古賀茂明「敦賀原発2号機直下の活断層の意味」 その1~3『古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン』vol.046より
その1 廃炉の責任は日本原電にあり
◆企業としてあるまじき判断
日本原子力発電の敦賀原発2号機の真下に活断層が通っている可能性が高いという原子力規制委員会の統一見解が出たことで同原子炉は廃炉にせざるを得なくなってきた。
敦賀原発1号機は既に建設から42年が経ち、40年廃炉原則で再稼働は困難。東海村の原発も地元の反対がある。日本原電の全原発が動かせなくなる可能性が出てきた。
現行法上、政府が廃炉を命じることは出来ないから問題だという報道がなされている。確かに、
それは問題だが、だからこの原発を再稼働させて良いということにはもちろんならない。
そもそも、いかなる企業も危険な場所に原発を作ることは許されない。それは政府の判断ではなく、あくまでもその企業の責任で判断すべきだ。
政府が止めなかったから作ったというのは免責の理由にはならない。
敦賀原発建設前の審査は、旧通産省と電力会社がべったり癒着していた頃のことで、先日の専門家による検討会議でも、
当時から浦底断層が存在することはわかっていたはずで、何故こんなずさんな審査が行われたのか理解できないという趣旨の指摘があった。
つまり、政府にも過失はあるが、企業側がまじめに安全第一で考えていれば、到底建設しようという判断にはならなかったと思われる。・・・・・・(略)
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(敦賀原発2号機が活断層の真上に立っている可能性が高いということになって、上記の通り、日本原電の経営破綻が現実味を帯びて来た
。日本原電が破綻すれば、影響は株主の9電力会社に及び、その損失負担分はコストとして電力料金に上乗せされる、という議論がなされているが、
何故そんな議論がまかり通るのかわからない。
経営破綻の責任論の基本に立てば答えは明白だ。日本原電が経営破綻しても、まず責任を問われるのは株主と債権者である。
株を紙切れにして、債権はカットする。‥ただし、万一廃炉費用がまかなえない時は、経営責任として電力会社の責任を問うことが必要になるだろう。
その理由は、そもそも昔の安全基準は、班目春樹原子力安全委員長(当時)が国会事故調で証言したとおり、
電力会社が作ったものに経産省がお墨付きを与えていただけのもので、事実上、その作成責任は電力会社にあると言ってもよいからだ。
‥今回の規制委員会の判断を見て、拍手喝采する向きもあるが、それはちょっと早とちりというものだ。敦賀原発の断層については、
実は、経産省自身が既に事実上活断層だと認めていて、あとは、いつどのようにこれを対外的に認めるかというだけの話になっていたのである。
‥つまり、規制委は当たり前の事をやっただけに過ぎない。あえて評価するとしたら、その判断を出すのにあまり時間をかけなかったことくらいである。
おそらく、経産省の筋書きでは、大飯(おおい)や玄海、泊などの原発の再稼働を認めさせるのと抱き合わせで敦賀の活断層認定を発表したかったと思われる。
つまり、多くの原発の再稼働を認めるための人身御供として敦賀を差し出すというストーリーだ。)
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