(全国の新型コロナによる死者数 【NHK】)
【ウイルスは弱毒化したのか?】
新型コロナへの対応で迷うのは、そのリスク・危険性をどう評価していいかわからないためです。
ひところのエボラ出血熱のように致死率が50%だ、60%だと言う話なら、とにかく感染防止最優先になります。(エボラモも現在はワクチンが開発され、状況はだいぶ変わっているようです)
一方で、重症化するのは高齢者などハイリスクの者にほとんど限定されるゆなら、まあ「コロナに気をつけましょうね」でおしまい。
もちろん、高齢者や介護施設等の対応は考える必要がありますが、そうした者が重症化し、場合によって死に至るのはインフルエンザでも、普通の風邪でも同じで、特に新型コロナに限った話でもありません。新型コロナもインフルエンザ流行に準じて考えればいいという話にもなります。
日本では東京、20代・30代を中心に感染者が再び増大していますが、重傷者や死者の数はそう増えていません。
そうした現象も含めて、「新型コロナは弱毒化したのではないか?」との考えも見聞きします。
一時期新型コロナが猛威を振るった北イタリアでも同じような「弱毒化」が見られるとの指摘が。
****「どう猛な虎からヤマネコに変わった」新型コロナウイルスはワクチンを待たずに消滅か****
新型コロナウイルスは弱毒化したか
「どう猛な虎がヤマネコに変わった」
新型コロナウイルスの感染が再び拡大しているのに重症患者や死者が増えていないことについて、何か情報がないかインターネット上を探していたところこんな見出しの新聞記事に出会った。
英国紙ザ・テレグラフ電子版6月20日の記事で、新型コロナウイルスが猛威を振るったイタリアで患者の治療に当たったサンマルティノ病院の感染症部門の医長マテオ・バセッティ教授にインタビューをして、見出しのような表現でウイルスが弱毒化しているという証言を得たというものだ。
「ウイルスは劇的に変異したというのが私の印象だ。3月から4月始めにかけての状況は今とは全く違った。緊急治療室に運ばれてくる患者の容態は極めて重く酸素吸入が必要で、肺炎を発症しているものも少なくなかった。
それが今は、この4週間を見る限りでは、患者の症状は極めて軽症に変わった。呼吸器官内のウイルスによる負荷が軽減されたと考えられる。恐らくはウイルス自身の突然変異の結果と考えられるが、これはまだ疫学的に証明されたわけではない。
3月、4月頃のウイルスはどう猛な虎のような存在だったが、今はヤマネコみたいだ。最近は80際、90際の患者もベッドから身を起こして機器の助けなしに呼吸をしている。かつて高齢の患者は、2〜3日で死亡していたのに」
イタリアでは今年3月にウイルス汚染が爆発的に拡大し、感染者が日に6000人、死者は1000人近くに達したが、その後感染者、死者共に減少し今では日に感染者は200人前後、死者は十人台になっている。
その原因について、バセッティ教授はこう推測する。
「我々の免疫のための努力でウイルスが弱体化したようで、都市封鎖やマスク着用、社会距離の確保の結果ウイルスの毒性が低下したと考えられるが、具体的に何がここまで大きな変化をもたらしたのかは明らかにしなければならない」
またウイルスの今後については、
「ワクチンに頼らずにウイルスが消滅することは十分あり得ることだ。感染者は日を追って少なくなっており、ウイルスが死滅することになるかもしれない」
「地獄図」とまで言われたイタリアのコロナウイルス汚染の中で、いわば体を張って患者の治療に当たったバセッティ教授の言葉は重いが、懐疑的な意見も少なくない。
ザ・テレグラフ紙は英国のエクスター医科大学の上級医学講師のバーラット・バンカニア教授の「ウイルスが死滅するというのは短期的には楽観的すぎる」という談話を紹介している。
英国では新型コロナウイルスの死者が一時は日に4000人を越えたが、最近は数十人単位に減ってきていることもあってこの記事は注目されている。各メディアが引用して政府を影響したのか、13日パブやレストラン、美容院が3ヶ月ぶりに再開されることにもなった。
アメリカ大統領選への影響は?
