明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

一日  


最後に残った寒山と拾得の人形用の髪の貼り付けだが、一度目は上手くいかず、そうこうして髪がこんがらがって収拾が付かなくなった。検索したら、最初に糸でくくってまとまっている束を崩さないようにして作業せよ、と。新しく入手。まったくぶきっちょでいけない。 『タウン誌深川』の次号は寒山拾得にしよう、と原稿をスマホで書いた。完成し、文字数を調べようとコピーしたら、うっかり消してしまった。 森鴎外の『寒山拾得』は、何の参考資料も見ずに書いた、と鴎外は自慢気だが、閭丘胤(りょきゅういん)の閭丘を閭と間違えている。なんだか放りっ放しのような話で判りにくい。様々な人が目にするタウン誌ゆえ、もっと分かり易くしよう、と官吏の閭丘は、月を指差し〝月を見ないで指を見る”ようなミーハーな男で、豊干に寒山拾得が実は文殊と普賢だと聞いて、いそいそと会いに行き、結果、「豊干が喋ったな?」と二人はどこかに消えてしまった。ということに。



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