575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

蜜柑剥く指に力を集めつつ   遅足

2013年11月14日 | Weblog
蜜柑の季節になりました。
母の家にも蜜柑の木があり、今頃は実がたわわになっていることでしょう。
生前、母が通っていたリハビリセンターにハンサムな理学療法士さんがいました。
「美味しい蜜柑ですね」と褒められたことがあり、
それ以来、母は蜜柑の成り具合を気にかけていました。

実を捥ぎに行くのはちょっと危険。
転倒すると大変だから自分で取っちゃダメ、と忠告していましたが・・・
リハビリに通う前日、一人で取って持っていきました。
きっとあの療法士さんにあげたのでしょうね。

母亡きあと、わが庭に植えた蜜柑、今年は去年より少し多い実をつけています。
ひとつ試食してみました。
皮が厚いので知らず知らずのうちに指に力が・・・




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銀杏焼く国を憂ふる話して      遅足

2013年11月13日 | Weblog
句会がちかづいてきました。
今回の題詠は「銀杏(ぎんなん)」です。
「銀杏(いちょう)の実」でもOKです。

名古屋大学の構内に銀杏並木があります。
数年前までは落ちた銀杏を拾っている姿をみました。
私も10年以上前にはよく拾って食べました。
今年は銀杏が地に落ちたまま、異臭を放っていました。
拾う人が全く見当たりません。

銀杏は「鴨脚樹」とも書きます。
確かに葉の形が鴨の足のようですね。
酷暑が長く続いたためか、鴨の足も小さいようです。


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泪目をして   鳥野

2013年11月12日 | Weblog
秋刀魚が店先に並んでいます。
細身の体型、プラチナの輝き、雌の口もとの鮮やかな
オレンジ色。美しさに惹かれます。
手ごろな値段、栄養価抜群、よく売れています、と店
主。

地球温暖化の影響で、海水温度が上昇し、超不漁の予
測も出ていましたが、南下は順調。水産庁は昨年の2
倍はと発表しています。

「あわれ秋風よ こころあらば伝えてよ・・・」とう
たったのは、佐藤春夫。
「さんまは目黒に限る」と宣うたのはお殿様。
話題は沢山だけど、水揚げで活気を競っていた漁港が
並べて被災というのは、哀しい。女川、気仙沼、大船
渡、宮古、小名浜、釜石などなど。東北がんばれ。


  ・ 初さんま泪目をして売られけり  鳥野
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木犀の散る金色の音のなか     遅足

2013年11月11日 | Weblog
旧暦では、一年を二十四の節季とし、さらに各節季を三分割。
七十二候に分けています。

立冬は二十四節季の一つ。7日から21日まで。
それをさらに、初候、次候、末候の3つ候に。
初候が7日から今日、11日までです。

物の本によれば、山茶花が初めて咲くとされています。
我が家の山茶花も咲くころですが・・・
まだ花を見ていません。ちょっと遅れているようです。

山茶花とならんでいる木犀の花盛りはあっという間でした。

今年の冬はかなり寒いという予報。
寒気団がやってきたようです。
風邪を引かないようにしましょう。
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「?」        遅足

2013年11月10日 | Weblog
夢も又
夢を見るのか

渡邊那智子さんの詩です。
ああ、夢でよかった!と思ったらまだ夢の中だった・・・
ちょっとコワイお話ですね。

小説の題は問。
詩の答えは題、と言います。
この俳句より短い詩の題は?

「花」です。

花なら、ありそうなかな?と納得してしまいます。
コワイ夢ではなく楽しい夢だと思います。

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喪へばうしなふほどに降る雪よ    照井翠

2013年11月09日 | Weblog
作者は1962年、岩手県花巻生まれ。
東日本大震災の体験をベースに、
数多くの心に沁みる句を詠んでいます。

  双子なら同じ死顔桃の花

最近、亡くなった人達がよく夢に。
それだけ私も死に近づいたのでしょうか。
花火に強くひかれるものがあります。
私がびっくりしたのは花火の句です。

  大花火蘇りては果てにけり   

一瞬に開いて消えてゆく花火。
その花火を一つの命の連続として捉えているのに感心しました。
一つの命が生と死を永遠に繰り返す。
そんな死生観がある種の救いのようにも感じます。

