お湯の国 日本

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立田の滝(八甲田山)

2014年05月20日 | 🗻十和田八幡平NP

     八甲田山を下り、奥入瀬渓流の手前にある滝。文人で紀行家大町桂月
     がこの滝を歌に詠んだ
。奥入瀬渓流には沢山の滝があるが大町桂月が
     詠んだのは唯一この滝だけである。歌が詠まれた秋に来て観たい物だ。
        記録:高さ20ⅿ、段瀑蔦川本流/奥入瀬川水系

     大町桂月歌碑文:「立田姫 錦をさらす 大巖に 
              みだれてかかる 白糸の滝 」 (桂月)

     解釈:全山錦の八甲田。その中で、女神の化身のような美しい錦葉が
        千路に乱れ流れる滝を伝い落ちる様はこの世の物とは思えない。
        いつまでも私の心の中に残る。

     立田姫語彙:竜田姫(たつたひひめ)と表記されることもある。秋を
        司る神、別称・龍田比売神。竜田山の神霊で元々は風神。短歌
        では秋の季語として用いられる。しかしこの句では「錦」とい
        う秋を思わせる語句がある事などから「美」を表意とも出来る。

     大町桂月:蔦温泉・十和田湖・奥入瀬渓流の存在を日本中に広めた
        温泉観光』の祖
。土佐人でありながらこの地に心酔し、終の地
        を蔦温泉にした。この立田の滝は十和田から奥入瀬を渡り、
        泉への帰路
にある。彼はこの滝の前で、暫し足を止め休みなが
        ら鑑賞したのだろう。歌人、文人、酒仙、紀行家・・・現代で云
        えばネイチャートレッカー
。彼が土佐人であることが戊辰戦争
        後の明治・大正時代の政府中央要人の人脈にも繋がり、十和田
        ・奥入瀬の発掘に結び付いたと推察するものである。

  参照大町桂月(酔仙人)探訪紀行

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