![]() | 東京難民 |
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光文社 |
【一口紹介】
◆内容(「BOOK」データベースより)◆
金のねえ奴は、野たれ死ね。それがこの街の掟だ。
―私立大学の3年生、時枝修はある日、学費の未払いを理由に大学を除籍される。
同時に両親からの仕送りが途絶え、実家との連絡もつかなくなった。
なにが起きたのかわからぬまま、修はやむなく自活をはじめるが…夢をかなえるはずの大都会には、底なしの貧困と孤独の荒野が広がっていた。
平凡な大学生の転落と放浪を通じて、格差社会の傷口をえぐる青春巨篇。
【読んだ理由】
書名にひかれて。
【印象に残った一行】
「椅子にもランクをつけると、もっとわかりやすい。たとえば、一流企業の椅子、二流企業の椅子、中小企業の椅子といった具合に考えて行くと、一流企業の椅子は数が少ない。したがって競争率が高い。中小企業の椅子は数が多いから、競争率が低い。どの椅子に座れるかは、学歴も関係してくるし、それ以外の能力を求められるから、個人の努力によるところも大きいだろう。でも椅子の数が決まっている場合、どこにも坐れなかったのは、個人のせいじゃないよね」
「いまの社会そのものがいけないんだよ。椅子そのものがたりないのに、努力しろといわれたって、どうにもならない。だから必要以上に自分を責めることはない。責められるべきなのは、こういう世の中を作りだした連中なんだ」
「フリーターやニートがホームレスにならないですんでいるのは、まだ親の援助があるからさ。あと何年か経って、それが途切れたときには、一気にホームレス人口が増えるだろう。むろん日雇いで生活する人口も急増するから、ますます貧困ビジネスが儲かるようになる」
「貧乏人を食いものにする商売さ。このような日雇い派遣もそうだし、パチンコや闇金もそうだ。ネットカフェやマンガ喫茶も貧困ビジネスの一種といえるかもしれない。でも国がなにもしてくれない以上、貧乏人が貧困ビジネスを必要としているのも事実なんだけどね」
【コメント】
誰でもではないが、多くの人が歯車が一つ狂えば「難民」になる可能性は日常の生活と背中あわせにある。
550ページの大作だが一気に読ませる。
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