孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

パレスチナの情勢 強まるガザ地区への圧力

2007-07-09 15:09:53 | 国際情勢

パレスチナ・ガザ地区で起きたファタハとハマスの戦闘を門から心配げに窺う親子
(flickr”より By orpailleur)
 
パレスチナのガザ地区をイスラム原理主義勢力ハマスが支配するかたちになったことで、ヨルダン川西岸地域は比較的穏健なファタハ、ガザ地区はイスラエル敵視政策を堅持するハマスが抑える分断統治の様相になった件については、6月17日のこのブログでも触れたところです。
http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20070617

その後の動きを見ると、アメリカのライス国務長官は6月18日、15か月間停止していたパレスチナ自治区への直接援助を米国政府が再開することを明らかにしました。
また、イスラエル政府は6月24日、パレスチナ自治区へ数億ドルの税収の送金を再開することを明らかにしまた。
これは、ヨルダン川西岸のファタハ指導者を対象にしたもので、ハマスのハニヤ前首相は、「送金はパレスチナ人全てが対象とされるべきだ」と主張して強く非難しています。

こうした支援策を受けて、ファタハのパレスチナ自治政府は4日、ヨルダン川西岸とガザ地区の公務員給与の支給を17か月ぶりに再開しました。
今後半年間で、未払い分の満額を銀行を通じて支給するそうです。
昨年3月にハマス政権が発足したことから、イスラエルと西欧諸国は自治区への援助を停止。
自治政府は財政難に陥り、公務員への給与は同3月以降一部を除いて支給が滞っていたそうです。
1年半も給与が払われずに、どうやって彼ら公務員は暮していたのでしょうか?
いずれにしても、そうした状態では公共サービスがまともには機能しないことは想像に難くありません。

一方、ハマスの支配するガザ地区に関しては、イスラエル軍は6月30日、ガザ地区での平和維持軍の活動を一切拒否すると宣言する中、ガザ地区南部に2回の空爆を行いました。
7月5日には空軍の支援を受けたイスラエル軍の地上部隊がガザ地区に進攻しハマス系の武装組織と激しく交戦したようです。

予想されたように、ファタハ政権には支援、ガザ地区のハマス勢力には圧力がかけられてきていますが、“毒素、病原菌を一箇所に集めたうえで、そこを集中的に切除する”という方策は、外科手術的には効果的な方策ではあります。
イスラエルが現に存在する以上、ハマスのようなイスラエル敵視政策を続けていてはパレスチナの安定は永遠に来ないと思われますので、今回このようなガザ地区に集中したハマス勢力を除く方針がうまくいくのであれば、それはそれでいいのかな・・・。
パレスチナの人々がそれを受け入れることができるのであれば・・・と思っています。

ただ、今後イスラエルとハマスの交戦が激しくなったとき、ファタハ政権はこれを“見殺し”にする非情さが持てるでしょうか?
それで、住民の意向を抑えることができるでしょうか?
ハマスが制圧されたとしても、ファタハ政権、及び住民に残る感情的なしこりは?
更に、ガザ地区からヨルダン川西岸へのハマスの影響の“転移”は起こらないのか?

“大義”“信念”、“生命・財産”“家族の生活”・・・いろんなものが関わってきます。
今後の展開はよくわかりませんが、住民、特にガザ地区住民の被害が大きくならないように願いたいものです。

コメント
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