月の満ち欠け 第157回直木賞受賞 | |
クリエーター情報なし | |
岩波書店 |
◆メディア掲載レビュー◆
東京駅のカフェで初老の男が店員に注文を伝えると、先に着席していた小学生の女の子が「どら焼きのセットにすればいいのに」と言い、かつて3人で食べたよねと畳みかける。
再読すると、少女が初対面の男を知悉していることを強調する冒頭シーンの繊細さに驚かされる。
その後の約300頁は、男と読者が抱く「違和感」を解きほぐすことにあてられる。手塚治虫『火の鳥』や折口信夫『死者の書』を思い起こさせる展開だ。
著者は人生の岐路を主題としてきた作家だ。「記憶」をカギとする本作もその系譜にある。
「まさか」と思える出来事に現実味を与えるのは、細やかな生活描写だ。感動の場面は無数にあるが、満月の夜に一人でどら焼きを食べたくなる「究極の愛」の物語だと評するにとどめたい。とにかくラストがすごい。
評者:朝山実
(週刊朝日 掲載)
◆内容紹介◆
新たな代表作の誕生! 20年ぶりの書き下ろし
あたしは、月のように死んで、生まれ変わる──目の前にいる、この七歳の娘が、いまは亡き我が子だというのか? 三人の男と一人の少女の、三十余年におよぶ人生、その過ぎし日々が交錯し、幾重にも織り込まれてゆく。
この数奇なる愛の軌跡よ! さまよえる魂の物語は、戦慄と落涙、衝撃のラストへ。
◆内容(「BOOK」データベースより)◆
欠けていた月が満ちるとき、喪われた愛が甦る。第157回直木賞受賞。
◆著者について◆
佐藤正午(さとう しょうご) 1955年8月25日,長崎県佐世保市生まれ.北海道大学文学部中退.1983年『永遠の1/2』で第7 回すばる文学賞を受賞.2015年『鳩の撃退法』(小学館,2014年)で第6回山田風太郎賞を受賞.そのほかの著作に『ジャンプ』『身の上話』(光文社),『5』(角川書店),『アンダーリポート』(集英社),『小説家の四季』(岩波書店),『小説の読み書き』(岩波新書)など.
【読んだ理由】
第157回(平成29年上半期)直木賞受賞作品。
【コメント】
長編頭の中が大混乱でしたが読み終えました。生まれ変わり?果たしてどうなのか?実際は?