(【2月24日 NHK】 イスラエル ジム入場時の「グリーンパスポート」チェックでしょうか?)
【ワクチン接種者に「グリーンパスポート」 施設入場や店内飲食が可能に】
新型コロナワクチンに関しては、その接種率で見ると、イスラエルが世界最速ペースで進んでいることは周知のところです。
その背景には、汚職疑惑の渦中にあるネタニヤフ首相が政治的生き残りをかけてワクチン確保に邁進したことに加え、多様な人種に関するデータが得られると言う製薬会社側の事情、保険制度・個人情報管理などイスラエル国内の事情などもあります。
****イスラエルで進む「巨大な実験」の行方 ワクチンでの集団免疫は実現する?****
ワクチン接種が世界最速レベルで進む中東の国、イスラエル。2月25日時点で人口約900万人の半数近くが少なくとも1回のワクチンを接種し、2回目をすませた人も300万人以上にのぼる。
接種が進む背景には政治的な状況がある。
イスラエルでは3月23日に総選挙投開票が予定され、ネタニヤフ首相が続投を目指す。ワクチン入手で各国が苦心するなかファイザーから買い付け、最高経営責任者(CEO)との個人的なパイプのおかげ、と宣伝した。
ファイザーにとってもイスラエルとの連携は渡りに船だ。人種の多様性とハイテクでは中東随一の国。デジタル化された各人種の医療データがタイムリーに提供されるのだから、巨大な「実験場」を確保したに等しい。
国民皆保険のイスラエルでは日本の健康保険組合のような非営利の「健康維持組織(HMO)」が4種ある。それぞれが医療機関やスタッフを擁し、サービスを競い合う。政府が昨年12月、60歳以上などへの接種を決めると各機構とも一斉に電話やメッセージで利用を呼びかけ、瞬く間に1~2カ月待ちになった。
一般に、ユダヤ人は迫害の歴史から危機に敏感だとされる。政府の対応に共感すれば即刻従うが、納得しないと動かない。
例えば接種の呼びかけに素早く応じた60歳以上。感染すると重症化しやすい世代だが、1948年の建国当初から国を守ってきた自負が強く、危機には「戦時メンタリティー」で臨むことで知られる。そのせいか政府も「接種で勝利」と戦時さながらのポスターを病院に張り巡らせている。
だが16歳以上の全住民に対象が拡大された2月初めごろから、こうした流れは鈍化を見せている。若い世代が慎重なのだ。イスラエルの平均年齢は30.5歳。感染しても重症化しにくい世代で、むしろ副反応を気にしている。加えて若年人口が特に多いアラブ系やユダヤ教超正統派は政治的にも反ネタニヤフで呼びかけを無視する構えだ。
新型コロナではワクチン接種が人口の6~7割まで進まないと集団免疫は実現しないとされる。イスラエルで実現するのか。今後も目が離せない。【3月15日 AERA,dot】
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そのイスラエルでは、「ポスト・コロナワクチン」とも言うべき、ワクチン接種が進んだ後の社会の在り様を示す動きも始まっています。
2月21日には、全2回の接種者に「グリーンパスポート」を発行し、スポーツジムや文化施設など感染リスクが高いとされる場所に入る際、提示を義務付ける制度が始まっています。飲食店でも「グリーンパスポート」保持者の店内飲食が可能に。
****イスラエル、店内飲食再開 「グリーンパス」保持者対象****
イスラエルは7日、新型コロナウイルスワクチン接種証明書「グリーンパス」の保持者を対象に、飲食店やバー、カフェの店内利用を再開した。国民の約40%が接種を完了する中、イスラエルは生活の正常化に向けて歩みを進めている。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、エルサレムのカフェで菓子にナイフを入れる自身の動画をフェイスブックに投稿し、「日常が戻りつつある」と宣言した。(中略)
イスラエルは先月、ワクチン接種を完了した人と感染から回復した人に証明書「グリーンパス」を発行し、ジムやプールなどの利用を認める取り組みを開始した。
飲食店では7日から、テーブル間隔を2メートル空け、入店可能人数を定員の最大75%、上限は100人とすることで、店内利用が可能となった。
グリーンパスの保持者はバーの利用も可能となったが、同居者以外とは1席ずつ空けて着席することが条件となる。【3月9日 AFP】
