映像:青森県立美術館の展示作品絵画で気になった「画家と妻」(BY POSTCARD)
今回の「シャガール三次元の世界」展の中で気になった作品が何点かあった。
その中の一つ。「画家と妻」。愛の画家ともいわれたシャガールの佳作。赤
で強調された女性は愛妻ベラ。左下の小さな人物がシャガール。そしてロバ。
愛する妻と、盛んな花々に守られた画家。右上の懐かしきベラルーシの景観。
鑑賞:心はいつも故郷ベラルーシ(ロシア)と愛する妻ベラにあった色彩タッチ。
赤色は心の高まり(血・心臓)、白色は透明(純心・憧憬)と筆者受感。
参照:青森県立美術館外観(特別展・シャガール三次元の世界)
映像:バレエアレコ背景画 第4幕 サンクトペテルブルクの幻想(BY POSTCARD)
シャガールの舞台絵(背景画)が4点揃った。実に2006年以来である。
青森県立美術館創建時にアレコ舞台画3点購入。この購入については
色々物議があったが結果的に青森県立美術館のシンボル展示となった。
展示:青森県立美術館アレコホールでの展示風景(BY 青森県立美術館HP)
記録:アレコ舞台絵四点の内三点は青森県立美術館所蔵。一点は米国
フィラデルフィア美術館所蔵。今回2021年3月迄長期借入展示。
背景画の大きさは、縦約9メートル、横約15メートルと巨大だ。
鑑賞:久し振りにシャガールのアレコ舞台絵を鑑賞した。シャガール
の暗く辛い時代背景の作品は単なるバレー舞台絵ではない。懐
かしい故郷(ロシア)、亡命時代、戦争の無残・・・・様々なカオス。
背景画前で瞳を閉じ残像の上に踊るバレリーナを思い浮かべる。
資料:「アレコ」はプーシキン原作物語詩「ジプシー(ジプシーの娘
に惚れた貴族の青年アレコが、若い男と浮気をした娘とその男
を殺してしまう悲劇)」にラフマニノフが作曲一幕のバレエ劇。
シャガールの舞台絵の上演では、チャイコフスキーピアノ三重
奏曲イ短調、振付レオニード・マシーンでメキシコ国立芸術院
宮殿、アメリカメトロポリタンオペラ・ハウスとで初演された。
映像:平成大修理で見事に彩色復元された左甚五郎作「眠り猫」の彫刻。
まるで生きていて、今にもネズミを追いかけそうな猫と言われた彫刻。
これは名工:左甚五郎の作。徳川家康が眠る奥宮へ向かう坂下門の東
回廊軒下に鎮座。猫の裏側透かしに生きている様な雀が彫られている。
解説:眠り猫は踏ん張っているようにも見え祭神徳川家康を護る為に
寝ていると見せ掛けいつでも飛びかかれる姿勢をしているとも
いわれているが裏で雀が舞っていても「猫も寝るほどの平和」を
象徴しているともいわれる。是非、裏の雀彫刻も鑑賞されたい。
指定:国宝(日光を浴びうたたねをしているところから「日光」に因む)
参照:現代の本物の眠り猫「合歓の猫(秋田県にかほ市象潟海岸)」
日光東照宮の陽明門天井には二体の龍の絵がある。その内の昇龍である。
今から400年前狩野探幽の作とされるが、原画は朽ち1969年に日本画家
羽石光志画伯が模写復元。傷みが激しかったが今回見事に再復元された。
解説:見事に復元された訳には、1969年に手掛けた羽石光志画伯の下絵
と、復元画のフィルムが残っていたからという。しかし、復元後
僅か50年程度で傷みが激しいのには加速度的な環境汚染が指摘さ
れている。なお400年前の原画は宝物殿に保存されているという。
参照:日光東照宮の豪華絢爛な「陽明門」
映像:40年振りの平成大修理で見事往時の彩色に復元された「三猿」の彫刻
作者は不明だが左甚五郎だともいわれる。東照宮境内の馬屋の欄間に細工
日本で一番有名な「猿の彫刻」。日光山参詣で必ず鑑賞されるものだろう。
細工よりは三匹の猿「見ざる・言わざる・聞かざる」の教訓的由縁で有名。
解説:目・口・耳をふさぐ猿は幼年期の猿とされる。幼いうちは純真で周
りの影響を受けやすい。だから世の、悪いことは見聞きせずに、悪
い言葉を使わせずに良い物だけ与えよという教訓が込められている。
又、古来、猿は馬の守り神とされて、厩舎に彫り込まれたのだろう。
更に股間を抑え「行わざる」の四匹目の教訓猿が居るとの伝説も・・・。
参照:北限の猿(青森県湯野川温泉) 白 猿(山形県白布温泉)
白神の猿(世界遺産白神山地) 白山猿(石川県中宮温泉)
≪Mémoire(メモワール) :芸術鑑賞 巨大クモ・ママン(六本木ヒルズ)2017.7.1≫
六本木ヒルズにアートを求めてやって来た。目当ては森美術館。
残念ながら準備閉館中。しかし前庭にルイーズ・ブルジョア作のアート
発見。この作品は多くの情報が集まるというコンセプトである。
記録:このオブジェは、地下鉄の登り口前にあり、手ごろな待ち
合わせ場所。映像ママン下の女性の頭上に大理石卵の網袋が有る。
