大小様々な滝が、渓谷の巨岩をすべり落ちる。
楓の緑がエメラルドグリーンの淀みに濃い陰を映している。
真っ赤なもみじに染められた秋の御手洗渓谷は関西では余りにも有名でその季節になると渓谷の散策道は、人で溢れる。
しかし青葉若葉の今は、渓谷の流れと、ウグイスや、ホトトギスの鳴き声を耳にするばかりで、森の静けさを満喫できる。
楓若葉の頃の御手洗渓谷の魅力に取り付かれそうだ。
洞川に「ごろごろ水」を汲みい行く時、ほん少し道を逸れたこの散策道に足を向けなかったのが、不思議なくらいである。美しい自然に恵まれた、奥吉野の山に、これから洞川に行く度に、目当てを決めて、木や、花にも目を向けながら、歩きたいと思う。
濃淡の若葉の色の中に、楓の赤い種を見つけた。下からすかしてみると、赤色の竹とんぼが、好き好きに飛び回っているようで面白くて、美しい。濃い緑に覆われてしまうまでに、植物たちの生の、営みが続いていく。