枝野幸男2/14日衆院予算委森友追及:ゴミの存在有無に尽きることを棚に上げた埒の明かない堂々巡りに右へ倣え

2018-02-16 12:39:20 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき


 森友国有地格安売却は不動産鑑定評価額9億5600万円の国有地に大量の地下埋設物――ゴミが存在すると見積もり、その撤去・処分費用として8億1974万円値引きし、1億3千万円余のタダ同然で売却した“ストーリ”によって成り立っている。この“ストーリ”が安倍晋三忖度案件疑惑なのか否か、その解明は撤去・処分費用が8億1974万円も必要とする程のゴミが実際に存在していたかどうかの解明に尽きる。

 共産党辰巳孝太郎が2017年11月30日の参院予算委で参考人で呼んでいた、この格安売却の妥当性を検証した河戸光彦会計検査院長に「ゴミは土の層から出たと推認されるか」と尋ねたのに対して会計検査院長は「概ね地下3メートル以深は沖積層が分布、新たに確認された廃棄物混合土は既知の3メートル程度と考えられる」と答えている。

 そして会計検査院長は沖積層を「約1万8千年前よりのちの最終氷期以降に堆積した地層とされている」と答弁している。いわば人間が捨てる生活ゴミ、あるいは産業廃棄物の類いが紛れ込む余地のない地層ということになって、3メートル以下はゴミは存在しなかったのではないかと考えていることになる。

 但し公明党国交相の石井啓一が、「沖積層でも、場所により河川や池などの分布によってその厚さが変わる。緩い地層はその底部が乱されて、深い所までゴミが混入している可能性もある」と、沖積層だからと言って、ゴミが存在しないと断言できないといった答弁をして辰巳孝太郎の3メートル以深にはゴミは存在しなかったのではないかという疑いを否定している。

 そこで2017年12月2日の当「ブログ」に、〈地層はそれが地層の変わり目とか、池や沼、川が存在したといったことは例外として一般的には一定の範囲で一定の深さを保つ。〉から、〈現在小学校の建物が立っている周囲全体を5メートル程度の間隔でボーリング〉してみれば、全体的な地層は割り出すことができるのではないかと言ったことを書いた。

 そのときは触れなかったが、ボーリング各所の地層の厚みをコンピューターに入力したら、全体的な地層図は解析できるのではないだろうか。

 この参院予算委の前日2017年11月29日の同じ参院予算委で民進党議員の川合孝典が会計検査院の報告書とこれまでの国会答弁の間に食い違いが生じているからとゴミの再調査を求めた。

 対して麻生太郎が次のように答弁している。

 麻生太郎「森友学園に御存じのように売却をいたしました土地につきましては、この土地の所有権というものに関しては本年6月に返還をされておりますのは御存じの問題だと思いますが、現実の問題として、今そこにはもう建物が、ほぼ完成した建物が建っておりまして、土地、建物の取扱い、これ掘り返すということになるんでしょうけど、掘り返すことにつきましては、これは管財人と交渉を行わなあいかぬと。

 この建物だって取っ払って真っ更地にして返してもらわないかぬわけですから、その建物を建てたお金は、建てた人は、受け取っていないという状況ですから、これどういう扱いをされるのか。

 これは交渉人に対して我々、取っ払ってくださいというのが我々の立場なんですが、我々は、この建物を建てましたけど、建物を建てた人から金をもらっていないと、その金をもらってきてからじゃないと、これそんなのできませんよというのが向こうの立場ですから、なかなか難しいのが一つ。

 従って、工事請負業者がそこを占有しておられるという現実がありますので、そういった意味では土地の調査等々を行うのは難しいという現実も御理解いただければと存じます」

 土地の所有権は国に返還された。とは言え、「現実の問題として」既にそこには建物が建っている。掘り返すということになると、森友学園が民事再生法の適用を申請し、現在管財人が財産の管理を行っているから、「管財人と交渉を行わなければならない」と言うなら、交渉をして承諾を得ればいい。

 管財人は裁判所によって専任されるということだから、土地の所有権を持つ国として裁判所に申し立てて許可を得て、裁判所が管財人に対して命令を下すことができる。

 但し建物の扱いがまだ決定していないから、建物の下は掘り返すことができなということなら、先程の校舎周囲をボーリングする方法を取ればいい。

 ゴミが実際に存在するかしないかによって8億1974万円もの値引きが不当なものかどうかが直ちに判明する。当然、国有地売却が不正な方法によって行われたかどうかの解明はゴミの存在有無の解明に尽きる以上、そのことに注力すべきだろう。。

 もう一つ、例えその土地のゴミ混入率が47.1%であったとしても、杭を打ち込むことさえできれば、撤去・処理の必要はなく、地中にゴミが残ることになっても、それは放置される。杭が建築物本体を支えるのであって、杭の間に残されることになるゴミは本体を支えるのに何ら障害とはならないからである。
 
