575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

涅槃図のなかを急げる蝸牛     遅足

2013年03月15日 | Weblog
涅槃会とは、お釈迦さま入滅の日。旧暦の2月15日。
お寺では「涅槃図」が掛けられ、法要が行われます。
新暦に変って、月遅れの3月15日に行われるところもあるそうです。

先日、京都の黒谷・真如堂で大涅槃図を拝観しました。
とても大きな図で、猫はもちろん、蝸牛や百足の小動物、
さらに鯛など魚類も描かれていました。

涅槃図の多くには猫はいません。
経典を鼠から守るために日本にやってきた猫なのに。なぜ?
様々な説明がなされています。
その中のひとつは、鼠はお釈迦さまの使いとされているためとか。

拝観料を払うと、オマケ(?)に頂いたのが『花供曽(はなくそ)』。
本尊にお供えした鏡餅を小さく刻んで焼き、黒砂糖をからめたもの。
これを頂くと無病息災で過ごせるとか。
さっそく頂ました。
無病息災はとても素朴な味でした。

  不機嫌な猫が通るや彼岸寺    遅足


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龍宮   麗

2013年03月14日 | Weblog
昨日の毎日新聞夕刊に、岩手県立釜石高校の照井葉子先生の俳句集「龍宮」が紹介されていました。

震災後は体育館暮らし。俳句なんて詠んでいう場合じゃなかったそうですが、次第に言葉が浮かんだものをメモしていたそうです。

     なぜみちのくなぜ3・11なぜに君

荒廃した景色に季節は感じられなかったので季語のない句が多いそうです。

     春の星こんなに人が死んだのか

震災当日の真っ暗な夜空に見たことのないほど美しい星空がひろがっていたそうです。

     毛布被り孤島となりて泣きにけり

体育館で親とはぐれた生徒のすすり泣きが聞こえたそうです。孤島という表現がせつないですね。


句集の「龍宮」は、犠牲者が海の中で龍宮城のような場所で幸せに暮らしているようにとの願いを込めてつけられました。

最後に2年目の節目に詠まれた句です。

     三月を喪(うしな)ひつづく砂時計


実際に被災された方の俳句を読むと胸がしめつけられて苦しいのですが心の復興の様子が少しでもこれから俳句の中に生まれればと願います。合掌。
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午前二時侵略のごと牡丹雪    狗子

2013年03月13日 | Weblog
真夜中の空から牡丹雪が降ってきます。
昔、遊んだインベーダーゲームのような雪が次から次に。
それを天からの侵略と詠みました。
なにか起こりそうな気配のする、ちょっと怖い夜の雪です。

天上から戦死した若者たちの魂が降りてくると詠んだ句もあります。

   英霊たちのタラップとなる春の雪  栃窪浩

雪は天のメッセージを運んできます。
それは心の奥に隠されてきたメッセージでもあるようです。
 
                            遅足
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句会近づく      遅足

2013年03月13日 | Weblog
今回の題詠は「彼岸」。彼岸会、彼岸寺、彼岸桜など。
春分の日がお彼岸の中日、その前後一週間を彼岸と言います。
秋にも彼岸がありますが、俳句では彼岸といえば春彼岸をさします。

