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『ある男』 単行本 – 2018/9/28

2021年12月23日 | 本と雑誌

『ある男』 単行本 – 2018/9/28
平野 啓一郎  (著)
5つ星のうち4.2    548個の評価

wikipedoa
『ある男』は、平野啓一郎による日本の長編小説。『文學界』2018年6月号に掲載されたのち、2018年9月30日に刊行された。第70回読売文学賞受賞。
映画は2022年に公開予定。監督は石川慶、主演は妻夫木聡。

【映画『ある男』公開決定!】原作者・平野啓一郎のコメントムービー
2,363 回視聴2021/08/31 https://youtu.be/ZAy01dydzJQ

本屋大賞ノミネート作品と知り手にとって見た。
一ページを読んだだけで面白そうだった。

しかし小間切れ時間を使って読んだので、サスペンスや、ミステリーの面白そうな部分はそぎ落とされた感じ。
登場人物はそれほど多くはないが、戸籍交換の話がストーリを複雑にしていて、集中できなかった。ある程度一気読みしたほうがよかった。
面白いといっても深淵な哲学的テーマが潜んでいそうで一度読んだだけではあれですが。
人間(自分)とは何か、過去とは何か、自由意志はあるのか?などそうした部分が金鉱脈のようにところどころちりばめられて行間や章間からもにじみ出ている感じ。

戸籍交換の話は、よくあるドラマなどのテーマ、
記憶喪失や、赤ちゃん取り違えや、氏と育ち(遺伝か環境か)、
、はたまた変身願望、それに認知症(人格崩壊)などにも通じる話ではなかろうか。
あと自分を卒業するという意味で出家とかも。もっと飛躍すると輪廻転生とか。などなど、その他の終わりなき論争にも。

堂々巡りの思考のすえ、それやはり”本当の自分とは?”に行きつきそうだったが、
一度読んでみただけではやはりあれだった。

他人と戸籍交換までして過去を清算して、よしんば幸せを手に入れ残りの人生を全うし得たとしても
果たしてそうまでしなくてもよかったのではないか?

うまく言えないのだが、それも簡単に言えば自分や他人に対するレッテルの張替えではないのか?昨今の安易なレッテル張りの風潮、ひいてはポジショントークなどの横行への違和感にも通じそうであった。

 

いちど読んだだけであれですが、
著者のとなえる「分人主義=人間を『個人』という『分けられない』一つの単位としてではなく複数の人格-『分人』-の集合体と捉える考え方」を知った上でもう一度読むと面白みもぐっと増しそうだ。

平野 啓一郎 自由のこれから (ベスト新書)

↑ まだ目次だ読了ですが、この本にも「分人主義」とりあげられていそう。

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映画『祇園囃子』1953年 溝口健二監督

2021年12月23日 | 映画

wiki 『祇園囃子』(ぎおんばやし)は、1953年に公開された溝口健二監督の日本映画作品。川口松太郎の小説が原作である


祇園とは、囃子とは、祇園囃子とは、舞妓とは、検索すると知らないことが多すぎて驚いた。

若尾文子:栄子(舞妓・美代栄)
木暮実千代:美代春(芸妓)
浪花千栄子:お君(お茶屋の女将)

妹、姉、お母さんと呼び合う(血縁はない)👆この3人の演技がそれぞれの持ち味で光っている。
若い(舞妓・美代栄)は劇中、基本的人権、自由、憲法違反などというセリフを言う。
”私がアプレゲールなら、お姉さんはアバンゲールやわ”ともういう。
アプレゲール(仏: après-guerre )とは「戦後派」を意味し、アバンゲールavant-guerreは 「戦前」の意) 

三人はそれぞれ戦後、戦中、戦前の価値観で生きていると言ってもよいのだろう。

そのぶつかり合いと折り合いが映画の見どころの一つであろう。姉はお母さんに妹は姉に諭され、わきまえていくのだった。

溝口監督映像の幽玄美は風景だけではなかった。室内での人物の所作、配置などでもふんだんに感じられる。
配役もはまっていて、ストリーの社会性も令和の現在にストレートにつながっていて展開はスマート。
黒沢や小津、成瀬作品とは一味違う新鮮さを感じる。

wiki 映画『祇園囃子』
監督 溝口健二
脚本 依田義賢
出演者 木暮実千代
若尾文子
撮影 宮川一夫
編集 宮田味津三
配給 大映
公開    1953年8月12日
上映時間 85分


受賞
1953年 (第4回)ブルーリボン賞
助演男優賞(進藤英太郎)
助演女優賞(浪花千栄子)
1953年 (第27回)キネマ旬報ベストテン第9位

キャスト

木暮実千代(左)と若尾文子(右)
木暮実千代:美代春(芸妓)
若尾文子:栄子(舞妓・美代栄)
進藤英太郎:沢本(栄子の父)