 要するに回転させながら杭を捻り込んでいく際に周りの土と一緒に先端の羽によって地上に押し出されるゴミだけ処分すればいいから、そのゴミの量によってゴミ混入率47.1%が正当な見積もりであったのか、ゴミ混入率の見積もりに基づいたゴミ量に対する撤去・処分費用の算定が正当であったかどうかが判断できる。

 このことは実際に杭打ちを請け負った業者が最も明確に確認し得ることであり、埒の明かない安倍昭恵や前財務省理財局長佐川宣寿の国会証人喚問を求めるよりも杭打ち業者等の証人喚問を疑惑解明の突破口とすべきであるという「ブログ」を2018年2月5日付でエントリーした

 だが、記録文書を廃棄したとしている答弁に食い違いがあるとの理由で前財務省理財局長の佐川宣寿や首相夫人として便宜を謀った疑いから安倍昭恵の国会証人喚問を求める森友疑惑の追及が国会で繰返し繰り広げられるのみで、実際のゴミの量を確認する疑惑解明の方法に見向きもしない。

 疑惑追及が結果的に埒の明かない堂々巡りで終わっているにも関わらずである。

 立憲民主党代表の枝野幸男が代表になって初めて2月14日(2018年)に国会論戦に立った。2時間弱の持ち時間の全てを独占、〈辻元清美国対委員長は13日の党代議士会で「党を挙げて(国会論戦の)ヤマ場にしていきたい。約2時間の党首討論になる」と強調し、枝野氏の応援に集まるよう呼び掛けた。〉と2018年2月13日付「時事ドットコム」記事が伝えていた。

 「ヤマ場にする」と言うことは党首討論と見立てた枝野幸男のこの国会論戦をキッカケに安倍政権の政治の綻びを誘い出し、政権交代に追い詰めていくというプロセスを想定した追及でなければならない。その予感を与えない追及なら、ヤマ場の意味を成さない。

 枝野幸男は安倍晋三が構想している憲法改正問題や待機児童問題、労働法制問題、森友国有地格安売却問題等を取り上げたが、ここでは午後に入ってから森友問題でどのような追及が行われたのか見てみる。

 枝野幸男「残念がながら、佐川長官の問題を最後に聞かなければならない状態が続いています。最初に検査院にお伺いします。いわゆる森友問題で昨年11月に報告書を出しました。

 これは会計検査院法30条の3に基づく報告というふうに聞いておりますが、通常の会計検査とどう違うのか、先ず説明してくだし」

 河戸光彦会計検査院長「お尋ねの報告につきましては会計検査院が昨年3月に参議院予算委員会からの要請を受け、学校法人森友学園に対する国有地売却等に関し、貸付価格及び売却価格並びに価格算定手続きの適正等について検査を実施し、11月22日にその結果を報告したものです」

 枝野幸男「これは財務大臣にお尋ねすべきだと思うんですが、この森友問題の土地にかかる様々な文書が破棄されたという国会での当時の佐川理財局長の答弁が繰返されたわけですが、そもそもこうした行政文書についての管理責任者は誰だったんです」

 麻生太郎「森友問題に対しましては国有地の貸付・売却にかかる文書は決裁文書の文書管理責任者は近畿財務局の統括国有地財産管理官であります」

 枝野幸男「と言うことは、その管理官が記録が残っていないという報告を佐川当時の局長にしていたという、そういう理解なんでしょうか」

 麻生太郎「その財務官の報告に基づいて佐川が答弁されたとご理解頂ければと思います」

 枝野幸男「そうすると、これは処分していたという、棄ててしまっていたという表現自体が先週の金曜日にも20項目のですか、文書が出てきたというようなことで、そもそも処分をしていたという説明自体が間違っていたと言うことがあるんですが、処分が適切でなかったとすれば、処分をしたその責任者はその近畿財務局の担当者ということでよろしいですね」

 麻生太郎「処分をした文書に関しましては私供としてはきちんと規則に則ってしておりますんで、今回出させていただきましたのはいわゆる法律文書、法律相談の文書なんでありまして、個別の面会記録ではないということで、法律違反ではないということでございます」


  枝野幸男「だけど、今回出てきた文書の中にはですね、15年4月2日付の文書の中には、『将来、学園側から損害賠償を請求される可能性がある』と法務担当者が指摘してですね、『遣り取りを整理し、可能な限り証拠を収集しておく必要がある』と、そもそも皆さまがお出しになった文書の中で法務担当者がそういう指摘をしてるんじゃないですか。

 違法かどうかではなくて、適切であったかどうかと言うことをお答えください」

 麻生太郎「ご指摘の文書は平成28年3月、新たなゴミがいわゆる発見される前の平成27年12月に作成された法律相談でありまして、ゴミが発見される以後の遣り取りとは関係ないというご理解頂ければと思います。