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【ワクチン外交 国内批判で凍結】
ワクチンが新型コロナ禍脱出の切り札であるのは言うまでもありませんが、外交上もいろいろと使い勝手の良い「有効」なカードとなっています。
よく取り沙汰されるのは中国の「ワクチン外交」ですが、イスラエルも負けていません。
多量の確保したワクチンを国民生命以外の外交目的で使用しています。
****イスラエル、「捕虜交換」見返りにシリアに露製ワクチン提供か****
イスラエルの有力紙イディオト・アハロノトなどは20日、シリアで拘束されたイスラエル人女性を解放してもらう見返りに、イスラエル政府がシリアに新型コロナウイルスのロシア製ワクチンを購入する密約を交わしたと報じた。事実ならワクチンが「身代金」代わりにされたことになる。
報道によると、購入するのは露ワクチン「スプートニクV」数十万回分で、費用は100万ドル(約1億円)超という。
女性は今月2日、徒歩でシリアに入り、拘束された。女性はスパイではないと判断され、両国がロシアの仲介で交渉した結果、イスラエルで拘束されていたシリア人羊飼い2人との「捕虜交換」の形式で19日に解放されたという。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相は20日、疑惑を記者団に問われると、国民向けのワクチンは「一本も使われていない」と釈明した上で「ロシアの要求を尊重する」として詳細なコメントは避けた。シリア国営通信は20日、「捏造ねつぞうされた情報だ」と疑惑を否定した。【2月22日 読売】
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****イスラエルがワクチン外交へ 大使館のエルサレム移転後押し****
イスラエル政府は23日、諸外国に新型コロナウイルスワクチンを提供すると発表した。国名は挙げなかったが、複数のイスラエルメディアは外交筋の話として、チェコやホンジュラスが含まれると報道。
いずれも大使館のエルサレム移転に前向きで、イスラエルがワクチン外交を活発化させ移転の着実な実施を促す思惑があるとみられる。
これとは別に、パレスチナ自治政府の医療スタッフにも提供する。
チェコ通信などによると、5千回分の米モデルナ製ワクチンがこの日、イスラエルからチェコに到着。ホンジュラス政府はイスラエルから5千回分のワクチンを期待していると明らかにした。【2月24日 共同】
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しかし、こういう外交目的でのワクチン「ばらまき」は国内でも批判があり、凍結されたとか。ワクチンがまわらじイスラエル占領下のパレスチナからの批判も。
****イスラエル国防相が「ワクチン外交」凍結を表明、法的問題浮上で****
スラエルのガンツ国防相は25日、「ワクチン外交」として批判が集まっている新型コロナウイルスワクチンの海外向け提供計画を凍結する方針を明らかにした。
ネタニヤフ首相は友好関係にある諸外国にワクチンを贈与する方針を示しており、イスラエルが占領しているパレスチナ地域の住民からは、なぜこちらにもっと供給しないのかと不満の声が出ている。
ネタニヤフ氏は24日記者団に対して「これは外交的な友好姿勢を買うものだと思う」と認めた一方で、既に多くの見返りを得ている国家情報戦略上の判断だと説明して、詳細な内容の公表を拒否した。
こうした中で公共放送カンは、マンデルブリット検事総長が計画について法的な問題をクリアにするよう求めていると報じた。
右派のネタニヤフ氏と連立政権を組む中道連合を率いるガンツ氏は、ワクチン贈与は「適正な手続き」を経るべきで、ネタニヤフ氏が勝手に行える権限はないと指摘した。【2月26日 ロイター】
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チェコへのワクチン供与は凍結されたものの、事情はよくわかりませんが、外交事務所移転は予定どおり進んでいます。
****チェコがエルサレムに外交事務所、パレスチナ自治区が非難****
パレスチナ自治政府当局とアラブ連盟は13日、チェコ共和国がエルサレムに外交事務所を開設したのは国際法違反と非難した。
チェコは11日、テルアビブの在イスラエル大使館の支部をエルサレムに開設。開設式典にはチェコのバビシュ首相が出席した。
