家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

あん時のアレ

2012-11-02 09:32:20 | Weblog
10月21日から楽土舎で「楽土の森アートセッション2012」が行われている。

顔を出すのは9月16日に行われた田中泯氏の「場踊り」以来だ。

田中泯氏の踊りを観た、あの場所は囲いが造られていて、それは建物と言える状態になっていた。

その囲いは透明なプラスティックの大きな窓が付いているので、それが額縁のように見えた。

額に収まると何でも少し価値が上がったように見えるものだが確かに同じ外の景色でも額に入れてみると作品になる。

カタルーニア人彫金師の奥様がコーヒーを入れてくれた。

楽土舎の主催者である松田氏と話をした。

「これ、あん時の」と言って背中側の壁に掛けられた物を見た。

「ああ。あん時のアレ?」

「そう」と松田氏。

田中泯氏が踊っている際に炎の中に沈めた椅子の残骸であった。

椅子の背当て部分は黒く炭化しているが原型通りだ。

座面以下は焼失した。

松田氏は、その瞬間「あれ?それ入れちゃう?」と思ったそうだ。

火中に備品を投下するという計画は聞いてなかったから。

だが私は火に投下するだろうなと踏んでいた。

そのほうが単に面白いからというだけだが。

さてその燃え残りだがタイトルを田中泯氏自身に付けてもらうと松田氏は言う。

一旦は消えたが、しばらくして再び炎が上がり始め、それでも残った性強い逸品だ。

田中泯氏と炎と水が作り出した傑作。

木は炎に負けるが水の応援を得て勝ち残った。

ひょっとしたら田中泯氏の祈りが通じたのかもしれない。