冴えた夜空には冬の星座オリオン。シーツに転がるピアスが星のように光ります。星の夢を見ているのでしょうか。
私の先祖は家紋 三階菱の小笠原家。家紋の「菱形」は山の意なので三菱なども山の諸家。小笠原家は室町時代に礼典を確立したことで知られています。江戸時代中期に記された系図を仮に信ずれば戦国時代、甲斐の武田家に仕えたのち徳川家の譜代となり明治を迎えています。藩主であったと記される城跡に天守はなく小さな櫓のみ。しかし、空堀の石垣には美しい蔦紅葉。城跡を彩る晴れ着のごと。
揺蕩う<たゆたう> ゆらゆらと揺れ定まらないという意味で情景にも心情にも使われます。「天雲の たゆたひ来れば 九月(ながつき)の 黄葉の山も うつろひにけり」<雲がただよい山は黄色に染まりかわってゆく> 万葉集。「ゆけばあり ゆかねば苦し しかすがの 渡りにきてぞ 思ひたゆたふ」<三河の豊川の渡し場で行こうか行くまいか悩む>。こちらは女流歌人中務<なかつかさ>新古今和歌集に編まれた一首。昭和に流行った演歌の源流といった感。
10月自由題 最高点のこの句
秋の味覚 秋刀魚をとおして作者の姿、生活が見える一句ですね。
秋刀魚の骨は格別のことではないけれど、少し気になる。これも年齢かな。失礼。こちらの衰えと秋の雰囲気ですね(結宇)
眼鏡かけてまで骨が気になる秋刀魚飯、でも秋刀魚の臭いが十分にして来る。秋の美味です(等)
秋刀魚を炊き込んで身をほぐして慎重に小骨をとっている。眼鏡は鼻眼鏡になっているかも知れない。生活感がありユーモラスな一句(亜子)
秋刀魚ご飯好きでよく食べました。でも今は、骨が全然だめになった夫、柔らかいご飯でないとだめな夫でだいぶご無沙汰です。面倒でもおいしいよね。秋は食欲の秋といいますが、食欲のない夫に深いため息の私です(佐保子)
細かい物が見づらいけど 美味しく食べたい気持ちがあらわれている(泉)
サンマご飯は美味しいですよね(能登)
2014年9月の兼題が 「秋刀魚」でした。
◇秋刀魚はね100円切るまで買わないの 麗子
◇口の先黄色い秋刀魚新鮮よ 佐保子
私の中では秋刀魚のシーズンが来るたびに口をついて出てくるその時の二句です。 すっかりそらんじてしまいました。(笑)
ちなみにその時の須美さんの句は
◇さんま食う骨美しく残しけり
7年前になりますが、やはり骨に注目!句座の皆さんも、育ちの良さが表れていますね(笑)と感想を言いあったのを覚えています。
秋刀魚も、赤潮や軽石などの海洋汚染、地球温暖化の影響など厳しい状況でしょう。
◇火だるまの秋刀魚に猫のあとずさり 狗子
その時のトップ賞です。
今の状況と合わせるとまた違った趣も感じます。狗子さん、また投句をお願いします。
庶民の秋の味覚から外される日がくるかもしれない秋刀魚。
我が家はようやく昨夜、初サンマ塩焼きを食べました。一尾200円で折り合いをつけました 郁子
夕陽を浴びた美しい芒野。「来い来い」と「ただただ」というリフレインが効いていると思いました。夕暮れ時、手招きするようなススキの群れ。そこにはなんだか引き込まれそうな危うさも感じられます。
皆様からのコメントをご紹介します。
殿さま:音読すると響きの面白さに気がつきます。ラップのような諧謔性あふれる句。
亜子さん:◎の句。ススキを擬人化して手招きしている。少し不気味な感じも。。「来い来い」「ただただ」と繰り返しの効果が成功している。
結宇さん:散歩道には、すすき真っさかりですね。 いつもお月見時期より遅れてます。 風が脇を通るのか、自身の動きで揺れるのか。
すみさん:芒のあの動きは来い来いだったんだ。納得。
★★★
以前訪れた箱根の仙石原。一面の芒野原に思わず吸い込まれそうな気持ちになったことを、竹葉さんのこの句を見て思い出しました。
以前兼題が「芒」の句会がありました。2015年10月だと思います。その時私は
銀色の芒の原に吸い込まれ
という句を作っていました。
どこか異次元への通り道にもなっているような不思議な感覚。それは芒に手招きされていたのですね。
すみさんがその時の句会で
負ぶわれておいでおいでのすすきかな
という句を作っておられました。ここでもリフレインが効いていましたね!
また今年の9月の句会では泉さんの
夕陽浴びかがやくススキ伊吹山
というススキの句も採らせていただきました。私はどうもススキの句に魅かれるようです。あの繊細でちょっと怖いような揺れに心が揺さぶられるのでした。麗子
関東では木枯らし一番が吹きました。実った稲穂は強風で波のように見えます。秋から初冬へと季節は急に変わっていきます。これも地球温暖化の影響でしょうか。