家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

当て逃げ野郎

2018-03-16 12:55:05 | Weblog
ホームセンターに行く予定で、もうすぐ到着するはずだった。

前の車が突然右側に寄り前から走ってきた対向車と「バンッ」という大きな音を立てたかと思うと次の瞬間には正常な位置に戻った。

まるで玉突きの玉が跳ねて進路を変えるようだった。

当てられた側の運転手は女性だった。

私がその車とすれ違う時には「えっ、何が起きたの?」という感じだったが通り過ぎてからミラーを見ると車から出ていた。

当てた車は次の角を曲がった。

まるで停止する気持ちがないようだ。

「当て逃げだ」咄嗟にそう思った。

私もその車に続いて左折した。

その車は私が行こうとしているホームセンターの植物売り場の駐車場に入って止まった。

窓を開けてミラーを戻した。

つまり先ほど大きな音を立てたのは、この右側のミラーなのだ。

後ろから走っていて右側のミラーだけが格納されていたので、そうではないかと考えていた。

私は車から出て前の車の運転席の横に立ち「今車に当てただろう」というと「いや。当てていない」と言う。

「だってミラーを直したじゃないか」というと

「当てられたのだ」と言う。

「オレは後ろを走っていて見たんだぜ。あんたが右に寄って行って当てたところを」というが「オレは当てていない」の一点張りだ。

「当てられた人が待っているよ。行けよそこまで」と言うと、今度は助手席から奥さんらしい人が出てきて「こちらの車のここが当たったなら相手の車のどこに当たったの?」と言ってきた。

奥さんと話しても始まらないので無視して「行けばいいじゃないか、あそこまで」と彼にいうと「行くよ」と認めたので「オレは後を付いていくから」と言って早めに車をバックさせ彼の車を見張っていた。

車は衝突した箇所まで戻ったが相手はもう居なかった。

「いないね。俺が許してやろうと思ってきたのだが」と言ってきたので

「バカ野郎」と言って車に戻りカメラを取り出して撮影した。

気分を害しながらホームセンターに入って買い物をしているとその夫婦が居た。

当て逃げ野郎は、齢75。

奥さんも75歳ほど。

勝手の強い夫と気が合いそうなバカ夫婦だ。

私のほうが避けた。

もう会いたくない。

帰りに車屋さんに寄り先ほどの事故顛末を話した。

なんとあの女性は10対0で勝つ見込みはないという。

私の車にドライブレコーダーを装着してあって、それに動画が撮れていても、「良くて7対3じゃないかな」と言う。

理不尽な現実を知って愕然とした。

あの当てられた女性はお金を払うことになり私の証言は無視に近い扱いになりそうなのだ。

憤慨しながら自宅に戻ってもう一度考えてみた。

彼は実際に自分は当てられたと思っていたのではないか。

だから初めから相手を許すつもりで止まらなかったのではないか。

身勝手な当て逃げ野郎だと思っていたが、いずれ私もなっていく姿なのかもしれないと感じた。

彼の車にはもみじマークは着いていなかった。

まだ当分免許証返納は、為されない気がする。