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(ユネスコが推進している識字教育 その対象の6割は、社会的権利が未だ保証されていない女性です。
アフガニスタンの15歳以上の女性の識字率は2割程度とみられています。読み書きができるということは、社会を構成する一員として、その能力を発揮する上で不可欠の要素です。
なお、ユネスコは10月31日の総会でパレスチナの正式加盟を賛成多数で可決。これを受け、予算の22%を占める最大の分担金拠出国だったアメリカが国内法の規定などを理由に拠出停止を決定。このため、資金不足に陥っているユネスコは、重要プログラム以外はすべて削減の対象にしています。
ただ、世界遺産関連や識字率向上、男女平等社会の推進などは「優先プログラム」として、削減対象からははずれているとか。【12月3日 毎日より】
写真は“flickr”より By United Nations Assistance Mission in Afghanistan http://www.flickr.com/photos/unama/4970014081/ )
【24年までの米軍駐留継続を認めるジルガ】
アフガニスタンでは、国際治安支援部隊(ISAF)からアフガニスタン側への治安権限移譲が2014年末の完了を目標に進められ、米軍などの外国部隊の撤退が進行しています。
現在ですら危ういカルザイ政権ですが、米軍などの撤退によってアフガニスタン情勢がどうなるのか・・・懸念されています。
民間人誤爆などを巡って日頃からアメリカと衝突することも多く、また、アメリカ側からはその汚職・腐敗体質や能力不足を批判されているカルザイ政権ですが、基本的には15年以降の米軍駐留継続を求めています。
****アフガン国民大会議、米軍の駐留継続認める*****
アフガニスタンの首都カブールで米国との関係や反政府武装勢力タリバーンとの和解策を議論するため開かれた「伝統的ロヤ・ジルガ(国民大会議)」は19日、カルザイ大統領の方針である米軍駐留継続を支持する政府への提言をまとめ、閉幕した。
16日に始まったジルガでは約2千人が40のグループに分かれて議論。参加者によると、米国と交渉中の戦略的協調関係をめぐっては、2014年末にアフガン側への治安権限移譲が完了した後、24年までの10年間に限り米軍の継続駐留を認める政府案が示された。ジルガは提言でこの方針を是認し、状況に応じた延長も可能にすべきだとした。
また、駐留継続を認める条件として、米軍による民家への夜襲やアフガン人拘束の禁止、国土を他国への攻撃に使用しないことなどを米国に認めさせるべきだと求めた。ジルガで示された「国民の支持」を背景に米国との交渉を加速させたいカルザイ氏は閉会の演説で、「提言は国民から政府への指示だ」と語り、決定に従う意向を示した。
一方、和解についてジルガはタリバーン指導部に影響力を持つとされるパキスタンの協力が重要だとした。9月に暗殺されたラバニ元大統領が議長を務めた高等和平評議会の見直しも求めた。【11月19日 朝日】
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なお、“部族指導者や宗教学者などからなるジルガ参加者は、政府の意向に沿って人選されているとの指摘もあり、国民の総意といえるか疑問もある”【11月19日 読売】との指摘もあります。
【部隊撤退で援助も減少】
米軍撤退に伴い、タリバンとの力関係がどうなるのか・・・という問題もありますが、それ以外にも、これまでアフガニスタンの経済・財政を支えてきた国際的な援助が減少するという問題があります。
米軍駐留が継続したとしても、援助の先細りは避けられないところでしょう。
多額の資金援助を行っている日本にも関係した問題です。
****細るアフガン援助 「米軍撤退後」巡り、独で国際会議****
アフガニスタンに対する国際社会の長期的支援について話し合う国際会議が5日、ドイツのボンで開かれる。7月に始まった米軍の撤退に伴い援助も大幅に減り、経済や財政が行き詰まる可能性があるとの懸念の高まりが背景にある。
