◎カルロス・ゴーン氏逮捕は国際的な大事件になっている。日本は元徴用工事件で、司法と政治が絡む部分で隣国ともめている。だからこそ、国際的に通用するやり方でプレゼンをしていくことが求められる大事な時だ。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)など海外メディアが、ゴーン氏逮捕と長期勾留を「中国並み」と批判した。これについて、東京地検の久木元伸・次席検事が、「それぞれの国の歴史と文化があって制度がある。他国の制度が違うからといってすぐに批判するのはいかがなものか」、と「反論」したという。正直、最低の反応だと思う。これは、ウイグルやチベットを弾圧している中国政府が、そっくりそのまま借用できる言葉ではないか。つまり海外メディアの正さを証明しているだけではないか。韓国政府が、元徴用裁判を批判する日本人に対抗するために、引用したらどうするのか。 米国、英国、仏国・・・「欧米諸国」とくくられる諸国のそれぞれは、具体的な制度を見たら、すべて全然違っている。彼らが相互に信頼しあうときに参照するのは、「人権」とか「法の支配」とか「法の前の平等」とか「デュープロセス」とか「推定無罪」とか、普遍性を持つ原則だ。共通する価値観を確認して初めて、文化事情に応じた適用方法の違いを理解することができる
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◎13年前、特捜部長に就任した若き大鶴弁護士はこう話した。
「額に汗して働く人、リストラされ働けない人、違反をすればもうかるとわかっていても法律を順守している企業の人たちが憤慨するような事案を困難を排して摘発したい」
大鶴氏の目に今、ゴーン容疑者の姿はどう映るのか。
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◎きのう11月30日の東京新聞「本音のコラム」で佐藤優が書いた。
彼は、自ら国策捜査で東京地検に逮捕・勾留(512日間)された経験を次のように書いている。
「・・・接見等禁止措置が取られたためマスメディア関係者はもとより家族との面会や手紙のやりとりもできなかった。そのような状況で、検中には事実でないものも多かった・・・」
と。 そう書いたうえで、こう続けている。
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「・・・民主主義国においては裁判で有罪が確定するまでは推定無罪の原則が適用されるはずだ。起訴すらされていない逮捕段階で、捜査当局とゴーン氏らを排除することに利益を見出している企業からのリークで、社会から有罪との認定がなされるような現状はおかしい・・・」と。
よくぞ言った。その通りだと思う。