参照:地下鉄六本木駅(六本木ヒルズ前)
≪速報:芸術鑑賞 ジャコメッティ展 国立新美術館(六本木)2017.7.1≫
映像:ジャコメッティの有名な人物像(パンフレットより2017.7.1)
毎年今の時期は東京五美大卒業制作展があるものと国立新美術館に来た
が、展覧会はジャコメッティ展と書道各会派の展覧会のみであった。若
い学生の感性溢れる未来的な芸術作品を期待して来たので落胆も大きい。
参考:五美大卒業展は2月下旬から3月上旬であった。筆者の勘違い。
参照:芸術の交差(東京五美大卒業展)
映像:宮城県美術館ピカソ展(2016.10.31 ~12.23 )の「読書する女の頭部」
宮城県美術館特別展「ピカソ展」を鑑賞した。究極のキュビスム。この
名作の前で多くを語るまい。そう、芸術観は人それぞれ違う感性を呼び
起こす。ただ、確実なのは目の前にピカソの作品があるという事実だけ。
映像:宮城県美術館前庭に展示されている「若い女」(佐藤忠良 1997作 )
宮城県に生まれ、少年期を北海道で過ごしロダン、マイヨール、デスピオなどの
作品に惹かれ彫刻家を志したとされる佐藤忠良。この作品もそういう背景から若
い女性の躍動(生命)感溢れる作品となっている。北海道でも佐藤忠良作品目撃。
鑑賞:佐藤忠良の女性像の特徴は「若々しい半裸」と「極端なポーズ」だ。本作に
も良く現れている。特に右にほぼ水平に傾けた頭部は実際にはできない姿
勢だろう。しかしこの極端な構図こそ女性の躍動美を誇張する演出となる。
参照#夕張炭鉱鎮魂の像(夕張市)
映像:ヘンリー・ムーアの穴が貫通する造形「スピンドル・ムーア」
ローカル美術館巡りの楽しみは、特別展は勿論だが屋外にある
それぞれの特色ある展示作品だろう。宮城県美術館の前庭では
沢山の展示物に遭遇できた。先ず目立ったのがこの作品である。
ヘーンリー・ムーア:イギリスを代表する芸術家彫刻家。穴が
貫通する人体像が代表的な作風であり作家の作品は世界
的規模で展示されている。ヨークシャーの炭鉱夫の息子。
参照:山梨美術館展示作品(四つに分かれた横たわる人体)
映像:夕暮れに未を連れ帰る羊飼い(ジャン=フランソワー・ミレー:山梨県立美術館)
ミレーの作品を鑑賞したく山梨県立美術館にやって来た。
あまりにも有名な「種まく人」をはじめバルビゾン村での
ミレー珠玉の作品に触れ、ただただ感動の一日であった。
美感:絵画の価値はともかく、今日の鑑賞で筆者はこの「・・・羊飼い」に一番感動した。
それは地平線、夕刻、羊の群れそして羊飼いと牧羊犬を見事に描き切っているか
らだ。時間、空間、素材が脳裏に焼き付けられ画家と永遠の時間を共有する幸せ。
山梨県立美術館:ミレーやバルビゾン派の作品を収集し。「種をまく人」や「落ち穂拾い
、夏」等の油彩画、素描など約70点のミレー作品を所蔵する。ミレーの美術館
映像:ヘンリー・ムーアの作品。豊満な女性を思わせる
山梨県立美術館の前庭中央にある塑像群の中で存在感を
示すのがこのモニュメント。注意深く観察すると無機質
な金属が豊満な裸婦像に観えてくる。美術館に相応しい。
ヘンリー・ムーア:20世紀イギリスの著名な芸術・彫刻家。
山梨県立美術館の奥庭にあるバラ園にあるのがこの像。躍動的なブロンズ像に
しばし魅了された。前後左右から鑑賞して、このアングルの撮影に落ち着いた。
ヴェナンツォ・クロチェッティ:イタリアの彫刻家。流石に塑造の国の巨匠だけあって躍動感
溢れる作品だ。島根県立美術館に展示の「岸辺の娘」をいつか訪ねたい。
映像:山梨県立美術館の前庭に展示の「花を持つ少女」像
美術館巡りでの楽しみの一つは嘗て感動した作家の作品に
偶然に出会うことだ。ここ山梨県立美術館でもそんな場面。
船越保武の作品は、岩手県立美術館での感動の鑑賞だった。
参照#① 聖セシリヤ(岩手県立美術館) ②道東の四季 春 (〃)
山梨県立美術館の前庭に立つ≪野山を歩くファン・ゴッホ(オシップ・ザッキン作)≫
奇才天才ファン・ゴッホはこの様にカンバスを背にアルルの原野を彷徨っていたのだ
ろうか?・・ローカル美術館にしては展示物が充実している。人気があるのも頷ける。
記録:ゴッホ(フィンセント・ウィレム・ファン・ゴッホ) は画家として不遇であった。生前に
売れた絵が『赤い葡萄畑』一枚という。 職歴も多彩(画商、教師、書店員、牧師、
画家)。 浮世絵に影響され名作をなしたゴッホを目指したのが版画家 棟方志功。
美感:ファン・ゴッホはミレーに心酔し画家となった。山梨県立美術館に銅像が展示
されているのはこの様な背景があるからだろうか・・・。青空が眩しく彼を照らす。
絵具箱とカンバスを十字たすき掛けにした姿は異様であった。戦う戦士の如く。
参照#棟方志功(世界のムナカタ)探訪紀行