、奈良時代からの遠流の地、天皇をはじめ公家、武将、学者など学識高い人が流されています。

配流は江戸時代まで続き、島の文化に影響してきました。

今、島根半島の先から大型フェリーで2時間40分。その昔、孤島への長旅はどんなに心細かったことか。

名物行事になっている「牛突き」は承久の乱で流された後鳥羽上皇を慰めたのが始まり。

以来、800年、神事として継承されています。

綱取りの若者たちの、巧みな綱さばきで、牛は傷つけあうことなく、勝負するのは見事。

滞在中は風が治まらず、島巡りの観光船は欠航でしたが、それなりに充実した旅でした。

  海霧(じり)消えて隠岐の島山青々し遠流の哀史いまは遠くて

                         鳥野

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昼寝覚めすることなどはあるものか   朱露

2011年08月08日 | Weblog
     昼寝覚めは夏の季語と言うまでもない。   
     することはあるがしなくても構わない。
     自分相手の約束だからしないのと同じ。
     他人と約束すると守るのが大変だから。

                



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夏空に背伸び競ひし師の訃報   結宇

2011年08月07日 | Weblog
中七をどう読むのか?
背を競い合ったのは誰と誰なのか?
句会でも、意見が分かれました。

作者の解説です。

小学校の恩師が、結構小さな女性教師でした。
小学生は、自身が小さいですから、結構なんでも
大きく見えるはずですが、
先生は、とりわけ小柄で、
よくからかったものですから・・・。

なるほど。背比べをした思い出ですね。
そういえば、私の小学生1年の担任の先生も女性、小柄でしたね。

背丈競ひし、の方が良いかな?

            

明日は立秋。
これが秋なの?という暑さです。

  秋立つや暦のなかの風の色   

結宇さんの先生は、熱中症で就寝中になくなられたと言います。
ご冥福をお祈りします。
これからは残暑。みなさん、体調には十分、気をつけてください。


次回は8月17日(水)午後1時 東鮨
題詠は「レモン」です。

                  遅足




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子供にも負けたの分る敗戦日    朱露

2011年08月07日 | Weblog
     「耐え難きを耐え」のラジオで分る。
     大人は皆泣いたが僕たちは泣かない。
     米兵が撒く菓子を群がり拾って食う。
     大人どもの一人「支那と同じだよ」。

               



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蝉が来て多米を出てけと鳴き喚く    朱露

2011年08月06日 | Weblog
    こう家が増えては人間もそう思うので、 
    先住民の蝉が頭へ来るのは当たり前だ。
    赤岩寺と団地と私の家しかなかった昔。
    僅か三十数年前とは言え私四十の若さ。

              



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扇風機抱え喜ぶ宇宙人   郁子

2011年08月06日 | Weblog
宇宙って、どこからが宇宙?
大気圏の外からが宇宙?
いやいや、地球も宇宙そのもの。
私たちも宇宙人なんです。
そんな宇宙人が、原発事故が起きたために
節電を余儀なくされる。
涼を取るために、扇風機を独り占めして、かかえている姿。
そんな自分を大きく突き放して見る眼が、
面白い句だと思います。

                   遅足


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白き手と足さばき美し藍浴衣 値遇

2011年08月05日 | Weblog
足さばき美し、が良いですね。
美しい大人の女性では・・・と想像してしまいます。

白い手足のさばきが美しい姿を詠んだのではないでしょうか。
上五と中七が切れているように読めてしまうのが、
ちょっと残念です。

足さばきとは、武芸や芸事での足の動かし方、
と辞書にありますが、
たしかに足腰がしっかりして、
背骨がしゃんとしていないと
美しく踊ることが出来ません。

踊り方だけでなく、立ち居振る舞い、
さらには生き方もしっかりした人を想像します。

                 遅足


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蚊が消えて羽音懐かしむず痒し   朱露

2011年08月05日 | Weblog
    ふと気がついたら蚊が居ない夏だった。
    蚊は雌しか刺さないというのが憎いね。
    どこへ行けば雌の蚊に会えるのだろう。
    男のかは何を吸って生きているのかな。

