2/5衆院予算委江田憲司vs安倍晋三:対夫人危機管理無能と安倍昭恵のモラルと規律欠如、意志薄弱を窺う

2018-02-06 12:12:50 | 政治

 2018年2月5日の衆院予算委。無所属の会議員の江田憲司がいつもは政策論争を挑むのだが、今回は森友・加計問題を追及すると断って質問に立った。江田憲司と安倍晋三の発言の中から安倍晋三の自身の妻である安倍昭恵に対する危機管理無能と安倍昭恵が意志薄弱であることを間接的に指摘している箇所等を取り上げてみる。

 江田憲司「(自身の)首相秘書官の経験と(政務秘書官として)総理夫人担当も経験した。自身の経験に照らすと、総理の国会答弁に納得出来ない。理解し難いことがある。

 (森友問題が)ここまで大きくなった最大の要因は昭恵夫人が名誉校長を引き受けたこと。小学校と言えども一私学、私立(わたくしりつ)です。こういう所に本来であれば総理夫人と言えども、肩書を貸すことは厳に慎むべきで、総理は夫人が名誉校長に2015年の9月5日になり、昨年(2017年)の2月にこの間に問題が発覚、大きくなると同時に退任するまでの間、名誉校長であったのは事実だから、小学校のパンフレットには顔写真が載り、メッセージまである。

 籠池理事長の教育理念の感銘云々の記事がある。この問題の最大の要因が昭恵夫人の名誉校長に就任したことにあるという認識はありますか」

 安倍晋三「私の妻であると同時に一人の人間ですから、別人格でありますが、妻が名誉校長を引き受けたことによって疑念の目を向けられたのは事実なんだろうとこのように思います」

 江田憲司「総理夫人のところには夥しい色んな要請が来ますから、祝電をくれ、祝辞をくれ、講演に来てくれ、挨拶に来てくれ、果ては顧問になってくれ、事実として一杯来る。

 そんなときに安倍総理のご認識、ご夫人のことですから、どうされておられるのですか。 私は当時(首相)夫人担当をして現に戒めていたことは総理夫人と言えども、どうしても第三者、国民から見れば、総理の分身・代理と見られてしまう。

 総理夫人と言えども、信用力抜群ですから、それを目当てに寄ってくる方々も、全部とは言えないけど、いる。だから、メッセージをくれ、挨拶してくれ、顧問になってくれ、そういう人もいることは否定できない。

 そうしたときに総理夫人はご夫人だ、私人だと言う前にどうしても総理の分身・代理と見られる。総理夫人の立居振舞いにそういう要請を受けるか受けないかという裁きは、官邸の危機管理と言うか、私が戒めていたことはやはり総理大臣は全体の奉仕者、憲法に書いてある。一部の奉仕者であってはならないと書いてる(日本国憲法第15条2項 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。)

 総理夫人には直接には当てはまらないけども、分身・代理と見られる以上、ある意味、ディシプリン(Discipline-規律)問題、モラルとして私は一私人、一私企業、一私学のために肩書を貸したり講演は行ったりはしない、こういうふうに一線を引いていた。

 安倍総理はどう考えて処してきたかお聞きしたい」

 安倍晋三「たくさんの依頼がございます。私は総理大臣でありますから、一切断っているわけであります。総理に就任する前は様々な顧問等を引き受けたことがあります。総理に就任すると同時に会長等々は他の方が代行を務めています。

 妻の場合はですね、何回か申し上げているが、名誉校長を引き受けてください、頼まれて、これは(平成)27年の9月5日でございます。これは講演の前の控室で頼まれて、その場で妻は断っています。『申し訳ないけど、それはお受け出来ない』と申し上げた。

 夫である私との関係でそれはできないと断っていたわけでありますが、その後、突然、講演の場で籠池さんから名誉校長を就任されたと紹介されたわけであります。父兄の前で拍手されましたので、そうなった関係がございまして、その場でお引き受けできないと言うことができなかったとのことであった。

 そういうことでございます。

 結果としては受けてしまったということでありまして、元々は受けないということになっていたのでございます。結果としてそうなってしまい、国民の皆様から疑念を招いたことは残念だと、こう思っているところでございます」

 江田憲司「今のご説明が多分そのとおりだったでしょう。ちょっとこのパネル(左傾画像)をご覧いた頂きたいんですが、これだけでとどまっていないんですよ。これまでの国会審議で(指摘された事柄の内)私も事実に限って列挙しました。