国際治安支援部隊(ISAF)からアフガン側への治安権限移譲は2014年末の完了を目標に進められ、同時に外国部隊の撤退も進む見通しだ。
だが、部隊撤退で援助も減少すると見られている。最大援助国・米国などにとって、援助は治安作戦に地元の協力を取り付ける手段の側面が強かったからだ。道路や学校などの小規模インフラ整備もかなりの部分を、司令官の裁量で行う軍予算や軍民一体型の地域復興チーム(PRT)を通して実施してきたとされる。
世界銀行の報告書によると、昨年度のアフガンへの各国の援助総額は国内総生産(GDP)に匹敵する157億ドル(1ドル=約78円)で公共支出の9割に上る。世銀は「援助額は極めて大きく、持続は困難だ」と指摘する。米国の開発援助機関、国際開発局(USAID)を通じた援助も昨年度の34億ドルがピークで、今年度は21億ドルにとどまった。
世銀の試算では、治安確保のため計35万2千人までの増員を目指す軍・警察の支出が負担となり、10年後でも72億ドルの財政赤字が見込まれる。世銀は「急激な援助の減少は国の破綻(はたん)を招きかねない」と警告する。
そのためアフガン側はボン会議で「14年以降の長期的な国際社会からの支援を取り付けたい」(ムサザイ外務省報道官)考えだ。だが、欧州や米国は債務危機や経済停滞に見舞われており、具体的な議論が深まるかどうかは不透明だ。
第2位の援助国日本は09年に5年間で最大50億ドルの支援を表明。最貧国への援助としては異例の額で、米国への協力の意味合いが強い。だが、欧米のアフガンへの関与が低下しつつある中で、15年以降の日本の立ち位置も定まっていない。
会議は01年12月にタリバーン政権後の新生アフガン国家の枠組みを決めたボン合意から10年の節目にドイツ政府が準備。カルザイ大統領が議長を務め、クリントン米国務長官など約90カ国の外相らや潘基文(パン・ギムン)国連事務総長が参加する。
当初は反政府武装勢力タリバーンの代表を出席させる案もあったとされるが、実現しなかった。【12月4日 朝日】
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【ISAF誤爆で「米国に強く出る絶好のタイミング」】
なお、上記記事にある5日にボンで開かれる国際会議ですが、差し迫った問題としては、米軍主導の国際治安支援部隊(ISAF)がパキスタンにある検問所を誤爆し兵士24人が死亡したとされる事件を巡って態度を硬化させているパキスランが、会議出席を取りやめる・・・という事態になっています。
****パキスタン、アフガン復興会議欠席…誤爆に抗議****
パキスタン外務省は11月29日、12月5日にドイツ・ボンで開かれるアフガニスタン復興に関する国際会議への参加を取りやめると発表した。
11月26日の北大西洋条約機構(NATO)軍による検問所誤爆への抗議が理由としている。
国際会議は外相級で、およそ100の国・国際機関の代表が参加し、米軍を含む外国軍の戦闘部隊が撤収する2014年以降のアフガン安定化策を議論する。
会議は、現在駐留するNATO軍に最大の兵力を送り込む米国が主導するとみられており、パキスタンは欠席表明に、関係が悪化する米国への反発も込めたとみられる。
パキスタンは、旧支配勢力タリバンに強い影響力を持つとされ、タリバンとアフガン政府の和平交渉の成否も左右するとみられている。NATOの誤爆で態度を硬化させるパキスタンが、さまざまな協力を拒むようになれば、影響は今回の会議だけにとどまらない。【11月30日 読売】
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パキスタン側は、ISAFへの補給路の遮断やシャムシ飛行場からの米軍の撤退などの報復措置に出ていますが、“ビンラーディン容疑者襲撃以降、メンツを失った(パキスタン)政府や軍にとっては、「米国に強く出る絶好のタイミング」(地元記者)とも指摘される。パキスタンは2013年に下院の任期切れを迎える。国内情勢は総選挙モードに突入していることもあり、米国への厳しい姿勢は当面続くと予測される。”【12月2日 産経】とのことです。