桜の季節も過ぎて、車も人も見えない。
コンビニで買い物を済ませ国道を渡るとそこはもう渚だ。
岸打つ波もひたひたと静かだ。遥かに小さな島は、竹生島だろうか。
奥琵琶湖に向かう前の小休止のひと時。
ホテルからの湖。
夕暮れ時と、太陽が雲の中に入って乏しい明るさの湖面には、風が囁くような漣が立ち始めていた。
湖面の明るい部分に太陽の位置があるのだ。
どうか沈む前に、雲の隙間からでも顔を覗かせて欲しい。 ⇒
雲の間から一すじの茜色の糸が見えた。
その光が次第に幅を増して夕陽が顔を覗かせた。
湖に入るのでなく、対岸の比良山系の山のどこかに入るのだが、漣の立つ湖面に映る一日の終わりの太陽と、対面できたことが嬉しい。←
翌日、曇り空ながら、時々薄日も差していた。
能登川の水車を見て長い休憩を取っていた頃から、風が凄く強くなってきた。
この風が雨を持って来るかもしれないと感じ、一路昼食に決めていた鮎やに車を走らせる。フロントガラスにポツポツと雨粒が落ちていたが、鮎やの駐車場では、傘も差さずに中に辿り着いた。
ところが、レストランの席に着くや否や、ものすごい稲光と雷の轟音。稲光の柱が、湖に立ったかと思うと停電。
電気はすぐついたが、湖の荒れようは凄い。白波が岸に砕けて飛沫が湖岸道路に上がっているのが窓越しに見える。早く着いてよかったと胸を撫で下ろす。
こんなに荒れた琵琶湖を見たのは初めてだった。
嵐はそう長く続かなかった。雨の上がるのを待ってから出発した。 (切花 イチリンソウ)