              



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米兵が土足で上がるあの夏の    朱露

2011年08月04日 | Weblog
      横須賀へ上陸したアメリカ占領軍。
      水兵が二人土足で我が家へ上がる。
      私が裸足の足を見せてノーと言う。
      セーラーども黙って外へ出て行く。

               



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浴衣着て母の手逃る(のがる)宵の宮  結宇

2011年08月04日 | Weblog
本祭りの前夜が宵宮。
境内には夜店が軒を並べています。
夕暮れ時、あの懐かしい灯のなかへ。
子供は100円玉を握り締めて駆け出していきます。

まだ母の手を引いていないと心細い男の子。
しかし、そんな子が逃れるように母の手を振り切って・・・
男の子が母親から独り立ちしていく姿にも見えます。

韓国ドラマの「王と妃」を見ていますが、
鉄の女といわれた母から、独り立ちしようとする
若い王の苦悩が描かれています。
嫁と姑の権力争い・・・
どうなって行くのかな?
そういえば、最近の日本では嫁と姑の争いは
話題になりませんね。
三世代家族から核家族への移行してしまったのかな?

                     遅足




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原爆忌グラマンの兵既になし    朱露

2011年08月03日 | Weblog
     マッチ箱ぐらいの爆弾で広島が全滅、
     という言い方で子供も大人も話した。
     私を狙ったグラマンの兵士も死んだ。
     私は当時11才、もう少し生きるぞ。

                



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初めての少しはずかし浴衣かな  狗子

2011年08月03日 | Weblog
女性から、少女の頃を思い出しました、という声。
作者によると、娘を持った父親を詠んだ句だそうです。
娘の初めての浴衣姿を見る父。
娘のはずかしさが感染してしまったのでしょうか。
私は、男の子しかいないこともあって、
父と娘の間の微妙な感情は、ちょっと分かりません。

これまで子供とばかり思っていた娘。
浴衣姿に“おんな”を感じてしまったのでしょうか?
そんな自分に少しドギマギしてしまったのかな?

はずかし、は、誤解を招くような気もします。

  初めての少しまぶしき浴衣かな

  初めての娘の浴衣まぶしくて

                  遅足
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秋に替わります   鳥野

2011年08月02日 | Weblog

 ・ のうぜんの幾度となく花ざかり 今井つる女

 ・ 塵取にのうぜんの花と塵少し  高野素十

夏の一日を咲き盛り、惜し気もなく散り果てるノウゼンカズラ。
あの鮮やかなオレンジ色の花群れとも、ぼつぼつお別れ。
数日で、季語も秋に替わります。

花の中には、朝咲いて夕べには散るという一日花も数多く、その潔さ、果敢なさが、
愛でられてきました。

芙蓉、朝顔、木槿、夏椿など。
中でも、夏椿は別の呼び名で「沙羅」。平家物語の冒頭に出て、諸行無常の象徴にされています。

 ・ 風ならぬ風の吹くらし夕然りて沙羅の白花また一つ散る

                       鳥野 
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藍染の浴衣の素足ほの白き    能登

2011年08月02日 | Weblog
この句も盆踊りでしょうか。
あるいは、夏祭りでしょうか。
藍の浴衣からのぞく素足の白さ。
清潔な色気が感じられます。

ただ、ちょっと類想句がありそうですね。
白い、という形容詞を禁じ手にして、
足の姿を細かく観察すると、
類想から脱することが出来ると思います。

                 遅足
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昼寝して損をしたのかしないのか    朱露

2011年08月02日 | Weblog
     こういうことを考えるのをヒマ人と言う。
     永年の努力が実って遂にヒマ人になった。
     何とヒマ人になるのに七十五年かかった。
     昼寝は夏の季語、そんな事どうでもいい

                
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