またこの記事は米国のマスコミにも引用されているが、トランプ大統領はかねて「ウイルスはインフルエンザと同じ。やがて消え去る」と言っており、もし本当にウイルスが消滅するようなことになれば大統領選に大きな追い風になることが考えられる。
「新型コロナウイルスは2020年の大統領選を翻弄し、『強運』のトランプ大統領再選をもたらすかもしれない」
普段はトランプ大統領に対して厳しい論調を貫いている米政治・経済専門のニューズレター「ワシントン・ウォッチ」は、3日付けの記事でこう伝えている。【7月20日 木村太郎氏 FNNプライムオンライン】
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トランプ大統領はあいかわらず新型コロナを問題視しない姿勢を続けています。
****トランプ大統領「多くは一日で治る若い人」*****
アメリカで新型コロナウイルスの一日の感染者数が7万人を超える中、トランプ大統領は「多くは一日で治るような若い人たちだ」と述べ、改めて楽観的な見方を示しました。
トランプ大統領「感染者の多くは一日で治るような若い人たちだ。症例数とすべきではない。彼らがひいてるのは鼻風邪だ」
トランプ大統領は、FOXニュースのインタビューで、このように述べた上で、新型ウイルスについて、「ある時点で消えてなくなるだろう」と改めて楽観的な見方を示し、「いずれ私が正しいことになる」と強調しました。
また、マスクの着用をめぐっては「私はいいと思うが、マスクは問題を起こすこともある」と述べ、全国的な義務化は必要ないとの考えを示しました。(後略)【7月20日 日テレNEWS24】
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新型コロナが終息することで、世界にとって厄介なトランプ大統領が再選を果たすということになると、それはそれで困ったことですが・・・・
弱毒化することと、消えてなくなることとは別物で、弱毒化した状態で蔓延が続くということもあるでしょう。
また、“一日で治る”とかいうのも言い過ぎだと思います。
ただ、日本のように“死んでもコロナに感染したくない”という不安神経症・強迫性障害的反応をとる必要もないのかも・・・というのは私も感じます。
【「これから重症者や死亡者は遅れて増えてくる」という“良識的”見解】
ただ、世間の“良識的”見解は異なります。
****新型コロナ 重症者数は鋭敏な指標ではない理由****
(中略)
重症者は遅れて増加してくる
第1波を振り返ってみますと、新規患者数と重症者数のピークには約2週間のタイムラグがあることが分かります。
これは、しつこく毎回言っていますが、新型コロナの特徴的な経過によるものです。
新型コロナウイルス感染症は発症してしばらくしてから急に悪化します。典型的には、発症から7~10日経ってから悪化してきます。
新型コロナ患者の多くは、発症から1週間前後で診断されていますが、高齢者や基礎疾患のある人はより短期間で診断される傾向にあるため、重症者が増えてくるのは診断時よりも後になります。
つまり、重症者のピークは今よりも確実に遅れてやってきます。
今、重症者数や死者数が少ないため「ウイルスが弱毒化した」とか「夏は新型コロナの致死率が低くなる」といった意見が散見されますが、いまのところそのような科学的根拠はなく、これから重症者や死亡者は遅れて増えてくるものと思われます。
例えば、第1波の症例数が増加している時期であった4月17日時点での致死率はわずか1.6%でした。
しかし、直近の7月8日には4.9%にまで上昇しています。(中略)
この状況がこのまま続くとどうなるでしょうか。
東京と同じ様に、当初流行の中心が若者であったフロリダの状況が参考になるかもしれません。
フロリダ州では6月から流行がさらに加速し、7月に入ってからは1日平均10000人以上が新型コロナと診断されています。
当初、流行の中心は若い世代であり、症例が増加しても死亡者は増えていませんでした。
しかし、高齢者の感染者が増加するにつれ、死亡者も増加傾向にあり、現在は1日に100人以上の方が亡くなっています。(後略)【7月19日 忽那賢志氏 YAHOO!JAPANニュース】
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今後、中高年層の感染も拡大することで死者数は増加するのかも。
ただ、問題はその程度です。社会的に許容することができる程度のものなのか、そうでないのか。
【ウイルスより怖い世間】
“油断するな、気をつけろ”“これから悪化する恐れがある”というのは“常識的”“良識的”ではありますが、ひところの北イタリアの状況と今の日本ではやはり何か決定的に異なるファクターがあるようにも思えます。
また、再三言うように、高齢者などハイリスク者が危険なのは新型コロナに限った話でもありません。
私個人の正直な印象を言えば、新型コロナ自体についてはさほど心配していません。
感染することはあるでしょうし、運悪く重症化することもあるでしょう。まあ、人生なんてそんなもので、厄介ごとは多々あります。それを恐れて引きこもっていてもしかたありません。
ただ、感染に伴うもろもろの大騒ぎ・世間的な厄介ごとは非常に心配です。
自分が感染したことで職場も閉鎖になって・・・ということを考えると不安にもなります。
一言でいえば、ウイルスより世間が怖いということです。
そのあたり、日本社会の特殊な構造、しばしば同調圧力といった言葉でしめされるような構造については、また別の問題ともなりますので、また機会を改めて。