流石のアメリカもタリバンの進攻がこれ程速いとは思ってなかったようです。やはり、アフガンは手出しをする所じゃ無いようです。
宮崎さんが連日その情勢を書いてくれています。日本のマスメディアはやはり宮崎さん一人に勝てないようです。何とも情けない奴等です。
それにしても、アフガンがどうなるのか気になります。と言うより、これがChinaの崩壊に繋がることだけを期待します。
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和三年(2021)8月13日(金曜日)弐
通巻第7013号
バイデンの周章狼狽、海兵隊歩兵大隊など急きょアフガニスタンへ派遣
米兵五千はクエートとカタールに待機。最後の日が目の前にきた
アフガニスタンのカブール陥落はどうやら秒読みである。
クンダスにつづき、ヘラートとカンダハルがタリバンに陥落した模様だ。軍閥を率いるイスマイリ・カーンとド スタム将軍の消息が不明になった(8月12日現在)。
米軍は、梃子入れしてきたアフガニスタン政府軍で、半年はもつと予測したが、先週は「あと90日以内に陥落するだろ う」と見通しを早めた。
巨額を投資しアフガニスタン政府軍を育成したが、地方軍閥や官吏たちはタリバンと裏で繋がっているうえ、米軍から供与 された武器を横流ししている。
このため、政府軍はまるで役に立たない上、すでにタリバンの迅速な進撃を前にして士気を失っている。各地の役所はもぬけ の殻になっている。
8月13日現在、アフガニスタンには650名の米軍が大使館、ならび国際空港の安全確保のために留まっている。
大使館員とその現地従業員、民間の下請け業ならびに米軍の通訳などで協力したアフガニスタン人の退避という作業が残って いる。
土壇場ではガニ大統領らも引き受けるのだろう。
ペンタゴンは海兵隊の歩兵大隊と陸軍から戦闘団など、3000名を急派するとした。またクエートに3000から 4000名の米兵を待機させ、カタールにも千名を派兵する。合計五千名だ。カタールではアフガニスタンからの米軍協力者 を収容するためである。
ウォールストリートジャーナル(8月12日)は、合計8000名の米兵が最後の撤退作戦のために派遣されると報じてい る。
また米国はトルコとカブール國際空港の警備、安全確保のための残留を要請してきたが、エルドアン政権は「財政的負担で 折り合っていない」としている。土壇場の駆け引きも続いている。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和三年(2021)8月14日(土曜日) 通巻第7014号
しびれを切らしたパキスタン。領事館から館員を減らし「カブールへ移れ」
「ヘラートの獅子」イスマイリ・カーンをタリバンが拘束
パキスタンのイムラン・カーン首相は唸った。「バイデン米大統領からの電話を待っているのではない」。
パキスタン外務省はマザリ・シャリフとヘラートに置いているパキスタン領事館の館員を減らし、カブールの大使 館へ移動せよと命じた。
パキスタンはタリバンと濃密な接触があり、ガニ政権との連立政権の提案も行ったらしいが、タリバンから拒絶さ れたことも明らかにしている。欧米はパキスタンが背後でタリバンを支援しているとみて、信頼していない。
8月12日のヘラート攻防戦で、「ヘラートの獅子」とタリバンが一目置いたイスマイリ・カーンが拘束された。タ リバンが正式に発表した。嘗て勇猛果敢な北部同盟の闘将として、無尽の武闘を繰り返した軍閥の首魁が、拘 束されたことはカブール政権に甚大なパニックを運んだようだ。
アフガニスタンとの国境クエッタの検問所は、7月17日に再開していたが、8月13日に再度閉鎖に踏み切っ た。パキスタンはアフガニスタン難民に対してIDカードと難民証明を発行しており、ヴィザ不要の措置を取ってい たが、混乱を招きかねず、またスパイやテロリストの混入の可能性もあるとして国境門を閉めた。外 国人ジャーナリストが逃げ込んだ場合は例外的措置をとるとした。
