(中国伝統の漢服を着ている女性 【3月14日 加藤 勇樹氏 JBpress】)
【中国人が考える中国人の特徴】
中国社会の在り様、日本との比較などに関する記事は多々ありますが、そのなかから、ここ数日目にとまった中国社会の現状に関する記事をいくつか。
最初は、日本人から見た中国人ではなく、中国人自身が自分たち中国人をどのように見ているのか・・・という中国人目線のもの。
その内容は、【1】「真面目で勤勉」【2】「言葉に裏表ない」【3】「将来よりも今が大切」ということです。
****俺たちってこんな奴!中国人が自己分析してみたら****
(中略)では、日本人の目線ではなく中国人の目線で中国人を見るとどうなるのか。
筆者は周りにいる中国人たちに「自分たち中国人はどんな性格だと思う?」と聞いてみました。今回はそうして聞いて回った情報をもとに「中国人が考える中国人の特徴」を紹介したいと思います。
なお「中国」と一口で言っても、地域によって行動習慣は大きく異なっており、気風も千差万別です。今回はその点を踏まえ、できるだけ中国人全体に当てはまる特徴、性格を教えてもらうようお願いしました。とはいえ、インタビュー相手の主観を完全に排除することはできません。この点については、あらかじめご了解ください。
【1】「真面目で勤勉」
おそくら多くの日本人は、「中国人は不真面目でサボり屋」だという認識を持っているのではないかと思います。しかし中国人に言わせると、「いや、俺たちは真面目で勤勉な民族だ」とのことでした。
この話をしてくれた中国人の知人は、「確かに日本人の真面目さと比べたら中国人は物足りなく思われるかもしれない。それでも他の国の人と比べたら、かなりマシな方だ」と主張します。
その知人によると、中国企業も今やタイやベトナムなど賃金が低い国へ進出していくことが珍しくありませんが、そうした進出先では、中国人経営者が現地従業員の管理に関して難儀することが多いそうです。
たとえば、仕事の指示を守らない、遅刻や欠勤が多い、勝手にいなくなる、といったトラブルが多く、中国国内よりも手を焼く傾向があるといいます。
筆者も以前、他の東南アジア諸国に駐在していた日本人経営者から似たような話を聞いたことがあります。その日本人経営者曰く、「中国人従業員は日本人より確かに扱いづらいが、他の国に比べればまだまともな方だ」とのことでした。(中略)
【2】「言葉に裏表ない」
さて、上記の「真面目で勤勉」のほか、比較的多くの知人から「中国人は本音をはっきり言う」「言葉に裏表がない」という自己評価が聞かれました。
ある知人によると、中国人は思ったことをすぐはっきりと口にする傾向が強く、これは中国全土でほぼ当てはまるそうです。逆に中国人からすると、日本人は「建前と本音が異なることが多く、真意を測るのが難しい」とのことでした。
この「本音をはっきり言う」という中国人の特徴については、筆者も大いに賛同します。以前、中国国内を旅行して土産物屋を訪れた際、店頭のお菓子を手に取って、おいしいかどうか店員に尋ねたところ、即座に「まずいよ」と言われました。また携帯電話ショップの店員に売れ行きはどうかと聞いたら、「全然売れてなくても上々だと答えなきゃいけない」と返答されたことがあります。
このような具合に、全員が全員というわけではありませんが、中国人はなぜか自分にとって不利なことでも馬鹿正直に言う人が多いようです。
もっとも、重要な情報を隠して他人をだまそうとする輩も多いので、一概に「心優しき正直者」とまでは言い切れません。あえて言うなら「無駄に正直者」といったところでしょうか。
なお、こうした特徴は仕事においてもはっきり見られます。中国人は昇給が見込めるなど意欲の持てる仕事であれば驚くほど熱心かつ積極的に取り組みます。
逆に、意に沿わない仕事を割り振ると、嫌々でもきちんと取り組む日本人とは異なり、露骨に適当に処理し始めます。良くも悪くも自分の感情をストレートに見せる傾向があるでしょう。
【3】「将来よりも今が大切」
「先のことより、今をどう幸せにするかを考える傾向がある」という特徴も、多くの中国人の知人が挙げていました。
ある知人によると、「老後のことを全く考えないわけじゃないけど、老後のためにお金を貯めるくらいなら、旅行などにお金を使って今を楽しみたい」とのことです。
人生設計に限らず、中国人の生き方や考え方は、概して刹那的です。仕事に関しても、今の自分に合わないと思ったら、あまり先のことは考えず、すぐに転職しようとします。また将来起こり得る問題についても、「その時になったら考えればいい」と割り切る人をよく見ます。
逆に、こうした中国人の価値観に影響されてきているのか、筆者は最近の日本人を見ていると、「将来のことばかり気にし過ぎじゃないか」と感じるようになりました。
日本の若者が年金など老後のことを心配しているなどという話を聞くと、老後になる前のことをもっと気にした方がいいのでは? と思ってしまいます。
筆者から見ると、中国人は確かにもう少し将来を見据えて行動した方がいいように思われます。一方、日本人はもう少し将来のことを気にせず生きた方がいいのではないでしょうか。将来のために今を犠牲にしなくても、今の生活を大事にすることで開ける将来もあるでしょう。
もっとも筆者の場合、刹那的な生き方をする中国人からも「君は勢いだけで生きている。もっとじっくり考えて行動してはどうか」などと耳の痛いことをよく言われます。【3月15日 花園 祐氏 JBpress】