2週間前、イスラエルはチェコにモデルナ社の新型コロナウイルスワクチン5000回分を「ワクチン外交」の一環で送付した。このプログラムは後に法的に問題になり、凍結されている。
パレスチナ外務当局はチェコの動きを「パレスチナ人とその権利に対する露骨な攻撃であり、目に余る国際法違反」とし、和平の展望を損なうと表明した。
一方、アラブ連盟のアブルゲイト事務局長はカイロで声明を発表、「エルサレムの法的地位は、国の代表事務所開設決定により影響を受ける。東エルサレムは国際法上は入植地となっている」と指摘した。
チェコ外務省は、エルサレムの事務所は大使館ではないと強調した上で、事務所開設はチェコとイスラエルの戦略的パートナーシップ強化と当地のチェコ市民に対するサービス向上が目的と説明した。【3月15日 ロイター】
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【イランとの緊張関係 互いに船舶爆破?】
ワクチン以外のイスラエル関連のニュースでは、相変わらずイランとの関係が問題となっています。
****イスラエル船の爆発、イランの関与は「明らか」=ネタニヤフ首相****
スラエルのネタニヤフ首相は、同国所有の船舶が先週、オマーン湾を航行中に爆発したことについて、イランが関与したことは明らかだとの認識を示した。
ただ、報復するかどうかについては明言を避けた。
爆発を起こしたのは車両運搬船「MVヘリオス・レイ号」で、先月25日から26日午前にかけて爆発。米当局者によると、船体の両側に穴が開いた。
ネタニヤフ首相はイスラエル公共放送協会(KAN)ラジオに「確かにイランによる作戦だった。それは明らかだ」と発言。
イスラエルは報復するのかとの質問には、イランの核開発を防ぐ決意を改めて表明し「われわれは地域全体で(イランを)攻撃している」と述べた。
イランは爆発についてコメントしておらず、イランが関与した可能性があるとのイスラエル側の主張にも反応を示していない。
KANによると、ネタニヤフ首相のインタビューは先月28日夜に事前に録画された。その後、シリアは、イスラエルがシリアの首都ダマスカス近郊の標的をミサイルで攻撃したと非難した。
イスラエルは、シリアへの攻撃について事実確認を避けているが、同国は先に、シリア国内でのイランの配備や武器引き渡しに対して、頻繁に軍事攻撃を行っていることを明らかにしている。【3月1日 ロイター】
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やられて黙っているようなイスラエルではありません。
****船爆発、イスラエル関与か イラン、破壊工作と断定****
地中海を航行中のイランのコンテナ船で爆発があり、イラン捜査当局者は13日、敵対するイスラエルが関与した可能性が高いとの見方を示した。イラン外務省は「破壊工作」と断定した。イランメディアが伝えた。
報道によるとコンテナ船は10日、爆発物によって攻撃され、小規模な火災が発生、船体の一部が破損した。船員らにけがはなかった。
捜査当局者は、爆発物は航空機から発射された可能性があると述べた。同船は欧州に向かっていたという。【3月14日 共同】
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アメリカ・バイデン政権のイラン核合意復帰を阻止したいイスラエルとイランの緊張はしばらく続きそうです。
【パレスチナでの「戦争犯罪」容疑】
イスラエルのパレスチナに対する軍事行動が戦争犯罪に当たるのでは・・・という捜査も。
****イスラエル軍事作戦を捜査 戦争犯罪容疑で国際刑事裁判所*****
国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)のベンスダ主任検察官は3日、イスラエル占領下の東エルサレムやヨルダン川西岸などで2014年6月以降に行われた戦争犯罪などの容疑で本格捜査を始めたと発表した。イスラエルのパレスチナに対する軍事作戦が中心とみられる。
パレスチナ自治政府外務省は捜査開始を歓迎。一方、イスラエルのネタニヤフ首相は「反ユダヤ主義と偽善の極み」などとICCを非難する声明を発表した。米政権も捜査に懸念を示している。
ベンスダ氏はパレスチナ側による犯罪も捜査する考えを示した。【3月4日 共同】
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