孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

小型武器  進展しない国際的な拡散規制

2008-08-25 14:22:29 | 国際情勢

(アフガニスタンの武装警察官にrocket-propelled grenade launcher の使用法をレクチャーする米兵 こちらはもちろん正規のものです。 武器にはかわりありませんが flickr”より By soldiersmediacenter
http://www.flickr.com/photos/soldiersmediacenter/2276756375/)

【小型武器による死者は年約50万人で8割が子どもと女性】
国連会議などで問題とされる小型武器“とは致命的な戦争手段として使用するため軍隊仕様で製造された武器で、
(1)一人で携帯・使用が可能な「小火器(Small Arms)」(拳銃、ライフル、軽機関銃など)
(2)数名で運搬・使用が可能な「軽兵器(Light Weapons)」(グレネード・ランチャー、携帯型ミサイル、口径100mm以下の迫撃砲など)
(3)弾薬及び爆発物(地雷、手榴弾など)
の3種類があります。

日本国外務省ホームページによると
「小型武器は、紛争を長期化、激化するだけではなく、紛争終了後、人道援助や復興開発活動を阻害し、紛争の再発等を助長する原因となっている。
 特に、反政府ゲリラ等はあらゆるタイプの小型武器を使用していると言われており、不十分な治安に対する防御のために、一般市民が武器を求めるといった悪循環(市民の武装化)にも陥っている。
 このような背景から、非合法に流通し、過剰に蓄積された小型武器をどのように回収、破棄していくか、また、小型武器が非合法に流通しないように、いかに規制していくかが、国際社会において緊急の課題となっている。」

また、坂本義和 東京大学名誉教授 / 中村研一 北海道大学教授によると
「小型武器による死者は年約50万人で8割が子どもと女性。安価で規制が少なく、不法所持を含め10億丁以上が出回る。合法的製造者は98カ国に1000以上。その半数以上が米国内。この削減と不法取引防止のため、2001年7月、初の国連小型武器会議を開催、(1)製造元の特定のため、武器に製造者名を刻印し、取引業者の登録および輸出入承認制度を整備、(2)途上国での規制促進のために小型武器基金を創設、などを採択。06年の検討会議は米国の強硬な反対で決裂し、成果なく閉幕。今後の会議開催も白紙状態。」

【アメリカ・イランの反対】
制限のための国際会議については、現在一定の予定はあるようですが、いずれにしても議論が進展していないようです。

****国連:合意への道遠い小型武器貿易条約*****
国連によれば一般市場と闇市場で6億以上の小型武器が取引されている。それにもかかわらず、これらの武器の無謀な拡散を規制する国際条約はない。

 (国連での)2005年の隔年会議と2006年の小型武器に関する検討会議ではいずれも、成果文書に関して「コンセンサス」に達することができなかった。事実上コンセンサスとは「全会一致の合意」と定義されており、したがってわずか1国でも進展を阻止することができる。
 第三世界のある代表によれば、近年は米国が、そして米国代表が大半の会合を欠席した先月の会議ではイランがこうした役割を果たした。
 先月の会議では、全会一致の合意が不可能と分かると、参加者は成果文書について、前例のない投票を要求した。その結果、136カ国中、棄権したイランとジンバブエを除き134カ国が成果文書採択を支持した。

 9月中旬に開会する第63回国連総会でも小型武器に関する決議が検討される。次回小型武器に関する国連会議は2010年開催の計画である。【8月19日 IPS】
******************

なにかと対立することが多いアメリカとイランが、この件に関しては一致して小型武器取引制約に反対しているのは奇妙なことです。
どういう事情で両国とも武器輸出に関してご執心なのでしょうか?
話の本筋から離れますが、アメリカ、イランといえばこんな記事もありました。

【水面下で蠢くもの】
***イラン:米国産小麦の直接輸入6月から再開…28年ぶり****
イスラム革命後の80年に米国との国交を断絶したイランが、28年ぶりに米国産小麦の直接輸入を再開していたことが明らかになった。米紙ウォールストリート・ジャーナルが報じた。
 同紙によると、イランによる米国産小麦の輸入量は、6月からこれまでに100万トンを超えているという。米政府は核開発疑惑などに絡み、イランへの経済制裁を実施しているが、農産物の輸出は禁じていない。イランでは、日照りの影響で今年の国産小麦の生産量が昨年の1500万トンから約1000万トンまで落ち込むと予想されている。
 米国務省報道官は同紙の取材に対し、軍事技術に転用されそうな工業製品の輸出は禁じてきたが、農産物の輸出は禁じていないと説明。「政府には制裁を科してきたが、イラン国民には援助の手を差し伸べてきた」と述べた。【8月22日 毎日】
***************

対立している国へ人道的な援助をする・・・日本などでも北朝鮮への人道支援などが問題となったりしますが、個人的には結構な話かと思います。
結構な話ですが、イランが国際的に支援を必要とするほど困窮しているという話もあまり聞きません。
そんな感動的な話なら、最初から世界に公表すればよさそうなものを・・・。
イラン国民には援助の手“と言うよりは、お金や利権の匂いがするような・・・・

一事が万事で、表面上の関係や公の主張などとは別の世界でいろいろ蠢くものもあるようですが、世の中の事柄、すべてそういうものさ“と言われれば、そうだね・・・”と言うしかないです。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする