イチゴを買いたくてJAの産直市場へ行きました。 産直市場は午前中は大変な人出で、その中を縫って買い物をするのが嫌さに、いつも人の少なくなったころを見計らって買い物に出かけます。押しのけてでも買おうとするパワーはもうありません。 それでも結構目的のものを買うことができるので、残り物にも福があると、のんびり品物を吟味するのも気楽なものです。
イチゴだけを買うつもりだったのに、タラの芽のパックがあったので、前々からもし出ていた時には欲しいものの一つでしたので、芽の柔らかそうなのを見ながら買うことにしました。見た目には小さい棘がありますが、天麩羅にするとそれもカラッと揚がるので心配無用です。
ピンボケになってしまいましたが、タラの芽の横にこごめがあるのです。山菜の天麩羅にはとてもおいしいタラの芽に勝るとも劣らない春の山の食材です。美術協会の旅行で信越方面に行った5月の中ごろ、黒姫高原ホテルの夕食に定番のお鍋のほかに、採り立ての山菜の天麩羅をテーブルで揚げて、それこそアツアツを小皿に載せてくれるのが美味しくて、一月遅れの春の訪れの山の幸の美味しさが楽しみでした。
幾種類もの山菜の中で私はこごめが好きでした。ほんのりした苦味は早春の味だと思いながら、雪解けの始まった高原で採取してくれたこのおもてなしを、思い出しながら、今夜の夕食にはこの天麩羅を味わいました。
食後には、イチゴを食べました。旬のものを好きなだけ頂ける小さな幸せが明日もありますようにと、「ごちそうさま」の手を合わせたあと、心の中で呟きました。
通りかかった住宅の庭からこんなに美しい色の椿が、顔を見せていました。 こんなアイスのデザートがあるといいなぁと、食いしん坊な私はそんな想像をしていました。