ここで燈が灯されるのを待った。
金色の鵄尾が美しい。
黒い大地に咲く燈の花と竹細工のオブジェ、さらに目を上に移すと十三夜の月が空に白く漂っているようだ。
足元の燈の花以外には、真っ黒なのでついカメラを向けたくなってしまう。
浮見堂の燈が水面に揺らめく様は、離れて見るほどに、幻想的である。
ここでは、ボートに乗った若者が、池の中からの燈を楽しんでいた。
猿沢池から興福寺への石段の灯りは五重の塔へと導いてくれるように上に続く。
お昼に見る塔と夜の塔は、また違った美しさがある。
ここでは、多くの人が座り込んで眺めていたが、不思議なほど静かだった。
昨年、ここで、笙の笛の演奏を聴いたことを思い出し感動を新たにした。