お寺では彼岸会が行われ、お墓参りをすることになっています。
とくに中日には、名古屋の平和公園も墓参りの車で渋滞します。

彼岸会といえば、子供の頃に父に連れられて行ったような気がします。
境内にお店が出て、涅槃図などの拝観もあったような・・・

彼岸といえばこの句。

  毎年よ彼岸の入に寒いのは

子規の句です。前書には「母上の詞自ら句になりて」とあります。
つまり、母親との会話をそのまま五七五にしたもの。
牡丹餅も彼岸のもの。

  牡丹餅に夕飯遅き彼岸かな 虚子

  尼寺や彼岸桜は散りやすき 漱石

与謝野晶子は彼岸桜の歌。

  わが庭の彼岸桜は巡礼のむすめの如し風吹けば泣く 晶子

私が一番共感したのはこの句です。

  月日過ぎただ何となく彼岸過ぎ   富安風生

老境モードに入ったのかな?
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ネコが生れるやも   鳥野

2013年03月12日 | Weblog
575の会のブログで、待ち受けてくれている
ネコのあどけなさ。
この頃を過ぎると、そろそろ個性発揮です。

うちのコ、姉貴はプライド高きお姫様、気に入
らなけば容赦なくネコパンチが飛ぶ。
チビは物ごころつかないうちに捨てられて、自
閉症気味。拒食症で何度、クリニックへ走った
やら。

「ネコを飼う」というのはネコに飼われる、と
いうこと。納得です。


かつてエジプト王朝では、ネコはバスト神と崇め
られた聖獣。神殿跡にはレリーフが残り、共同墓
地も発掘されています。
やっぱりネコは只モノではないらしい。

 ・ やがての日ネコになりたい猫柳  鳥野
        





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春の雪瓦礫の山を匿(かく)せずに   静荷

2013年03月11日 | Weblog
あの大災害から2年です。
被災者のための公営住宅、2万4000戸を建設予定。
しかし完成したのは84戸。復興は遅々とした歩みです。
日本は、格差の構造を改善するのではなく、拡大していくようです。

「お腹に鉛が入ったようだった」
事故当時、原発で働いていた人が、
弁が開かずメルトダウンしかないと判った時の言葉です。
2年経って、ようやくテレビの取材が可能になったのです。
福島の原発事故は、何も変っておらず、危険は去っていません。

なぜ事故は起きたのか?
原因の究明が行われ、対処法が確立して、再稼動が最低の条件。
しかし事故は想定外と、責任を逃れようとする人たち。
2基の原発は稼動、他の原発の稼動を求める声も。

「痛みと苦しみから人は強くなる」
ドイツからボランティアに参加した若者の言葉です。
とても意味の深い言葉だと思いました。
そんな様々なことを思わせる句です。

      
三寒四温。我が家のサクランボが花を咲かせました。

                     遅足

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春のゆきはしゃぐ手手手手通学路    智恵

2013年03月10日 | Weblog
新趣向の表現、情景が見えてきます、と鳥野さん。

子供の頃は雪が不思議でした。
まるで天上世界でお祭があるようです。
そのお祭に参加するように子供たちの手手手が雪を追っています。
メルヘンチックな句と読みました。

                      遅足
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重くなりふるえる相傘春の雪   能登

2013年03月09日 | Weblog
この春の雪はぼってりとした牡丹雪でしょうか。
相合傘で歩く二人。
次第に傘が重くなり・・・
遂に傘をもつ手が震えてきます。
この二人、一体、どんな関係なんでしょうね?

名古屋では黄砂が降り、春本番のような暖かさ。
それなのに北海道などでは吹雪。
北国の方々は、まだまだ雪に苦労されています。
外出時には十分気をつけて下さい。
                   遅足

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緊張の試験の朝に春の雪  すみ

2013年03月09日 | Weblog
入学試験の朝。雪が・・・・
足元に要注意。
雪は天からのメッセージです。
できれば応援のメッセージであってほしいもの。

このところの暖かさで、さくらんぼの花が開き始めました。
蜂などの昆虫が飛んでこないと、実が出来ません。
去年、梅の実がとても少なかったのは花の咲くのが早すぎたため。
今年もまた?と心配です・・・

               

ところで「俳句開眼100の名言」を読んでいたら、
助詞の「の」のチカラ、という項目がありました。

  湯ざましが出る元日の魔法瓶   池田澄子

大晦日に入れたお湯が、湯ざましになっていたという句。

  元日や湯ざましの出る魔法瓶

と比べると魔法瓶のニュアンスに違いがあります。
元日だけの特別な性格を与えられた魔法瓶のように感じられます。

                           遅足


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肩越しに探す合否や春の雪   立雄

2013年03月08日 | Weblog
大学入試の発表でしょうか。
沢山の受験生や親、先生たちが詰め掛けます。
そして、発表を今か今かと待っています。
やがて受験番号が張り出されると・・・
悲喜交々の風景が繰り広げられていきます。
そんな中で、肩越しに自分の番号を探す姿。
いつの間にか雪が降ってきます。