 この件に関しては当時森友学園の済んでおりました売買予約権の行使に関する手続き的な手順について相談したもんでありまして、新たな埋設物が発見された後の売買契約とは全く関係のないものであります」

  枝野幸男「何が関係ないのか、説明して頂かないと分かりません。一連の流れは賃貸借するという話だった。すると、売ってくれという話になった。ゴミが出てきた。全部一連の流れで、突然、売ってくれとか、買ってくれとか話になった。

 ゴミが出てきた。全部一連の流れで、その途中から、突然、売ってくれ、買ってくれとか、突然、ゴミが出てきたわけじゃないですか。将来トラブルになるかもしれないということで証拠書類を残して置かなければならない状況はゴミが出てこようが、賃貸が売買に変わろうが、一緒じゃないですか」

 麻生太郎「あの文書を廃棄していたというのに対して今般新たな文書が出てきたということなんだと思いますが、今般公開した法律相談の内容につきましてはこれまでも説明をしているものであって、開示請求の対応の中で文書の存在が判明したということで、国会より提出要請を頂いたところから確認作業を進めさせて頂いた上で、2月9日ですかね、ご示しをさせて頂いたということでありまして、今般開示した法律相談の文書と言うのは法的な論点について近畿財務局が検討を行っていた資料でして、検討を行うために必要な方法として相手方の主張と当方の考え方は勿論、含まれています。

 これまで佐川やらが念頭に置いて答弁をして、いわゆる森友学園との交渉記録ではございません。

 なお、法律相談の文書として検討している内容につきましてはこれまで国会や検査の過程で説明しているものでありまして、ことさら文書を隠してたもんではないというふうに考えております」

 枝野幸男「答えておりません。私が聞いているのは公開の話ではなくて、破棄についてです」

 この辺で文字起こしは切り上げることにする。何も変わらない質疑応答となっているからだ。枝野幸男には埒の明かない堂々巡りの質疑応答を続けているに過ぎないという意識はさらさらない。
  
 大体が最初の会計検査院長に対する質問はどうでもいいことであって、会計検査院長が国会で何度か答弁していることを聞き出したに過ぎない緩い出だしで始めている。

 枝野幸男は行政文書の管理責任者は誰かと聞き、麻生太郎が「近畿財務局の統括国有地財産管理官」だと答えると、「と言うことは、その管理官が記録が残っていないという報告を佐川当時の局長にしていたという、そういう理解なんでしょうか」などと疑い知らずの発言をしているが、安倍晋三や麻生、国交相の石井、国有地売却に関わった財務省の役人たちがグルになって不正を隠す陰謀のチームワークの存在可能性を疑う立場から質問しているはずだが、頭からすっかり抜け落ちたような発言となっている。

 新たな文書を開示したということはその開示によって疑惑が追及される恐れのない文書であるか、少しは怪しい文書であっても、言い逃れが可能と判断した場合であろう。

 それが麻生の「売買の経緯を記録した文書ではなく、法律相談の文書」といった趣旨の答弁となって現れ、「売買の経緯を記録した文書の破棄は規則に則ったもので、法律違反ではない」といった発言となって現れているのだろう。

 裏に存在するかもしれない経緯を疑わずに質問を繰返すから、結果、同じ答弁を何度も引き出すことになる。
  
 枝野幸男は最後に「1年前に(新たな20通の)文書を出せたのに出さなかった。責任者は佐川局長ではないか」と、他の野党議員同様に前財務省理財局長佐川宣寿の国会証人喚問を求めている。

 安倍晋三は証人喚問は党が決めることだというタテマエを取っているが、結局は優勢な頭数が決めることになる証人喚問が疑惑隠しと同じく安倍晋三やその他の閣僚と自民党役員がグルになったチームワークによって不都合と判断して反対していると疑えないことはない可能性を考えると、佐川と安倍昭恵の証人喚問に拘るのは時間のムダの積み重ねとなりかねない。

 実際にも枝野幸男が張り切って追及している午後のこの質疑の午前中2月14日11時16分発信で、自民党幹事長二階俊博と公明党幹事長井上義久が東京都内で会談、佐川宣寿の国会招致は「必要ない」との認識で一致したしたと「産経ニュース」が報道している。

 森友学園に対する国有地格安売却が安倍晋三忖度案件とは無縁で、何ら疑惑が存在しないなら、とっくに佐川宣寿ばかりか、安倍昭恵の国会証人喚問にしても実現していただろう。

 安倍晋三側が数の力で国会証人喚問を拒否する以上、埒の明かない堂々巡りは早々に切り上げなければならないのだが、枝野幸男は立憲民主党の約2時間の持ち時間を独占し、党首討論と位置づけて張り切って追及に及んだが、森友疑惑追及に関しての結果は右へ倣えの埒の明かない堂々巡りに終止することになった。

 安倍晋三や麻生太郎は内心、野党をあざ笑っているに違いない。

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