今週きいてきたのは、ズビグニェフ・ピルフが2023年に録音した「Bach Romantique」。このアルバムには無伴奏チェロ組曲のヴァイオリン編曲が収録されており、編曲したのは19世紀のヴァイオリン奏者、フェルディナント・ダヴィットです。使用楽器も19世紀初期のフランスのヴァイオリン(ガット弦)で、なかなかおもしろい企画のアルバムですね。そのアルバムから収録順にきいてきて、今日これから楽しむのは残る1曲、無伴奏チェロ組曲第6番(BWV1012)。ほかの組曲はすべて移調されていましたが、この第6番のみは原調のままです。ダヴィットの編曲は、当時のバッハ理解や解釈がどのようなものであったか、その一端を知ることができる貴重なもの。ただし、ダヴィットのじっさいの演奏(演奏の芸術性)がどのようなものであったかについては、いまとなっては楽譜から推測するしかありません(ピルフの演奏はその推測の一助になります)。
CD : ACD 337(Accord)