5月12日の「播種祭(はしゅさい)」で播かれた籾種は順調に成長し、「早苗」となっている。「御田植祭」は三輪山から湧き出る清らかな水を引き入れた「神饌田(しんせんでん)」にこの早苗を植える神事。謂れなど詳しいことは知らないまま、今年初めてこの神事に参加できた機会に、私の見たままを記しておこう。
狭井神社から山の辺の道を北へ5分ほど歩くと西側に「大美和の杜」が拡がっている。先日ササユリの栽培地を訪れたすぐ傍だった。
10時から始まる神事に遅れまいと家を出たが、途中でカーナビが変な細い道へと案内してしまったので、その分遅れた。
しかし始まったばかりのようで、暫くは竹やぶの中の高い位置から眺めた。
「大美和の杜」には、三輪山を源流とする清らかな狭井川が流れ、すぐ横に「神饌田(しんせんでん)」がある。
広さが60坪ある神饌田の四周に注連縄(しめなわ)が張られ、 お田植え前の神事は私が下に下りたときには終わり、苗が運ばれて、田男と早乙女が、古代の衣装に身を固めて待機中だった。
いよいよ田植えが始まる。
「神饌田」に映りこむ早乙女の赤と白の衣装が緑の早苗の色とが相まって美しい。田には両端に記しの綱をもつ人がいて、それに沿って11人の人が同じ間隔で植えていく。
太鼓を持っているのは田長という役の男の人で、太鼓を一つ「でん」と打つと、それを合図にみんなが一斉に植えていく。田長はその進み具合を見て、次の「でん」を打つ。とても大切な役目の人だ。
張り渡した綱の所々に赤い印がついていてそれで間隔をとっている。昔 手で植えている子供の頃の田植えもこのような綱と印があるのを見てきた。
田植えが終わったら、無事終わったことを、田の神に報告するのか、三輪の神様にお知らせするかのように、この竹を打ち込んでお田植え祭の終わりとなる。
お田植え神事の最後の祀りごとを済ませて、神官様に続いて田作り男、早乙女が、大美和の杜に消えていった。
古式ゆかしいお田植え神事を観る機会を得たことの嬉しい1日だった。
13238