amazon 内容(「BOOK」データベースより)
えっ!寅さんが俳句!?俳号は言わずと知れた「風天」。話芸の天才、渥美清の「知られざる俳句人生」を元新聞記者の渾身ルポと発掘218句全解説で初公開する。
------------
「繰り返しますが、俳句は友達と茶話会をやるという感じ。よけいなこと、大きなお世話だろうけど、俳句を使って渥美清論をやろうというのは、ナンというか砂上の楼閣みたいなもの。寅次郎は出てきても渥美清は出てこないと思いますよ」
上は俳優小沢昭一さんの言葉。インタビューの時の著者への「手厳しい指摘」P76
小沢さんは、渥美清のとは一つ年下にあたり、映画、テレビで数多く共演し、句会での知友でもあり、俳号「変哲]、句集もある俳優。
しかし、チェーンスモーカーの小沢昭一さんが。そう言いながら著者を「老練という名の煙」にまいたように、本書で、世間を煙に巻こうとしていたかのような渥美清というか田所康夫(本名)の一面は垣間見ることができたのではないだろうか。
218句の中から挙げればキリがないが、相撲に関する句を三つあげて煙に巻きませう。
春場所の子供の声や日の暮れて 1976(昭和51)年 一月 48歳
大阪府立体育館の中にいては日暮れは感じられないだろう。だいいち周りの目が気になってしかたないじゃありませんか兄さん(博)。TVか、おそらくラジオかも知れない。きのねや呼び出しや行司の声でも、やぐら太鼓の音でもなく、子供がひいき力士におくる声援に日暮れを重ねたのがよい。山田洋次監督は横綱審議委員をつとめるが、さては渥美さんも相撲をよく観ていたのかも。
はだにふれとくしたような勝力士 1993(平成5)年 九月 65歳
「得した」と漢字にしては、力士と、その背中をたたいた客の双方の至福感とどこか大人げない庶民のほがらかなようすが出ない。損得の話ではもなくスーバーのちらしよりも軽い。ついでに 肌に触れと漢字にしては、力士のはだのつるつる感がでないと思ったのかもしれない。風天句には、ひらがなの表記も多く、一字だけカタカナにして、句の切れや味を出したりしている。それが実にうまい。
砂つきて首かしげるや負けずもう 1993(平成5)年 九月 65歳
「土つきて」では語呂がよくない。やはり砂でなければ。うるさく言えば辞書では土が付くとは力士が負けること。特に全勝力士の初黒星に使う。砂だと物言いがつくかもしれないではありませんか。
しかし、下五できっぱり「負けずもう」と言っているナ。いや首をかしげた力士は勝ち名乗りをうけた力士ではありませんか兄さん(博)
あ、最後にもう一つ
花道に降る春雨や音もなく 1995(平成7)年 一月 67歳
「花道」は相撲に関係なくもないが、これは、惜しまれながら華やかに引き際を飾ることをいう人生の花道のことだろうか。春雨にさくらの花も音もなく舞っているのかも知れない。
この句が詠まれた1995(平成7)年と言えば、奄美ロケもあった最終第48作 男はつらいよ 寅次郎紅の花(1995年12月23日) の年。
渥美清は、翌1996年8月4日 に亡くなるまで、あと3つの句を残しているが、その前に、奄美の浜で普段めったにうけつけないインタビューに応じている。貴重な伝言を残している(下の動画)なんだかんだ言っても、NHKっちすごいナと思うのは、いろんな人のこんな映像をタイムリーに出せることだろう。寅さんのこれは出色。
http://youtu.be/iPtX2Fofvak ←youtube 渥美清の伝言
花道に降る春雨や音もなく
このインタビュー、最後の映画の演技のように痛々しさがないのはナゼだろう。
=======
風天 渥美清のうた 価格:¥ 1,800(税込) 発売日:2008-06-27 |
風天 渥美清のうた (文春文庫) 価格:¥ 630(税込) 発売日:2010-01-08 |
============================
登録情報 Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 274,940位 |