(パーティーで大騒ぎするベルリン警察の警官【6月28日 ビルド】)
【ドイツ人気質とは? 日本人と似ている?】
個人の性格などについても、「あなたはこんなイメージ」と言われると、「そんな簡単に言ってほしくないな・・・」と思うものです。
ましてや、“国民性”とか“社会のイメージ”となれば、それほど簡単に言い表されるものでもないでしょうし、当たっていると思われるものについても、当然ながら規格外の人は大勢います。
日本人についても、勤勉とか、真面目とか、きれい好き・・・とか言われますが、そうでない人は周囲を見渡しただけでもはいて捨てるほどいます。あるいは、自分自身を見ても・・・・。
欧米系のなかでは比較的日本人に似ている・・・といったイメージ評価をよく目にするのがドイツ人です。
そのイメージは、超簡単に言えば「勤勉で、真面目で、きれい好き、論理的」といった類でしょう。
もう少し膨らませば、以下のようなイメージでしょうか。
****日本人が意外に知らない、ヨーロッパ主要8か国の国民性とは? ****
ドイツ人
よく「日本人と似ている」と話題にのぼるのがドイツ人。確かに、真面目で時間厳守、周囲の目を気にするところは日本人と似ています。
一方で、日本人と大きく違うのは、ドイツ人が「世界一のケチ」という評判さえあるほどの倹約家であること。日本人と違って高価なブランド物には興味を示さず、あくまでも機能性重視。ファッションに必要以上に手間やお金をかけず、女性はあまりメイクをしないのがドイツ流です。
ドイツのスーパーでは、各商品のグラムあたりの単価が表示されており、値段を比較しやすいようになっています。日本人のように「高いからいい物なのだろう」とは考えず、高い理由に納得できなければ購入しません。
決まりごとが大好きでルールに厳しいドイツ人は、仕事にせよ家事にせよ、しっかりと計画を立ててその通りにこなすのが得意。長く厳しい冬を乗り切るため、食料などを計画通りに消費する必要があった時代が長いためだといわれています。掃除や整理整頓もお手の物で、インテリア雑誌から飛び出してきたかのような住まいも珍しくありません。
住まいに手をかけても食にはこだわらないのがドイツ人。特に北ドイツは土地がやせていて食材に乏しく、料理が発展しなかったため、ドイツの伝統的な食文化は保存食が中心。グルメでファッションにこだわる日本人とはまるっきり違うところもあるのです。【1月7日 赤松春奈氏 msnニュース】
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【ベルリン警察:われわれはただのパーティー好きな警察ではなく、プロフェッショナルな首都の警察だ!】
そんなイメージからすれば、「おやおや・・・」という感もあるニュース。
****G20警備で応援の独警官一団、どんちゃん騒ぎで帰任 公然とセックスも****
20か国・地域(G20)首脳会議が来週開催されるドイツ北部の港湾都市ハンブルクで、首都ベルリンの警察官200人以上が、パーティーで酒に酔ってどんちゃん騒ぎを繰り広げ、公然とセックスするなどしたため、帰任を命じられた。
ベルリンに配属されていた警官220人は、来月7日から8日にかけて開催されるG20の期間中における治安維持のための応援でハンブルクに派遣されていた。G20の間、同地には反グローバリゼーションを掲げるデモ隊数万人が集まると見込まれている。
だが地元メディアが27日に報じたところによると、警官たちは職務に臨む前に、宿泊施設でどんちゃん騒ぎを開いてしまった。一部の警官は公然とセックスを行ったり、フェンスに向かって集団で小便をしたり、武器を手にストリップダンスを繰り広げたりしたという。
地元紙「B.Z.」は、「ある女性警官がバスローブ1枚を羽織っただけという格好で武器を手にテーブル上で踊っているところが目撃された」と報じ、午前6時半に終了したというパーティー後、散らかった食堂で酒を手にポーズを取る警官たちの写真を掲載した。
公共放送「RBB」が報じたところによると、少なくとも警官1人が同国西部ブッパータールから派遣された警官との殴り合いのけんかに関与したという。
