575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

初句会の投句が集まりました。      遅足

2014年01月15日 | Weblog
1月句会の題詠は「初」です。14句が集まりました。

題詠「初」

①初明りそっと私を包み込む
②城下町金の初日に染められて
③初夢はなすびと決めて床に就く
④初句会ペン胼胝(ダコ)薄く当たるかな
⑤初詣で御神酒にほのとそまる頬
⑥携帯に拝す四角の初日の出
⑦読初や光君(ひかるきみ)への恋あらた
⑧初夢や国境のなき世界地図
⑨初仕事焚火の曲を流しゆく
⑩手を清め大樹を撫ずる初詣
⑪大寒の中へ初めの一歩かな
⑫着膨れて二礼はできず初詣
⑬拝まれて素知らぬ顔の初日の出
⑭馬暦初記入すは回収日

 
自由題
   
①南天に群がる鳥の年賀かな
②嬰の役演じる赤子明の春
③雪ふわと日射しもふわと年の暮
④百人に百の天運龍の玉
⑤新成人お砂糖まぶして湯気の中
⑥冬晴れや鯱も御殿も黄金色
⑦除夜一人数へあぐねて百八つ
⑧家族看て最後の風邪は我に来る
⑨女正月自分のために豆を煮る
⑩炭爆ぜて長い沈黙許そうか
⑪駅伝や「たすき」は死語にあらずして
⑫凛として早咲きのうめ紅ひそか
⑬放れ牛群れる冬空バベルの塔
⑭無人島白波の縫うリアス湾


今日はどの句に風が集まるのでしょうか?
楽しみな句会です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

塩市? 飴市?  鳥野

2014年01月14日 | Weblog
歳時記を何気なく繰っていたら、新年の項で「松本
塩市」に出会いました。
塩市というのは珍しい、早速、地元の人に尋ねてみ
ました。
今では、塩市ではなくて「飴市」と言い、数多くの
出店が並び、楽しいお祭りになっているとのこと。

ことの起こりは戦国時代。今川氏の戦略で塩の供給
を絶たれた武田氏側の領民に、塩を送った上杉氏の
義挙を讃えた祭りと伝えられています。

塩の到着が1月11日。明治の頃からは、塩が飴に
なり、日時も人出の多い春になったようです。

生活に欠くことの出来ない塩。海のある国から、山
国へ、主要な「塩の道」が設けられ、現在もその足
跡が残されいます。
謙信勢が通った道は、糸魚川から信濃への「千国街
道」か。
小谷村には牛方宿が、大町市には塩の道博物館もあ
ります。

 ・ 牛の去ぬ牛方宿に塩の冷ゆ  鳥野

 
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お日様に隠れて乙女椿咲く    遅足

2014年01月13日 | Weblog
年の暮れに怪我をした鳩が我が家の庭に現れました。
お正月の間に姿を見せず、どこかで死んでいるのか?
と奥さんと話していました。

庭の掃除をしていたら突然バタバタという音・・・
あの鳩でした。
まだ怪我は癒えていませんが、元気な様子にほっとしました。

山茶花の紅と白が今盛りです。
椿や蠟梅もようやく咲き始めました。
梅の蕾も少し膨らんで・・・春を待っています。

乙女椿はなぜか、お日様のあたらない北側から咲きはじめて・・・


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

冬枯れや天文小僧泣きっ面  狗子

2014年01月12日 | Weblog
「退職したら何をしたら良いでしょうね?」
後輩から聞かれたことがあります。
自由になったら何でも出来そうですが、何をするのか?
案外、難しいのかも知れません。

子供の頃に好きだったことに再挑戦ということも。
天文小僧とは、子供時代に好きだった天体観測に身を入れる大人のこと。

お金も自由になりますから飛びっきり高価な天体望遠鏡を手に。
夜空を眺める。
この句は、そんな俄か天文小僧を詠んだものだそうです。

                       遅足


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

冬枯れの枝見上げれば青い空    すみ

2014年01月11日 | Weblog
葉が落ちていっそう広がった空、色も際立って 、と鳥野さん。
とても素直な気持ちのよい句です。

  湯たんぽの残り湯日毎ぬるくなり

同じ作者の句です。

作者のアンテナは、日常の小さなコトやモノに敏感です。
俳句をつくろうとして、改めて気のつくこと。
575の17文字にすることで小さな詩が生まれ、
こころのアルバムの写真が増えていきます。

                      遅足
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

黒焦げのピザとタバスコそして冬  えみ

2014年01月10日 | Weblog
目の前にあるのは、黒焦げのピザとタバスコ。
自分でつくって失敗したピザでしょうか?
それとも宅配のピザでしょうか?
気が付けば季節は冬がやってきたところです。

