今日これからきくのは、スペインのチェンバロ奏者、ディエゴ・アレスの「ゴルトベルク変奏曲」(BWV988)です。アレスは1983年生まれ。1998年、パリ・ニコライ・ルービンシュタイン国際ピアノ・コンクールで優勝するなど、もともとはピアノを学んでいました。チェンバロをはじめたのは、同コンクールで優勝した1998年からということ。
この「ゴルトベルク」の録音は2017年、それからほぼ20年後の録音ということになります。使用楽器はパスカル・タスカン(1769年)にもとづく、ジョエル・カッツマン(2002年)のチェンバロ。師であるリチャード・エガーと同じカッツマンの楽器ながら、タスカン・モデルというのがらしいところでしょうか(エガーはルッカース・モデル)。
アレスの演奏はじつにおもしろく、変奏によっては装飾音に溢れかえっていますし、楽譜からの大きな逸脱もあります。そういう意味ではラテンのトン・コープマンといえるかもしれせん。解説もアレスの手になるもので、第30変奏のクオドリベット論など、興味深く読むことができます。
CD : HMM 90228384(harmonia mundi)