 安倍昭恵夫人はどういう関与をしていたのか。①、②は申し上げました。このパンフレットに基づいて森友学園は寄付募集・児童募集をしている。こういう魂胆なんですよ。

 それに加えてですね、何度でも、昭恵夫人、訪問しているんじゃないですか。テレビででも流れていたけども、児童たちの振る舞いに感動している動画が流れました。

 講演に二回から三回行かれている。複数回行かれて、その講演冒頭でこの小学校に何かお役に立てればということを明確に仰っている。

 ちょっと飛ばして、⑥、⑦を取り上げます。籠池さんと2014年4月には校地予定地まで一緒に視察をされている。その写真があります。それから大阪府の私学審会長と言えば、小学校の認可権限を持つ、この会長の教授、学長を務めている大学までわざわざご夫人行かれているんですね。この私学審の会長とも面談されているんですね。

 これは大学のホームページで見られます。

 全部事実ですよ。ですから、申し上げたいことはですね、確かに色んな経緯でこのように籠池さんにハメられた面があっても、名誉校長になられただけならまだしも、こうした形で会うことは能動的にあと行かれているじゃないですか。
 
 このことの本質はこういう外形をつくり出しているのが昭恵夫人だということなんですよ。外部的徴表(ある事物の特徴を表すもので、それによって他の事物から区別する性質)と言います。それを見た第三者、これ役人であれ、国民であれ、これは昭恵案件なんだなと、夫人案件なんだなと思うのは当たり前でしょう。

 ですから、私はね、価格交渉にまで口出ししたとは言いません。しかしトップたる者、大将たる者、昔、これが江戸時代なら殿様が良きに計らえと言うだけで、みんな忖度してできました。

 しかしそんなことで今の時代、部下は動きませんよ。しかし私に言わせれば、ここまで入れ込んでデモンストレーションを昭恵夫人がすればですね、森友問題のように普通は連絡の悪いタテワリ官庁も、財務書と(大阪)航空局が開学時期に合わせてトントン拍子で異例な手続きで例外的な要件まで認めて、進めるなどあり得ないですよ。

 中央官庁に20年間勤めましたよ。あの頭の硬い、他の役所のことなど歯牙にもかけない、ましてや民間の言うことなど門前払いを食らわせる、こういうところがですね、こんなトントン拍子で決めることなどあり得ないんですよ。

 そこに大きな政治的な力が働いているんではないかなと思うことはむしろ自然じゃありませんか。質問はですね、ここまで外形的徴表をつくり出した昭恵夫人に大きな道義的・政治的責任があるんじゃないですか。如何ですか」

 安倍晋三「先ずですね、ご指摘しておきたいことは私ではなくで、私の妻であるということであるということです。妻は基本的には別人格であり、名誉校長を引き受けた経緯については先程申し上げたとおりでございますが、しかし父兄の前で紹介された後ですね、『私は落ち着いてできません』ということを申し上げたとしても、これはもう父兄の前で紹介してしまったんですからということであります。 

 しかしここでは断ったつもりであったのですが、何回も何回も電話され、最終的に引き受けたということでございます。これは(江田憲司提示のパネルの文言を記したメモを手に)確かに事柄については事実なんですけども、これがどれか一つですね、例えば値引き交渉に関わっているものがあるんでしょうか。

 これは一つもないんですよね。一つもないんです。

 ですから、たしかに名誉校長に関わったことは事実でありますし、何回か訪問したことは事実ですが、それと値引き交渉そのものをですね、語り合わせるというのは、それは少し事実から一気に飛躍しているのではないかと、そう思う次第であります。

 何回も申し上げておりますように私も妻も事務所も国有地払い下げにも値引き交渉等の交渉自体に関わっていないということは申し上げたとおりでございます。

 関わっているということであれば、関わっている確証をぜひお示し頂きたい。そうであれば、こちらも気楽に反応できるところであります」

 安倍晋三のこの答弁で勝負が着いた。江田憲司は安倍昭恵の行動について事実を述べたが、江田憲司が言うように「連絡の悪いタテワリ官庁」が「トントン拍子で異例な手続きで例外的な要件まで認めて、進めるなどあり得ない」とする自らの考えが安倍昭恵の存在が役人たちの忖度という形を取った“確証”とはなり得ない。

