先日来、真夜中も水の管理に持ち主が来ているような車の音がしていた。
うんかの発生も無いようで、就寝まで網戸にしているが、網の目をくぐって燈を求めて入り込んでくる、緑色の小さい虫の姿も目にしない。
他所ごとながら、順調に育っている稲を見るのは気持ちのいいものである。
風に揺れ太陽の光で、ピカピカ、ヒラヒラと揺れる。
すずめ除けのテープである。
すずめは余程これが嫌いと見えて、テープの張っていない田の真ん中にさえ飛んで来ない。
しかし、このテープの張っていない裏の田圃にも雀は来ていない。
いつもなら、この鉄塔に集団で来てけたたましいほど囀り、鉄塔にびっしりと並んでひらひらを窺っているのだが、今年はまだ一度もそういう光景を見ていない。
ということは、穂は垂れ下がってはいるけれど、雀が食するほど実っていなくて、時の熟するのを何処かで待っているのだろうかなど、ぼんやりと濃い緑一色の水田を眺めている。