作者はなにも言っていません。
モノが示されているだけ、解釈は読者にゆだねられています。
私は、日常にあるちょっと寂しい気分を感じます。

                      遅足



コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お屠蘇の話   麗

2014年01月09日 | Weblog
以前にもこのブログでこの話は書いた事がありますがお許し下さい。

新年も9日目ともなりますとすっかりお屠蘇気分も抜けましたと言ったりしますが、
最近はお屠蘇そのものを知らない若者が増えてきたようです。
年末にスーパーのみりん売り場に行きました。屠蘇散がなかったのでアルバイトらしき若者に
「お屠蘇はありますか?」と屠蘇散がどこにあるかを聞きましたら
「???なんですか?それ?」と全く話が通じませんでした。どうやら初めて聞く言葉だったようです。

私は5年くらい前に大学で教えていた経験があるのですが、大学生に「お屠蘇を知っていますか?」と尋ねたら
約8割の学生が知りませんでした。
そして「お正月にお屠蘇を飲んだ人?」と聞いてみたら、100名中お屠蘇を飲んだ学生は
たった1人でした。
核家族の影響か、漢方くさい匂いが敬遠された結果か、また屠蘇器が一年に一度お正月にしか使われないからか
日本のお正月からお屠蘇は消えつつあるようです。

そもそもお屠蘇は中国から平安時代に日本に伝わり貴族の儀式となり江戸時代に一般に広まったと言われています。
お屠蘇の屠という漢字は「打ち負かす」とか「敵を破る」という意味があります。「蘇」という字はよみがえるという字なので、お屠蘇には邪気を退治し心身をよみがえらせる。つまり無病息災や長寿を願う気持ちが込められています。年の初めの縁起ものですね。

年末にみりんを買うと屠蘇散がおまけとしてついてきますよね。
山椒、桂皮、肉桂(にっき)など数種類の生薬を合わせたものが小さな紙パックに入っていてそれを大晦日の晩、みりんやお酒に浸しておいて元旦に頂きます。
お屠蘇は若い人、つまり年少者から順番に頂くという風習もあります。これは若者の精気を年長者に渡す意味があるそうです。

さて、今年のお正月。我が家に大学生の姪がふたり泊まりにきてくれました。
やはりお屠蘇を飲んだことがないというのでこれは叔母として、ニッポンの伝統を知らしめなくてはいけない。そうおいしい物ではないけど縁起のいいものだからと飲ませました。
姪っ子たちは「苦手」とか「匂いがダメ」とか言っていましたがまあ良い経験になったと思います。去年、和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたことにはお正月などの年中行事との密接な関係があります。新しい年になり、お雑煮やおせち料理を食べることは、家族のきずなを認識する良い機会です。お屠蘇も食べ物ではないけれどお正月の貴重な文化として受け継がれて行って欲しいです。
お正月が終わって漆の屠蘇器を棚の奥にしまう時、今年も無事にお正月を迎えられたほっとした気持ちになります。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

初句会近づく       遅足

2014年01月08日 | Weblog
今年最「初」の句会が近づいてきました。
今回の課題は「初」の字を詠みこんだ句です。
「初」のつく季語もOKです。

例えば「初夢」
古くは節分の夜から立春の明け方にかけて見る夢。
または大晦日の夜から元旦にいたる間の夢でした。
今では元旦の夜から二日にかけて見る夢。
また二日の夜に見る夢を指します。
生活スタイルの変化からでしょうか。

  初夢やいきなり太き蝶の腹   宇佐美魚目

夢は説明のつかないもの。そう言われれば・・・、そうですね。
この他「初詣」「初富士」などいろいろな季語も。
初句会も季語ですね。

季語ではなく「初」の文字を詠みこんで下さってもOK。

  歌留多取り恋の初めの札を取る

あまり例ではありませんが。
楽しい句を待っています。
締め切りは12日(日)です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

優しいお菓子   鳥野

2014年01月07日 | Weblog
知り合いから、旅のお土産をあれこれと、詰め合わせた
小包が届きました。
この度は雅びの街を選ばれたのか、京都、金沢、上越、
そして高山。
中でも「飛騨駄菓子」がちんまりと可愛い。

菓子は即ち果子。実りの乏しい山国の飛騨で、人びと
は、手間を厭わず、木の実など、自然の恵みを生かし
てきました。
栃の実はその一つ。繰り返し繰り返し、渋抜きをして
ようやくのこと、口に入るのです。

塩せんべい、げんこつ飴、栃餅、豆板等々、飛騨の菓
子はどれも香ばしく、優しい味わいなのです。

 ・ 故郷は今日も深雪と栃の餅  鳥野

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

晩年の一茶       遅足

2014年01月06日 | Weblog

  これがまあ終(つひ)の栖(すみか)か雪五尺

一茶の句です。江戸での生活に見切りをつけた一茶は故郷に。
雪深い柏原の宿です。
遺産相続をめぐって、弟と争い、家と田畑の半分を得ます。
52歳で28歳のきくと結婚、子供も生まれました。
しかし子供たちは夭折、妻も亡くします。
この後も2回結婚していますが、家庭の幸福には恵まれませんでした。

  雪とけて村いっぱいの子どもかな

一茶は克明な日記を書いて、閨房(けいぼう)の記録をも残しています。
家庭的な幸福を求めたのでしょうか。精力絶倫というのでしょうか。
なかには、白昼4交におよぶとも。