 安倍晋三が言っているように安倍昭恵が「値引き交渉に関わっ」た“確証”とはなり得ない。

 確かに安倍晋三が指摘しているように安倍昭恵は「一人の人間」ではあり、厳密に言うと、「基本的には別人格」とすることができる。安倍晋三が選挙で各候補応援に全国を回っているとき、安倍昭恵が安倍晋三の地元選挙区で挨拶回りや時には遊説もするだろう場合は「分身・代理」の務めを果たすことになるが、江田憲司が言っているように安倍昭恵のすべての行動に於いて安倍晋三の「分身・代理」とすることができるわけではないはずだ。

 だとしても、安倍昭恵が首相夫人の肩書で行動するとき、夫が持っている首相として権威の何がしかをお裾分けされて、それが夫とは別途の人を従わせる力となって自ら備えることになっている。

 この人を従わせる力を利用しようとして大勢の人間が首相ばかりか、首相夫人に群がり、江田憲司の指摘通りに「祝電をくれ、祝辞をくれ、講演に来てくれ、挨拶に来てくれ、果ては顧問になってくれ」という事態が発生する。

 このような事態に虚栄心を満足させる首相夫人というのも存在するだろう。

 当然、夫の首相をバックにした首相夫人なりの人を従わせる力を常に身に付けて行動している以上、安倍晋三が答弁しているように「基本的には別人格」だだけで片付ける訳にはいかない。

 であるなら、安倍昭恵は常に自分の行動には気をつけなければならなかった。首相夫人の肩書がなければ、タダのオバサンに過ぎない。肩書がないままに誰か安倍昭恵に従う人間が現れたとしても、それは一国の首相が持っている人を従わせる力の影響を受けた権威とは明らかに性格を異にする。

 安倍晋三は安倍昭恵が名誉校長を引き受けた経緯について、「夫である私との関係でそれはできないと断っていた」が、籠池泰典から父兄を前にした講演の場で名誉校長就任の話をされ、「父兄の前で拍手された」ために断ることができなかったと説明している。

 つまり最優先しなければならない「夫である私との関係」を守ることができずに父兄が拍手したからと、その場の歓迎の雰囲気を優先させてしまった。

 何のことはない。江田憲司が総理夫人担当であった頃、総理夫人に対して「ディシプリン(Discipline-規律)問題、モラルとして私は一私人、一私企業、一私学のために肩書を貸したり講演は行ったりはしない、こういうふうに一線を引いていた」との文言で安倍晋三の夫人に対する危機管理を含めた安倍昭恵に対する批判を待つまでもなく、安倍昭恵の意志薄弱と、モラルと規律欠如を語って余りある安倍晋三の発言となっている。

 このような性格であることを考えると、自らの能力で身につけることになったのではない、首相夫人ということで与えられたに過ぎない人を従わせる力を講演だ、名誉何々に就任だと様々に発揮させては、あるいは何様に持ち上げられることで虚栄心を満足させる類いの女だと想像できる。

 安倍晋三は名誉校長就任を安倍昭恵の意志薄弱がそうさせたとは解釈せずに、「結果としては受けてしまった」、「結果としてそうなってしまい、国民の皆様から疑念を招いたことは残念だ」と名誉校長就任を結果論で片付けているが、安倍昭恵が「夫である私との関係でそれはできないと断っていた」にも関わらず、その関係を優先させることができずに断り切れなかったということなら、そのことを夫である安倍晋三に報告していたはずである。

 報告していなければ、「夫である私との関係」云々は真っ赤なウソになる。

 但し安倍昭恵が安倍晋三に報告していたとしても、逆に報告していなくても、名誉校長を続けさせていたことの安倍晋三の安倍昭恵に対する危機管理は無能以外の何ものでもない。

 要するに「国民の皆様から疑念を招いた」ことの危機管理欠如は安倍昭恵一人に負わせるべきではなく、安倍晋三自身も負わなければならない情けない危機管理欠如であろう。

 安倍晋三は「何回も申し上げておりますように私も妻も事務所も国有地払い下げにも値引き交渉等の交渉自体に関わっていないということは申し上げたとおりでございます」と言っているが、単に本人たちが言っているだけのことで、それが事実であるという“確証”は何もない。

 また、安倍昭恵の森友学園に関わる行動から、「値引き交渉に関わっているものがあるんでしょうか」と反論しているが、勿論、現在のところ“確証”はないものの、首相夫人として人を従わせる力を持たされている以上、その力が役人たちに対する忖度という形の影響力となって行使されなかった保証とはならない。

 江田憲司が安倍晋三の昭恵に対する数々の疑惑を招くことになった危機管理無能を指摘、その点に絞って追及すれば、もっと面白くなったと思うが、二人の遣り取りを聞いた後の感想に過ぎない。

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