昨日北海道に初雪が。東北にも雪が近づいています。

                     遅足



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厄介ないのち遊ばす冬の蝶   橋石

2013年11月08日 | Weblog
英文学者でもある作者60代の作。

喜びも歎きも安らぎも苦しみも病み衰えまでふくめて
一切にあそぶことを願ってきました。
ここでいう遊びとは囚われない心ざま、と句集「荒栲」のあとがきに。

命はやっかいなものという感じ方が少し分かってきました。
死ぬのも一仕事といった母の言葉も思い出します。

作者は90歳まで長生き。こんな句も残しています。

  黙る時最も秋の風なりけり

  千枚の舌めらめらと秋の風

遊びだから一生懸命に、と言った大先輩もいました。
一生懸命に遊びたいものです。

                    遅足


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山茶花の散りて咲きゐしこと知りぬ    稲畑汀子

2013年11月07日 | Weblog
家の近くを散歩していると、道に山茶花が・・・
見上げるともう咲いていました。
一週間ほど前のことです。

  山茶花の咲きはじめとは散りはじめ   遅足

こんな句がふっと口の端に・・・
きっと稲畑さんの句がインプットされていたのでしょう。

  ふと咲けば山茶花の散りはじめかな   平井照敏

あるいは平井さんの句だったかも知れません。

  山茶花の毎日咲いて散りにけり     平間裕子

山茶花は、散っては咲き、咲いては散る。
長い冬の間を彩ってくれます。

今日は立冬。
我が家の山茶花もまもなく咲いてくれそうです。

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一対一古人と古酒を酌み交わす 遅足

2013年11月06日 | Weblog
古人には故人という意味もあります。
これまでの出会った方々の多くが故人に。
一対一で話し合ってみたいのは父です。

父が亡くなってもう20年以上が経ちます。
歳を重ねるにつれ、もっと聞いておけば・・・と
悔む気持ちが大きくなっています。

その一つが母に遺した言葉。
死期を悟った時「これであちらに行ける」と言ったそうです。
この言葉にはどんな意味があったのか?

あちらに行って古酒を酌み交わしながら・・・
と、思うこの頃です。

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オ葉ツキもあって   鳥野

2013年11月05日 | Weblog
秋の陽光を独り占めするかのように、耀くイチョウ。
その落葉が始まるころ、銀杏の便りが届きます。
翡翠のように美しく、味も歯ざわりも最高。栄養も
たっぷり。料理の幅も広いというのに、主婦には敬
遠されがち。
その原因は手間がかかるということでしょうか。

内種皮は金槌で叩き割らねばならぬ程に固く、外
種皮は近寄り難い悪臭。とにかく手強い相手。

裸子植物イチョウ網の中で1族1種。生きた化石と
して永らえるための、完全武装なのかもしれません。

イチョウの中には、葉の上に実を結ぶという変種も
あり、「オハツキイチョウ」と呼ばれて、珍重され
ています。
扇型と思える葉に守られた、可愛い銀杏。古来から、
子宝祈願に霊験あらたか。国の天然記念物に指定さ
れている樹もあちこちに。


 ・ 銀杏を焼きてもてなすまだぬくし  星野立子

 ・ 銀杏が落ちたるあとの風の音    中村汀女
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対酌の杯を重ねる古酒の宴    狗子

2013年11月04日 | Weblog
東北の楽天が巨人を破って日本一に。
球団創設9年目だそうです。
テレビで優勝の瞬間をみていました。
観客の涙を見るのは初めて、こちらも思わず涙でした。

この句、二人酒を詠んでいます。
秘かなる楽天ファン二人が杯を重ねて、とも。
男同士なのか?あるいは男女なのか?
日本酒か?ワイン?やはり日本酒が良いですね。

その日本酒。
若者の日本酒離れから、生産量は年々減少。
このままでは日本酒は消えてしまうのでは・・・
と心配する向きも。

そこで日本酒を外国に売り出そうという試みも。
欧米の人を中心に一定の評価を受けているそうです。
日本の若者に見放された日本酒。
アメリカなどで人気を得れば、また・・・
というのも夢ではないかも。

古い都ながら新しいことに挑戦する京都。
伏見には、外国人の杜氏さんもいるとか。
またアイスクリームにお酒をかけて食べさせるお店も。
新しい風も吹いているようです。

楽天日本一おめでとうございます。
星野監督もついに日本一。心の中で乾杯。

                     遅足





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フクシマをよそ眼で見つつ古酒を酌む    能登

2013年11月03日 | Weblog
事故から3年近く経ったフクシマ原発。
事態は一向に良くなっていないそうです。
被曝量が限界に達したベテランが現場を去っていきます。
東電の社員も、若い人がやめて士気が低下。
なにも知らない作業員が増え、初歩的なミスも。

貯水タンクなども急ごしらえで、汚染水対策は後手後手に・・・
もはや利益を優先する一企業に任せておくと危険な状態だとか。
国に対策を最優先しようとする気迫は感じらません。

私も当初は大変だ、と危機感を持っていました。
しかし、いまでは慣れてしまって・・・
よそ目で見ているだけです。

そんな気分を隠すことなく詠んだ一句です。

                     遅足



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ポツリ立つ酒屋の棚に古酒の瓶    すみ

2013年11月02日 | Weblog
町はずれの居酒屋。銘柄を選ぶまでの、至福、と鳥野さん。
私は全くの下戸で四苦八苦。酒屋では古酒の瓶は少なくてその感想です、と作者。

お酒は昔は陶器の壺に量り売りでした。
今のような瓶詰めが出回るようになったのが明治。
一升びんが開発されたのは明治も末のころだそうです。

明治は、お酒を取り巻く環境が大きく変わった時代。
一番大きな変化は、お酒が自由に造れなくなったこと。
政府が税収を図るために酒に課税。
ひろく行われていた自家醸造は密造とされ取締りの対象に。

飛騨の白川村のどぶろく祭が有名ですが、
これは、例外として許可されたものだそうです。

                      遅足


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来し方を映し溶かして古酒の味   郁子

2013年11月01日 | Weblog
これは独酌の句でしょうか?
なみなみと注いだ杯。ぐいと呑み干す。
杯を重ねてゆくと・・・
心のスクリーンに来し方が、次ぐ次と映し出されて・・・
憂さを溶かそうと・・・さらに杯を重ねる。

  お酒は憂さを払う玉箒

お酒には吟醸酒、純米酒などがあるそうです。
なかでも吟醸酒は4割以上精白した白米が原料。
華やかな香りと淡麗ですっきりした上品な味わいが持ち味とか。
この句のお酒は吟醸酒が似合いそう。

                       遅足

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