あまりに迅速なタリバンの攻撃によりアフガニスタン政府軍はまともな反撃も出来ず、空爆の効果も挙げていない。米 軍高官が懸念したように「飛行機をまともに飛ばせるか疑問だ」との予告は当たった。
米国は過去二十年間に、のべ8300億ドルをアフガニスタン政府軍に供与し、訓練してきた。30万 人もいるアフガニスタン政府軍は役に立たなかった。
タリバンはアフガニスタン政府軍が残した米軍戦車、装甲車、M16、ドローンなどを次々と「ろかく」しており、さ らにはヘラートとカンダヘルの刑務所を開放し、囚人を兵士として徴用しているという。
また制圧した州の知事後者や公共施設を占拠し、陣地を構築している。政府および米軍に協力した者は銃殺されて いると欧米メディアは伝えている。
難民はすでにイラン国境に60万人と伝えられ、国際組織の救援の手は行き届いていない。
▼カブールへの戦略的要衝ガジニも陥落。カブールは目の前に
8月12日にカブールの南西130キロにあるガジニが陥落し、タリバンの支配区となった。
これは首都カブールとカンダハルを結ぶ幹線道路の要衝にあり、米軍が一部空爆支援をしたというが、間に合わなかった。
米国は、アフガニスタン在住の米国人は、政府救援機をたよらず、あらゆる手段で脱出せよと助言をだしている。
ドイツとオランダが同様な措置を取った。
英国も急きょ、600名の兵員を派遣し大使館徹底の支援を展開する。英軍は2014年以来、457名の犠牲を出 したが、米に協力してきた。カナダも緊急に特殊部隊を派兵する。
インドはアフガニスタンとの間にパキスタンが緩衝地帯のように横たわるため、多少のゆとりはあるが、懸念して いるのはガニ政権下で合意し、インド企業が建設をすすめるサルマ・ダムの行方である。
インドは、このプロジェクトに3億ドルを投資している。
中国が開発していた鉱山は操業を停止し、中国人は殆どが帰国した。
「宮崎正弘の国際情勢解題」 より 令和三年(2021)8月15日(日曜日。終戦から76年)
通巻第7015号
パキスタンの中国人労働者標的のバス爆破テロは自爆テロだった
背後にインドとアフガニスタンの情報組織が関与とパキスタン外相
8月12日にロイターのインタビューに応じたパキスタンのクレシ外相は「7月14日に起きたバス爆破テロは、アフガニ スタンで訓練を受けた外国人であり、犯行声明を出したTTPがIS(イスラム国)ならびにアルカィーダと繋っている証拠 が認められた」と発言した。ヴィデオや携帯電話の通話記録などから判明したという。
さらにクレシは、「背後にはインドの情報機関RAWとアフガニスタンのNDSが関与している」と爆弾発言に及んだ。
なぜインドとアフガンが?
インドのRAW(探求分析局)は、Reseach & Analysis Wingの略称で、植民地時代から強力な情報網で知られる。印 度版CIAである。
またアフガニスタンのNDS(国家保安局)は、戦争を遂行している国であるだけに、情報、諜報能力はそれなりに高く、最 近の実績は中国人スパイ10名を逮捕したことだ。
アフガニスタンにおける中国人スパイが何をしていたか?
偽ETIM(東トルキスタン独立運動)を名乗って、戦士を募集し、地下組織へ潜り込ませる作戦など、巧妙な単位をアフ ガニスタンに構築し、ウイグルへ潜入を図る反中国活動家の洗い出しをしていたという(パキスタン英字紙『ドーン』)。
バス爆破テロで殺害された中国人労働者エンジニアは9名だが、中国は特別調査チームを派遣していた。
現場は中国の国家プロジェクト「一帯一路」の目玉であるCPEC(中国パキスタン経済回廊)の一環としてのダス・ダム建 設現場に近いところ。
中国人労働者らは次のテロを懼れ、現在、飯場から建設サイト往復にしか就かないパキスタン軍の警備強化を要求している という。
それにしてもアフガニスタンは恐ろしいところですね。世界の大国が手出しをしては火傷をして撤退。何とも、強烈な国です。
次は、Chinaの番でしょうか。そうあって欲しい。