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概ね妥当な内容ではないでしょうか。
【伝統回帰の「国潮」が消費トレンドの一つに】
次に、最近中国で流行るもの・・・・それは中国の伝統文化を現代に合わせてアレンジした「国潮」とのこと。
成長が著しい中国経済を考えれば、自国文化への自信ということで、当然の流れでしょう。
*****「まるでルネサンス」中国伝統文化復興の勢い****
「国潮」、中国の伝統文化を現代に合わせてアレンジしたものが、中国の消費トレンドの一つになっていることを、以前の記事でご紹介しました。
「直播、国潮、奶茶銭…変わる中国の消費トレンド」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62974
「国潮」はさらに広がりを見せていて、「中国文化のルネサンス」と言えるほどになっています。このトレンドがどういうもので、現在どういうことが起きているか。今後中国を見ていくうえで欠かせない、国潮の広がりを具体例とともにご紹介します。
ゲームが「国潮」の起爆剤に
中国では「外国的月亮比较园(外国の月は中国国内よりも丸く美しい)」という言葉があります。自国の伝統的なものよりも、国外のものの方が優れている、というような意味で、中国国内では舶来品や外国文化を高く評価する傾向が長く続いていました。
中国が経済力を増してきた2000年代以降も、中国の伝統文化とはどこか距離を置く風潮がありました。
2003年、チャイナドレスなどの比較的歴史の浅い衣装ではなく、本来の意味の伝統的な民族衣装(漢服)が中国国内のデザイナーの手によって再現されました(漢服復刻)。
そのことが中国国内外のメディアに大きく取り上げられたのですが、それがニュースになること自体、中国の伝統文化が日常生活と離れたものであることを示しています。
現代中国において伝統文化を再評価してそれを取り込む動き、「国潮」が本格化したのは、2010年代の後半からといえます。
国潮の起爆剤となった要素の一つは、若者を対象にしたサブカルチャー市場への進出です。例えば、中国テンセントグループが2015年に発売したゲームソフト「王者荣耀(Honour of Kings)」は、1億人以上の月間ユーザーを誇る最も成功を収めたゲームソフトの一つです
このゲームの特徴は、中国史の偉人をゲーム内に登場させたことや、青龍や白虎など伝統的な中国文化を意識したゲームデザインにあります。(中略)
現在では、アパレル、各種アミューズメント活動、コスメティクス、食品など多くの商品分野において、国潮は大きなアピール要素となっています。
国潮で急成長した中国ブランド
国潮をきっかけに大きく成長した企業も現れています。「李寧(Li-ning)」は中国の国潮トレンドにおいて最も成功した企業の一つと見なされており、2019年上半期においては、前年同期と比較して約3倍の利益を上げました。
同社は体操の元世界選手である「李寧」氏によって1990年に設立されたスポーツウェアを中心とするブランドです。
一時期同社は500億円もの赤字を抱えたこともありましたが、中国を印象付ける要素を加えることや、Design in Chinaをプロモーションの核に据えることによって、大きく成長を遂げました。2018年にはアメリカニューヨークのファッションショーにおいて、国潮デザインのファッションを披露したことが、中国国内でも高い評価を得ました。
李寧だけでなく、多くの企業や自治体が国潮を意識したプロモーション活動を行っており、社会全体で好意的に受け止められています。
中国青年報社が実施した18〜35歳の若い世代を対象にした意識調査によると、全体の88%が国潮を消費や選択の際に重要な要素と考えており、80%が国潮を意識した製品の購入やサービスの選択を経験しています。この数字は95年以降や00年以降に生まれた若い世代ほど高くなっており、各企業にとっては国潮を意識した経営戦略は必要不可欠といえるでしょう。
国潮関連で、消費者がどのような製品やサービスを購入したり選択したりしたかを示しているのが次のグラフ(略)です。アパレルだけでなく、飲食などの領域にも展開が広がっていることがわかります。
モノ消費だけでなくコト消費にも広がる
2021年現在、国潮は2つの系統に分かれて進化しつつあります。商品などの購入時に国産を選択する「国貨」といういわばモノ消費と、演劇などの古典文化に触れる「国粋」というコト消費です。(中略)
コンテンツの海外輸出に期待
国潮がモノ消費だけでなく、コト消費にも広がりつつある背後にはいくつかの要因が考えられます。
1つ目は中国国内の企業のブランド力の向上や技術力の進歩によって、若年層を中心に消費の傾向が変化したことです。Huaweiのスマートフォンなどのハイテク産業はもとより、「大白兎」などの老舗食品メーカーも、商品のブランディングを高めることに成功しています。
2つ目は動画プラットフォームが成長することで、スモールビジネスやネットアイドルなど多種多様なプレーヤーが業界に参加したことが挙げられます。熾烈な生存競争が繰り広げられる一方で、市場に受け入れられるための最適化が現在も継続しています。
