![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/9e/ad96097b9d8a31357c83d20125c6dcad.jpg)
(“flickr”より By Dude Crush
http://www.flickr.com/photos/haniamir/1576894929/)
【地形や文化を変える構造物は認めない】
アフガニスタンでの“ペシャワール会”伊藤さん殺害事件に関しては、いろいろな報道がなされていますが、その中で一番印象に残ったのが次の記事でした。
****アフガン拉致殺害:タリバン報道官、NGO復興事業を否定******
アフガニスタン東部で非政府組織「ペシャワール会」メンバーの伊藤和也さん(31)が拉致され、遺体で見つかった事件で、反政府武装勢力「タリバン」のザビウッラー報道官は28日、毎日新聞に対し、「拉致グループはタリバンの命令で拉致を実行した。当初は日本人だとは知らなかった」と語った。
日本人と判明した後は「日本政府にアフガン復興支援すべてを中止させるつもりだった」とした上で、「タリバンは殺害までは命じていない」と弁明した。
報道官は、拉致を命じた理由として、「ダム建設を中止させ、外国政府にアフガン政府と米国支援をやめるよう求めるつもりだった」とした。また、ペシャワール会については「知っている」としながらも、「我々は米や小麦、食用油など食糧支援は認めるが、道路や学校、ダムなど地形や文化を変える構造物は認めない」とし、地元住民に歓迎されてきたペシャワール会の復興支援事業そのものを否定した。【8月29日 毎日】
***********************
一昨日のブログでも書いたように、タリバンの今回の事件にしても、あるいは、かつてのバーミアン大仏破壊にしても、タリバン支配時代の異様な統治にしても、“何を考えているのかわからない”“どうしてそんなことを・・・・”といった“溝”を感じます。
上記の記事の“道路や学校、ダムなど地形や文化を変える構造物は認めない”という考えは、私達が今暮らしている社会の価値観を全て拒否するものに思えます。
そこにあるのは、かつての“部族社会”を頑なに守ろうとする強い意志です。
それにしては“食糧支援は認めるが”なんて、随分とご都合主義じゃないか・・・という話はさておきましょう。
【価値観の異なる社会に対して】
タリバンと言うと、“イスラム過激武装組織”と表現されますが、イスラムであるだけなら、このような“溝”は感じないのではないでしょうか。
世界中にいろんなタイプのイスラム社会があります。
イランのような“原理主義”と言われる社会もあります。
私達の社会からすれば多くの違和感・摩擦を感じる部分はありますが、“道路や学校、ダムなど地形や文化を変える構造物は認めない”といった社会はないように思えます。
タリバンに感じる違和感は、“イスラム”の部分より、“部族社会”のほうの問題が大きいのではないでしょうか。
タリバンが目指す“部族社会”再建には、私達の社会の民主主義や人権などの価値観、経済的な発展、文化・芸術・・・そういった社会の基本的な価値観と相容れない異質さを感じます。
全く価値観が異なるタリバン社会に対してどのように対応すればいいのか?
ひとりでは外出さえ許されない女性の権利のような、私達の価値観すれば、民主主義や人権の面で多々問題を感じるとき、“彼等は価値観が違うのだから”と放置していいのか、それとも“改めるべきだ”と迫るべきか、それでも変化がないときは・・・。
【アマゾン先住民は希少生物か】
以前、アマゾンで現代社会と全く接触を持たずに暮らしている先住民族が“発見”されたと話題になりました。
実際はその存在は以前から知られており、存続の危機を訴えるために敢えて写真が公開されたもののようです。
そうした先住民族の社会・文化を守るため、“国際法にのっとって彼らの居住区を保護しなければならない。さもなければ彼らは絶滅してしまうだろう”・・・というのは、文化保護対策ではあるでしょうが、なにか希少生物の保護の話のようで、少し違和感もあります。
先住民は単に保護すべき“珍しい生き物”ではなく、私達と同じ人間です。
例えば、医療を受けることなく死んでいく乳児について、“先住民文化・社会保護”ということで放置すべきなのでしょうか?
こういう話をしていると、植民地拡大のお先棒となって異文化を否定した宣教師みたいでいやなのでやめます。
ただ、タリバンにしても先住民にしても、自分達と全く異質な社会、自分達の価値観からすると認めがたいところがある社会にどのように対応したらいいのか・・・よくわかりません。