この句のケースでは合格ですね、と静荷さん。

          

我が家の紅梅も咲きました。    遅足

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梅は咲いた   麗

2013年03月07日 | Weblog
おととい啓蟄の日に我が家の梅がようやく開花。
虫たちだけではなく植物も動き出しました。
例年のことですが冬眠中の我が母も散歩に出かけ始めたとのこと。
恐るべし啓蟄です。

アメリカでは株価が市場最高値を記録したとか!
またバブルがやってくるのでしょうか?
今日も暖かなお天気。梅見に近くの神社に出かけてきます。


    啓蟄を迎えすべてが動き出し   麗
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つぶらなる光のなかの四温かな     遅足

2013年03月06日 | Weblog
先日、東山動物園に行ってきました。
三寒四温の四温の一日。
ゴリラの赤ちゃんが可愛かったです。
もうすぐ象の子供も一般公開されます。
楽しみです。

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ネコのお出迎え   鳥野

2013年03月05日 | Weblog
どなたの配剤か、575の会のブログを開くと
いきなりネコのお出迎え。
その可愛いこと、楽しみが増えました。

当方、縁あってノラを保護したのは、25年ほど
前のこと。
その後間もなく、更に1頭加わって、姉と弟に。
おネーは生後6ヵ月ほどの可愛い子ネコ、チビ
は獣医さんの推定で、生後10日ほどとのこと。
体重190グラムで、目は開いておらず、耳も
ふさがったまま。まるでネズミの子のようでし
た。
「骨格がしっかりしているから、育ちますよ」
と、請け合ってもらって、2時間おきの哺乳開
始。
チンチラハーフの気難しい先住さんと甘ったれ
の新入り。軋轢は絶えませんでした。
そのコたちが、ともに23年間を生きて、誘い
合うように逝こうとは。

躾けなんてどこ吹く風、やりたいこと何が何で
もやる、気が向かない事には振り向きもしない
・・・、夫婦ともども、ネコに教えられたこと
は山ほど。生き方の教本でした。

何はともあれ、もうネコとは暮らせない。
心に決めた日々です。

 ・ ノラ猫のるの字で眠る春の昼  鳥野

 
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まあだだよ枝に蕾に春の雪    晴代

2013年03月04日 | Weblog
花開く準備は万端整いましたのに、と鳥野さん。
いきものへの愛情を感じました、と立雄さん。

雪に首をすくめているのは梅の花ばかりではないようです。
作者はスランプだそうです。なかなかトンネルの出口が見えません。
そんな気持ちが「まあだだよ」に込められているとか。

春の雪はすぐに溶けていきます。
スランプ脱出も間近いでしょう。
                      遅足
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バス停に帰り待つ子や春の雪    結宇

2013年03月03日 | Weblog
バス停で誰を待っているのでしょうか?
お母さんでしょうか。
そんな子供に春の雪がやさしく声をかけているようです。
春のようなお母さんでしょうね。
私は男の子をイメージしました。

今日は雛祭りです。雛祭りといえば桃の花です。
しかし旧暦の3月3日より一ヶ月ほど早いので無理ですね。
我が家では、ようやく梅の花が三分咲き。

この句、3月3日と読むと、また新しい物語が始まります。
お母さんを待っているのは女の子。
遅い夕食をすませて雛祭りを祝う母子。
春の雪はまだ止んでいません。

名古屋では、春の雪を楽しむことが出来ますが、
北日本では怖ろしい魔物となり、亡くなった人も。
とても同じ日本とは思えません。
この辺りに京都を中心につくられた季語の限界を感じます。

                      遅足


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