3つ目の要因としては、現在の国際情勢が挙げられます。中国から国外への旅行が難しくなったことで、自国内の文化への再認識が進みました。2020年以降、自国への自信を持つ層が増えたことが、中国にいると感じられます。
これまで成長を遂げた国では、文化をコンテンツとして輸出してきました。アメリカのハリウッド映画や、日本のクールジャパンなどがその例です。国潮も同様のことを目指そうとしています。(中略)
国内でのさらなる拡大、国外への進出、国潮は中国における重要度がますます増していきそうです。【3月14日 加藤 勇樹氏 JBpress】
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【シニア産業が巨大な成長産業に】
消費構造で言えば、上記のような若い世代を中心とした「国潮」の様相のほか、中国でも高齢化が進行していることを考えれば、このシニア層をターゲットとした産業が今後のカギにもなります。
****中国の高齢者は2億6000万人、シニア産業が巨大な成長産業に―中国メディア****
中国の李克強首相は11日、第13期全国人民代表大会(全人代)第4回会議の総理記者会見に出席し、国内外の記者の質問に回答した。
李首相は、「中国の60歳以上のシニア人口はすでに2億6000万人に達しており、シニア産業もまた巨大な将来の成長が十分見込まれる産業と言え、多様化したニーズをもたらしている。
中国市場には多層化と多様化したニーズがあるため、このような巨大な市場は当然ながら、外国企業の製品やサービスひいては投資により多くのチャンスを生み出している。なぜならわれわれの市場は開放されているからだ」とした。【3月14日 レコードチャイナ】
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まあ、開放されているかどうかはともかく、日本も共通する高齢化社会に伴う当然の話でしょう。
【次世代消費者の中心となっている「女性」 「自分のため」の支出が大幅に増加】
若者の「国潮」重視、シニア産業の拡大とくれば、次は「女性」です。
****データが描く現代女性、自分のために消費、男性より高い投資の割合―中国****
ECプラットフォームの拼多多が8日、「新EC・新女性消費報告」を発表し、女性の消費の新しいトレンドを描き出した。
それによると、拼多多の受注のうち、90後(1990年代生まれ)と00後(2000年代生まれ)の女性によるものが半分以上を占め、女性は今や次世代消費者の中心となっている。
「自分のため」の支出が大幅に増加しており、レディースファッション、化粧品などの受注量の増加率が他の商品を大幅に上回った。
国潮(中国伝統の要素を取り入れたおしゃれな国産品のトレンド)を体験し、国産品を購入するのが、女性の消費の新しいトレンドだ。
若い女性たちは夜間に団体購入する習慣があり、「夜更かしすればするほど買い物も増える」という。北京日報アプリが伝えた。
女性の消費を引き寄せるものは何か。同報告によると、衣類・服飾品・靴類・帽子類、化粧品・スキンケア製品、ベビー・マタニティ・子ども用品が引き続き女性の消費の主流だ。バストアップブラ、化粧水、しわ改善アイクリームなどの商品は増加率が高い。
地域分布をみると、消費額の上位3都市は上海、広州、北京で一線都市が並んだが、三線以下の都市の女性と発達した一線都市の女性との間の購買力の差がさらに縮まったという。
ますます多くの若者が職場や社会に進出するにつれ、90後と00後の女性は次世代消費の中心になった。同報告によれば、2020年には拼多多の受注のうち、90後と00後の女性によるものが51%を占めた。うち00後の女性の年間消費額の増加率が最も高く、前年比61%増加したという。
女性向けインターネットプラットフォームの美柚も、多くのデータから現在の「若いお母さんたち」の消費習慣を明らかにした。
それによると、現在、中国の出産する予定の女性は20-35歳に集中している。この層の7割以上は服飾品関連の支出が最も多く、以下、スキンケア製品、家具・インテリア製品、化粧品が並んだ。
同報告はショート動画共有アプリの「TikTok(ティックトック)」の女性ユーザーの一部に関するECデータも公表した。(中略)
また、女性が誰のために買い物をするかについての優先度ランキングをみると、トップは自分のためで、以下、子どものため、夫・彼氏のため、ペットのためとなり、これまでの固定観念を打ち破った。
ティックトックの女性ユーザーの買い物かごで、彼氏・夫の「地位」がついにペットを上回ったということでもある。
■女性が投資する割合は男性より高い
女性は投資・資産運用の中心にもなった。「中国ビューティフルライフ大調査(2020-21)」のデータによると、女性は保険や銀行の資産運用などの堅実投資を男性よりも明らかに好んでいた。
投資の成功率をみると、こちらも女性に優位性がある。調査によると、投資を行う女性は全体として損失を出した割合が男性より低く、利益を出している、または利益も出ていないが損もしていないという女性は男性よりやや多かった。(後略)【3月14日 レコードチャイナ】
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“彼氏・夫の「地位」がついにペットを上回った”というのは笑えます。