575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

ホームレス歌人のいた冬(三山 喬・著)を読んで   遅足

2011年08月21日 | Weblog
遅ればせながら、ようやくこの本を読みました。

(柔らかい時計)を持ちて炊き出しのカレーの列に二時間並ぶ
                    (ホームレス)公田耕一

2008年に朝日歌壇に登場したホームレス・公田さんの歌。
旋風を巻き起こした公田さんは、一年足らずで、
朝日歌壇を去っていきました。

公田さんとは、どんな人なのか?
フリー・ジャーナリストの三山さんが、
横浜のドヤ街などで、公田さんを探した記録です。

かっては、日雇い労働者の町だったドヤ街が、
今は、福祉で生きる老人の街となっていることなどが
紹介されていました。

結局、公田さんは見つからなかったのですが、
十分に読み応えのある一冊でした。

なぜ歌をつくるのか?

人は絶望的な苦境に立たされると、心に蓋をしがちになる。
だが、それは希望をも遠ざけてしまう自己防衛である。
それでも、傍らに「表現」という自己確認の手立てがあれば・・・
そういう行為があれば、極寒の路上でも孤独な独房でも
人は自分のまま生きていくことが出来るのではないか。

三山さんが辿りついた結論です。

ドヤ街で俳句をつくっていた人も紹介されています。

  曼珠沙華母に詫びいる般若波羅蜜多  はじめ

俳句をつくることは、時に苦痛でもあるのですが、
作っている時は、たしかに自分自身であることが
出来るわけです。
そんな不幸にして幸せなことはないのでしょう・・・



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電線の幽かに揺れて秋の声    朱露

2011年08月21日 | Weblog
    二階南の部屋の目の前に電線が走る。
    電信柱の太い線から別れる細い線だ。
    言い方は幼稚だが言う意味は分るね。
    朝七時前なので秋の声も大いばりだ。

            

   秋の声「山川、天地、どこということなく
   聞こえてくるように感じられる秋の無韻の響き」
   と、歳時記に。

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