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東北本線の終着駅が上野駅。新幹線開業前はこのホームに
皆降り立った。そして、山手線で都内の支線に散っていく。
15番線ホームの真ん前に、丸い形状の啄木の歌碑があった。
碑文:『ふるさとの 訛(なまり) なつかし
停車場の
人ごみの中に そを聴きにゆく』 (啄木)
解説:啄木短歌の珠玉の一首である。在京東北人なら一度は
このような気持ちを持っただろう。冬雪のない上野駅に
雪を積んだ列車が滑り込む度に、泣き出したくなる衝動
を覚えたのは筆者も同じだ。いつしか行き交う訛言葉に
同化していく自分の姿が見える。此処は懐かしい心の駅。
(2013 紫陽花紀行 完 )