ベルリン警察はツイッター上で今回の騒ぎを認め、ハンブルクに送られた応援部隊が、任務完了を待たずして任務を解かれたとの報告があったと投稿。「その理由は現地の宿泊施設での不祥事だ」と述べた。【6月28日 AFP】
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AFPが世界配信するぐらいですから、「おやおや感」はそれなりにあるのでしょうが、これだけであれば、「まあ、たまにはそんなこともあるだろう・・・」で終わります。この話の面白いところは、帰任を命じられたベルリン警察当局の「それがどうした!」と言わんばかりの反応です。
****ベルリン警察「われわれも人間」 どんちゃん騒ぎの警官ら擁護****
ドイツ北部ハンブルクで来週開催される20か国・地域(G20)首脳会議の警備のため首都ベルリンから派遣された警察官たちが、どんちゃん騒ぎのパーティーを開いて帰任を命じられた問題で、ベルリン警察当局は28日、警察官も「ただの人間」だと擁護した。世界的に有名なベルリンのクラブシーンでは、警察官らを称賛する声が上がっている。
問題を起こしたのは、来月7、8日に開催されるG20の警備の応援でハンブルクに派遣されていたベルリンの警察官の一部。公然とセックスをしたり、フェンスに向かって集団で小便をしたりしたほか、バスローブ1枚を羽織り武器を手にストリップダンスを繰り広げた女性警察官もいた。
この騒ぎを受け、ハンブルク当局はベルリンから派遣された警察官約220人の職務を解き、帰任させた。
ベルリン警察当局は、フェイスブックに発表した声明で「そうだ、われわれはパーティーを開いた」と認めた上で、同僚の警察官2人の誕生日を祝うため、フェンスに囲まれた仮設宿舎の敷地内で行われたものだと説明。「飲酒し、踊り、小便し、警察発表にあったようにセックスした者もいたようだ」と述べた。
だが、声明は続けて「われわれの制服の中は、ただの人間にすぎない」と指摘。騒いだ警察官らについて、勤務中には重大な責務を背負っている若い男女で、普段は「大変プロフェッショナル」だと擁護した。
さらにベルリン警察当局の声明は、今回の予期せぬ注目を警察官の新規採用につなげ、「このプロフェッショナルな仕事について、ぜひ自分の目で確かめてみてほしい。われわれはただのパーティー好きな警察ではなく、プロフェッショナルな首都の警察だ」と勧誘している。
ドイツ政界では今回の騒動を問題視する声が上がっているが、ナイトクラブで知られる地元ベルリンでは、業界団体が「世界の政治家が会議を開くわずか10日前に、ベルリンの警察官たちは模範を示すという職務を果たし、素晴らしいパーティーを開いた」と冗談交じりに称賛。「ベルリンに戻ったら好きなクラブに招待する」と表明した。【6月29日 AFP】
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お堅いイメージのドイツの首都警察当局(日本で言えば警視庁でしょうか)にしては、ずいぶんとくだけた対応です。ふっきれた対応に思わず“いいね!”を送りたくなりました。
(フェイスブックに発表されたベルリン警察当局の声明”というのは本当に当局の公式見解でしょうか?警官組合とかそういうものではなくて・・・)
本当に公式見解なら、日本では到底考えられない対応で、“日本とドイツは似ている”云々があてにならないことも示しています。(警視庁なら懲戒処分でしょう)
【“お堅い”メルケル首相も総選挙をにらんでソフトイメージへ】
お堅い話に戻すと、ドイツでは3か月後に総選挙を控えています。
一時、中道左派の社会民主党に支持率で肉迫されたメルケル首相率いる保守系のキリスト教民主・社会同盟ですが、その後再びリードを大きくしていることは報道のとおりです。
メルケル首相としては、ベルリンの警察官たちが帰任を命じられた7月上旬のG20を無難にこなせば、ゴールも見えてきます。
****独総選挙まで3カ月 首相陣営、再び勢い 社民、挽回へ“違い”アピール躍起****
ドイツの連邦議会(下院)選挙は9月24日の投票まで3カ月を切った。4期目を目指すメルケル首相の陣営は一時、ライバルの中道左派、社会民主党に支持率で肉迫されたが、再び勢い付く。
