・ のうぜんの幾度となく花ざかり 今井つる女
・ 塵取にのうぜんの花と塵少し 高野素十
夏の一日を咲き盛り、惜し気もなく散り果てるノウゼンカズラ。
あの鮮やかなオレンジ色の花群れとも、ぼつぼつお別れ。
数日で、季語も秋に替わります。
花の中には、朝咲いて夕べには散るという一日花も数多く、その潔さ、果敢なさが、
愛でられてきました。
芙蓉、朝顔、木槿、夏椿など。
中でも、夏椿は別の呼び名で「沙羅」。平家物語の冒頭に出て、諸行無常の象徴にされています。
・ 風ならぬ風の吹くらし夕然りて沙羅の白花また一つ散る
鳥野