闇のなかの思想―形而上学的映画論 (1978年) 改訂版.潮出版社
埴谷 雄高 (著)
闇のなかの思想-形而上学的映画論 三一新書 1962、改訂版.潮出版社 1978
この本は奄美図書館の書庫で探してもらいました。
以前の奄美分館の館長だった島尾敏男と埴谷雄高googleの関係については、検索してみて下さい。
埴谷 雄高(はにや・ゆたか)と言えば、難解で有名な代表作、大長篇小説『死靈(しれい)』がある。本棚のどこかにあるはずだが、本書同様黒い本だったことを思い出す。
それは「全編を、物語でなく観念的議論によって進行する世界文学史においても未曾有の形而上学的思弁小説であり」、往時は新左翼系の読者を多く抱え、いろいろかじり読みした記憶だけが残る。決定的な影響を受けたドストエフスキー論が著名。
『不合理ゆえに吾信ず』現代思潮社 の時もそうだったが、難解を覚悟で拾い読み気分で読むと意外にも、一文一文は理解できるのであった。決して難解な用語を多用するわけではないが、語られている事柄が、難解なのだから許せてしまう。
しかし、いかんせん本書で取り上げられている洋画のほとんどが観たこのない映画ばかりで読書の意欲は長続きしにくい(副題の通り、いわゆる映画評論が本書の主旨ではないのだが)。やはり難解だ。無人島に本書一冊だけを持っていったら、この難解さがありがたくてたまらないと思うに違いない。
ゼロ地帯 イタリア
処女の泉 スウェーデン
太陽の誘惑 イタリア
戦場 ソ連
キング・オブ・キングス アメリカ
地球は青かった ソ連
危険な関係 フランス
尼僧ヨアンナ ポーランド
ニュルンベルグ裁判 アメリカ
太陽はひとりぼっち イタリア
ワルソー・ゲットー フランス
夜 イタリア
これらのうちから見開き2ページ分13枚のモノクロの場面写真がかかげげられている。
ときに一つの場面が映画全編の印象に匹敵する感慨を思いおこすことがある。
仲間と映画館に行ってp6「文学に対する映画の優位性を文学の側の敏感な尖兵達が密かに偵察にきているかのごとく感ぜられ、一種の感慨があった。」p6
ゼロ地帯 イタリア
処女の泉 スウェーデン
太陽の誘惑 イタリア
戦場 ソ連
キング・オブ・キングス アメリカ
地球は青かった ソ連
危険な関係 フランス
尼僧ヨアンナ ポーランド
ニュルンベルグ裁判 アメリカ
太陽はひとりぼっち イタリア
ワルソー・ゲットー フランス
夜 イタリア
========