連立相手でもある社民党はメルケル氏との“違い”をアピールし、対決姿勢を一段と前面に打ち出すなど巻き返しに躍起だ。
公共放送ARDが伝えた最新の世論調査では、メルケル氏の保守系、キリスト教民主・社会同盟の支持率が39%に対し、社民党は24%。両党は3月まで約30%で並んでいたが、この約3カ月で15ポイントも差が開いた。
同盟は難民流入やテロで支持率を落としたが、メルケル氏がトランプ米大統領と渡り合うなど外交で存在感を改めて示したこともあって回復。社民党は首相候補のシュルツ党首の下で党勢を急回復させたが、シュルツ氏には「政策があいまい」との批判が付きまとった上、地方選でも連敗して勢いに乗れなかった。
社民党はこのため25日に決めた選挙公約で、中低所得者への減税など「公正」重視の政策を掲げたほか、同盟が反対する同性婚合法化を主張。
外交でもトランプ氏が求め、同盟も前向きな国防支出拡大を「軍拡政策に服従しない」と拒む一方、マクロン仏大統領が主張し、同盟に慎重論が強いユーロ圏共通予算を支持。争点化する構えを示した。
ただ、同盟も減税を検討しており、メルケル氏とマクロン氏の良好な関係が定着する中、社民党の主張がどれだけ争点として浸透するか不透明だ。社民党はメルケル氏が優勢を保つため政策論争を避けているともみており、シュルツ氏はその姿勢を「民主主義への攻撃」「権力の傲慢」と異例の厳しい表現で批判した。
メルケル氏にとってはトランプ氏も出席し、7月上旬に北部ハンブルクで行われる20カ国・地域(G20)首脳会議が当面の焦点。取りまとめに失敗すれば、社民党につけ込む余地を与えかねない。
独誌シュピーゲルは「社民党はこれまでになく団結しており、メルケル氏にはなお危険になりえる」と指摘している。【6月27日 産経】
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もっとも、記事にもあるように社会民主党も党勢挽回を狙っています。
独社会民主党、富裕層増税を提案 支持率回復目指す【6月20日 ロイター】
独社民党、労働市場改革見直しを公約 メルケル氏に対抗【6月26日 朝日】
メルケル首相としても、無策でいい訳でもありません。
冒頭のイメージ云々の話にもなりますが、メルケル首相というと、どうしても“お堅い・生真面目”イメージも。
そんなメルケル首相と国民世論とのズレが出ているのが“同性婚”問題。
そこで、“お堅い”メルケル首相も、印象操作として同性婚容認に転じたようです。
****ドイツ、同性婚合法化へ 9月の総選挙見据え今週にも****
ドイツで早ければ今週にも同性婚が合法化される見通しとなった。各党が相次いで同性婚に賛同する姿勢を示す中、反対しているのはアンゲラ・メルケル首相が党首を務める与党の中道右派キリスト教民主同盟(CDU)などにとどまっており、9月の総選挙で不利になることを避けるため、ここにきてメルケル氏が方針転換したとみられる。
同性婚が合法化されると、同性カップルによる養子の受け入れなどが可能となり、結婚によって得られる権利が全面的に認められる。ドイツの同性カップルには現在、いわゆるシビル・ユニオン(結婚に準じた権利を認める制度)しか認められていない。
これまでメルケル首相は同性婚の合法化について、「子どもの幸せ」への懸念から個人的な見解は差し控えると表明してきた。
しかし、連立政権を組みながら総選挙ではCDUのライバルとなる中道左派の社会民主党(SPD)は25日、今後は同性婚の合法化を求めていくと主張し、連立合意の要求水準を引き上げていた。
この他にも、野党の緑の党や極左の左派党、財界寄りの自由民主党(FDP)が同性婚の合法化に賛成している。そのため反対しているのはCDUと右派ポピュリスト政党「ドイツのための選択肢(AfD)」のみという状況になっていた。
ただメルケル首相は26日、ドイツの女性誌「ブリギッテ(Brigitte)」による公開インタビューで方針の転換を示唆。最近、バルト海沿岸の自身の選挙区で8人の養子を愛情込めて育てるレズビアンのカップルに出会い、「心に残る経験」をしたため、考えが変わったと述べていた。【6月28日 AFP】
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