孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

フランス 電光石火!リビアと原子炉建設の覚書

2007-07-26 12:14:06 | 国際情勢

(写真は昨日リビアを訪問してカダフィ大佐と肩を並べるサルコジ大統領
“flickr”より By energyPICS)

昨夜は情報が錯綜するアフガニスタンの韓国人拉致事件に気をとられていたのですが、別の事件で「ヘー・・・、そういうものなんだね・・・」というニュースを目にしました。

昨日も取り上げたリビアの児童集団HIV感染事件。
http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20070725

とにもかくにも“被告等がブルガリアに帰国、恩赦で自由の身に・・・”ということで、一件落着と思っていたのですが、「フランスとリビアの両国政府は25日、リビアでの原子炉建設を記した覚書に調印した。」とのこと。

フランスは今回の事件で大統領夫人のセシリアさんが2度トリポリを訪問してカダフィ大佐と会談するなど、事件解決に向けてイニシアティブをとってきました。
サルコジ大統領自身が事件解決直後に首都トリポリに乗り込み、上記覚書に調印したようです。

サルコジ氏は前日、被告等引き渡しから数時間後に開かれた記者会見で、「リビアと連携協定を調印することを私は望んでいる」と発言、「フランスだけがこの種の協定を結ばない国である理由が分からない」と述べたそうです。
リビアの政府高官によると、新協定の範囲は安全保障からエネルギー協力、教育、移民問題、保健衛生や科学研究分野にまで及ぶ可能性があるとのことです。

リビアは石油・天然ガスなどの豊富な資源国。
児童集団HIV感染事件、8年間にも及ぶ被告等の拘束、死刑実施の危機・・・という流れの一方で、単に人道主義的な救済だけでなく、したたかに国家利益を実現する交渉も並行して行われていたようです。
“並行して”というより、恐らくリビア-フランス間では今回の調停・覚書がメインで、事件の処理は事前の筋書きが用意されたパフォーマンスだったとも考えられます。
外交というものはこのように、個人の悲しみ・喜びとはまた別の次元でしたたかになされていくものだ・・・ということを痛感したニュースでした。
それにしても、電光石火の早業ですね。

カダフィも年取りましたが、相変わらずの“伊達男”ですね。

コメント
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