今週はサイモン・プレストンのオルガンですごしましたが、今日もオルガンの響きを楽しみます。といっても、きくのはオリジナルのオルガン作品ではなく、「クラヴィーア練習曲集 第2巻」に収録された「フランス様式による序曲」のオルガン編曲です。演奏と編曲はハンスイェルク・アルブレヒトで、フライベルク生まれのオルガン奏者。1981年から1991年までドレスデン十字架合唱団に在籍していたらしく、カール・リヒター、テーオ・アダム、ペーター・シュラヤーらの後輩ということになります。そういう縁からというわけではないのでしょうが、リヒターが創設したミュンヘン・バッハ管弦楽団と合唱団の芸術監督もつとめています。
さて、このアルブレヒトの録音には、BWV831のほかに、BWV29のシンフォニア、BWV1004のシャコンヌ、BWV971(イタリア協奏曲)、BWV582(パッサカリアとフーガ)が収録されています。オリジナルのオルガン作品はBWV582だけで、のこりは編曲です。シンフォニアはマルセル・デュプレの、シャコンヌはアルノー・ ラントマンの、イタリア協奏曲はアルブレヒトの編曲です。なお、この録音でのオルガンは、ハルセヴィンケルのパウルス教会のそれで、ミューライゼン社製。序曲の導入部における壮大な響きはオルガンならではで、それぞれの舞曲も、レジストレーションに変化をつけておもしろくきかせてくれます。
CD : OC 634(OEHMS CLASSICS)