晩年、脳卒中で半身不随になりますが、なお意欲は盛んだったとか。
65歳で亡くなっています。
一茶の晩年を想像すると、とても枯れた生活とは思えません。

  冬枯れて墨に描かる一茶かな   結宇

とても人間臭く生きた一茶。
この句では、一茶が冬枯れの中に墨絵で描かれています。
芭蕉なら墨絵が似合いそうですが、一茶はどうでしょう?
それを一句に仕立てたところが作者の狙いかも知れません。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

生き辛い世の中        遅足

2014年01月05日 | Weblog
冬枯れの野に身悶えて風の行く   郁子

冬枯れの野を風が身をよじって吹いていきます。
草や木も身悶えているようです。

  ひさかたの天知らしぬれ展転(こいまろび)ひづち泣けどもせむすべも無し

万葉集の一首です。
ぶつける相手のいないやるせない悲しみに、身もだえるように転げ回る。

生き辛い世の中。リストラ、失業、イジメ・・・格差。
この生きにくさは、どこから来るのか?
見えないだけに身もだえる他ないのかも知れません。
この句からは、こんな世の中を吹く風が感じられます。
作者は、同じ風が自分のなかを吹いていると感じているんでしょうか。

そういえば、昨今の世の中、どこかオカシイ。
北朝鮮では粛清の嵐、なにやらキナ臭い気配。
お隣の国との間はギクシャク・・・
積極的平和主義というヘンな日本語が流通している。

ひょっとすると、一番身悶えているのは平和憲法かも。
とくに9条は、ずっと前から瀕死の手傷を負っていましたが・・・



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

枯野見       遅足

2014年01月04日 | Weblog
江戸時代には枯野見という風習があったそうです。
冬枯れの原っぱを見にゆくものです。
いまで言えば冬のハイキングでしょうか?
冬枯れの野原にも風情を求めた江戸時代の人達。
枯芒も朝に露が宿ることから露見草とも呼んでいたそうです。
(出典・自然保護536号)

歳時記のもととなる自然観は、この頃に育ったのかも。

  冬枯れの草玉駆ける風の音   立雄

冬枯れが進むとこんな風景になるのでしょうか。
冬枯れの荒々しい一面を風の音として捉えた句です。

黒澤明の映画「用心棒」を思い出しました。
三船敏郎主演のヒーローが現れると。
一陣の風が吹き、草玉が転がっていきます・・・

風にも息があり、時に激しく、時に鋭く細く。
様々な音が聞こえてくるようです。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

三日目ともなれば・・・     遅足

2014年01月03日 | Weblog
あっという間にお正月も三日です。
そろそろお節も飽きがきます。我が家はお昼はカレー。
息子が本格的なカレーが食べたいと。
朝からカレーの匂いです。

これは句になると思ったら、ちゃんと先句がありました。

   三日はやカレーの匂ふ白き家   西村倭文子

一読「そうそう」「あるある」と共感を呼ぶ句です。

   甘党の夫の辛口コメントがテレビニュースに必ずつきて

奥さんの歌。
亡くなった主人もそうだったと、歌会で共感の点を得た歌です。
こうした歌を「あるある短歌」というそうです。

西村さんの句も「あるある俳句」ですね。
白き家が良いですね。
三日とカレーの取り合わせの句。
これ以上のものは作れそうもありません。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小さいおじさん      遅足

2014年01月02日 | Weblog
おじさんが3人いました。皆、母方のおじさんです。
一番上の叔父は徴兵で陸軍に。出征して間もなく中支で戦死。
私が生まれる前のことです。

二番目のおじさんは海軍へ。乗っていた艦船が魚雷で真っ二つに。
沈まなかった方にいて無事でした。農家の跡を継ぎました。
「大きいおじさん」と呼んでいました。

一番下のおじさんが「小さいおじさん」です。
終戦の日に私を背負って玉音放送を聞いたそうです。
とても可愛がってもらいました。

  旅終へて訃報三つ待つ枯木立   佐保子

この訃報の一つが「小さいおじさん」でした。
スーパーに買い物行って転倒。
胃の中の食べ物が肺に入って肺炎に。
そのまま帰らぬ人に・・・・

一年半ほど前におじさんの家に行きました。

  叔父さんは宇宙の旅に発つらんか いつまでも振るさよならの手を

車のバックミラーの中のなかの叔父さんを詠んだ歌です。

さようなら小さいおじさん。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

世に遅れたるも目出度しお正月   遅足

2014年01月01日 | Weblog
あけましておめでとうございます。
目を覚ましたら曇り。
名古屋で、お日様が顔を出したのは9時過ぎでした。

大晦日は紅白を見ることもなく、除夜の鐘もきかず、
いつもの時間に寝てしまいました。
アマロスということもなく、世の中の流れに外に。
それでもお正月は隔てなくやってきました。

今年こそ少しは良い俳句をつくりたいと思っています。
どうぞ、よろしくお願いします。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする