安倍晋三の行政の私物化・政治関与による加計学園獣医学部認可であることを首相秘書官柳瀬唯夫の参考人招致答弁から証明

2019-10-07 11:39:59 | 政治
 2016年末に情報公開された加計学園に関わる今治市の文書のうち情報開示請求で一旦公開され、のちに非公開とされた2015年4月2日付の「復命書」と題した今治市の文書は企画財政部企画課長秋山直と課長補佐波頭健が今治市長菅良二宛に、〈平成27年4月2日(木)に、内閣府国家戦略特区(大学獣医学部)の協議のため東京に出張いたしましたが、その状況は次のとおりでありました。〉と書かれている。

 「相手方」と「当方」と書いてあるそれぞれの人物名は黒塗りにされている。つまり秘密を要する人物ということになる。さらに「復命書」の2枚目と3枚目と4枚目は全て黒塗り。「協議」の内容も秘密にする必要があったということであろう。

 「別紙」があって、そこには東京での訪問先が記載されていて、都道府県会館東京事務所と内閣府、首相官邸の3箇所となっている。この3箇所の用件共に「獣医師系養成大学の設置に関する協議」と記入してあるから、獣医師系養成大学の設置のための「協議」を面会目的としていたことが判明する。「復命書」も、面会目的を「内閣府国家戦略特区(大学獣医学部)の協議のため」としているから、当たり前のことだが、「復命書」と別紙は一体のものであることが分かる。
 
 3箇所の訪問場所と住所は「東京都千代田区平河町2-6-3都道府県会館」、「東京都千代田区永田町1丁目6-1内閣府」、「東京都千代田区永田町1丁目6-1首相官邸」となっている。

 重要な点であるから、改めて断っておくが、面会目的はあくまでも「獣医師系養成大学の設置に関する協議」、いわば設置に向けた何らかの働きかけであって、その一点であることを頭に入れておかなければならない。

 首相官邸での面会応対者は当時の首相秘書官柳瀬唯夫だと目されていて、それを質すために2017年7月24日の加計学園衆院予算委員会閉会中審査と翌日2017年7月25日参議院予算委員会閉会中審査に柳瀬唯夫を参考人招致して質疑が行われたが、柳瀬唯夫は面会を「記憶にない」の一点張りでかわし、安倍晋三自身も無関与を主張、野党は満足な追及はできずじまいとなった。

 安倍晋三「獣医学部新設について働きかけや依頼は全くなかったということをまず明確に申し上げたいと思います」

 安倍晋三(今治市獣医学部新設提案に関して加計学園に便宜を図るように指示したことはあるかの問いに)「私がこの獣医学部新設について指示をしたことは全くございません」

 清廉潔白の証明となっている。

 2018年4月9日、愛媛県がこれまでないとしてきた加計学園獣医学部新設関連の文書の存在を確認、詳しい事実関係は調査中であることをマスコミが報じた。翌2018年4月10日、「asahi.com」記事が愛媛県が調査中で、政府関係者に渡っていた文書をスクープし、その文書の題名は「獣医師養成系大学の設置に係る内閣府藤原次長・柳瀬首相秘書官との面談結果について」となっていると紹介、〈2015年4月、愛媛県や今治市の職員、学園幹部が柳瀬唯夫首相秘書官(当時)らと面会した際に愛媛県が作成したとされる記録文書が存在することがわかった。〉と報道。記事添付の画像には2015年4月2日に首相官邸で三者と面会した際の柳瀬唯夫の発言として「本件は、首相案件となっており」の文字が記されている。

 「首相案件」とは安倍晋三の指示を受けた加計学園獣医学部新設・認可に向けた動きであることを意味することになる。

 同2018年4月10日午後5時、中村時広愛媛県知事が県庁で緊急記者会見して、「文書そのものは県庁内には確認できていないが、会議に出席した担当職員一人一人に聞き取りを行った結果、報告するための備忘録として職員が書いた文書だと判明した」(NHK NEWS WEB)と発言。

 中村時広愛媛県知事は「asahi.com」記事が報じた愛媛県文書は2015年4月2日に今治市職員と共に愛媛県職員、さらに加計学園関係者が首相官邸を訪問した際の県への報告書作成のための備忘録であると出所根拠を明らかにしたことになる。つまり、ガセネタでもない、怪文書でもない、真正な文書だと証言したことになる。

 中村時広愛媛県知事は1ヶ月11日後の2018年5月21日に記者会見して、「参院の与野党合意で国会から関連する文書やメモをすべて出してほしいと要請があった。関連部署や個人ファイルを含めて探し、出てきたものを国会の要請に基づいて21日午後に提出した」と発言。それらの文書が次々に報道されることになったが、この提出は元首相秘書官柳瀬唯夫が2018年5月10日午前中の衆院予算委員会に、午後の参院予算委員会に参考人招致されて受けることになった追及には間に合わなかった。

 柳瀬唯夫はこれ以降、中村愛媛県知事や加計学園理事長加計孝太郎も含めた柳瀬唯夫本人の参考人招致にしても、証人喚問にしても、野党の求めに対して自民党が受け入れなかったために全面的に公表された愛媛県文書に基づいた新たな追及を免れることになった。

 例えば柳瀬唯夫は今治市職員が2015年4月2日に首相官邸を訪問した事実は記憶にないとしてきたが、2018年5月10日午前中の衆院予算委員会では加計学園関係者以外に大勢いて、今治市や愛媛県の職員が混じっていたのか記憶にない、さらに名刺交換しなかったのかと問われて、保存してある中には加計学園関係者以外の名刺はなかったからと暗に名刺交換はしなかったかのように答弁、追及を凌いでいるが、愛媛県がのちに柳瀬唯夫の名刺を載せた文書を公表、当然、面会者側からしたら首相秘書官相手に渡さずに貰うだけの名刺交換は儀礼上考えられないないから、愛媛県文書に基づいた新たな追及を免れることができたことはウソを剥がされる危険性を避けることができたことになる。

 但し前出の「asahi.com」記事を含めて、マスコミが5月10日の衆参予算委員会前にいくつかの愛媛県文書を掘り出していたから、これまでのように「記憶にありません」だけで済ますことができなくなって、掘り出された愛媛県文書で明らかになった新事実に関係する追及を受けることになった。

 マスコミ報道の愛媛県文書に対して中村時広愛媛県知事が出所根拠を明らかにし、文書の正当性を証明した2018年4月10日と同じ日に柳瀬唯夫はコメントを発表している。

 平成30年4月10日
 経済産業審議官 柳瀬唯夫

 朝日新聞等の報道に関しまして、以下のコメントをさせていただきます。

 国会でも答弁していますとおり、当時私は、総理秘書官として、日々多くの方々にお会いしていましたが、自分の記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはありません。

 自分の総理秘書官時代には、国会でも答弁していますとおり、50年余り認められていなかった獣医学部の新設がどうなるかという制度論が議論されており、制度を具体的にどこに適用するかという段階ではありませんでした。実際、その後、獣医学部新設を追加規制改革項目として、取り上げるかどうかについては、いわゆる「石破四原則」の決定により、検討が開始されることになり、翌年の平成28年11月に、獣医学部新設が国家戦略特区の追加規制改革事項として、決定されたと認識しています。

 具体的な地点の選定手続きは、私が総理秘書官の職を離れてかなり時間が経ってから始まり、今治市が特区を活用して、獣医学部新設を行う規制改革が決まったのが平成29年1月だったと認識しています。

 したがって、報道にありますように、私が外部の方に対して、この案件が首相案件になっているといった具体的な話をすることはあり得ません。

 もし加計学園獣医学部認可が安倍晋三の行政の私物化・政治関与を受けた賜物――便宜供与であったなら、「獣医学部の新設がどうなるかという制度論が議論」されていた段階であろうとなかろうと関係ない。何しろ今治市は2007年から加計学園を事業主体とする「大学獣医学部設置による地域再生」を掲げて、今治市への構造改革特区指定を2014年までに14回とか、15回申請し続け、全て却下されたのだから、このような却下の流れを受けて裏側で「首相案件」としていたなら、「獣医学部新設を行う規制改革が決まったのが平成29年1月だった」といった表向きのスケジュールは意味をなさない。

 改めて「asahi.com」記事がスクープし、中村時広愛媛県知事が県職員が備忘録として書いたものだと証明した愛媛県文書の題名を見てみる。太字、蛍光ペン等の文飾は当方。

 題名は「獣医師養成系大学の設置に係る内閣府藤原次長・柳瀬首相秘書官との面談結果について」(27.4地域政策課)

 そして既に触れたように記事は、〈2015年4月、愛媛県や今治市の職員、学園幹部が柳瀬唯夫首相秘書官(当時)らと面会した際に愛媛県が作成したとされる記録文書が存在することがわかった。〉と解説しているから、2015年4月2日の首相官邸面会者がこれまで扱われてきたように今治市職員だけではなく、愛媛県職員、さらに加計学園関係者が加わっていたことが判明する。そして文書の題名が「獣医師養成系大学の設置に係る内閣府藤原次長・柳瀬首相秘書官との面談結果について」となっている以上、面会目的は「獣医師養成系大学の設置」に向けた何らかの働きかけであることを示していて、この面会目的は今治市文書「復命書」に記載されている面会目的と一致する。一致は当然であって、一致しないと奇妙なことになる。

 改めて触れるが、その文書には首相秘書官柳瀬唯夫の「主な発言」として、〈本件は、首相案件となっており〉との文言が記されている。この発言を柳瀬唯夫がどう否定しようとも、今治市と愛媛県、加計学園関係者の柳瀬唯夫に対する面会目的が「獣医師養成系大学の設置」に向けた何らかの働きかけであることに何ら変化を与えない。

 今治市が国家戦略特区活用目的に「国際水準の獣医学教育特区」を提案したのが2015年6月4日。その2ヶ月前の2015年4月2日の午前中に国家戦略特区を用いた規制改革の所管部署である内閣府地方創生推進室の次長である藤原豊と面会、さらに午後に首相官邸で首相秘書官の柳瀬唯夫と面会して、「獣医師養成系大学の設置」についての要望を行い、柳瀬唯夫からは「本件は、首相案件となっており、何とか実現したいと考えている」と鬼に金棒のお言葉を頂戴した。

 勿論、これらは今治市文書や文科省文書、そして愛媛県文書等に現れている事実であって、現実世界で実際に起きた出来事であることの証明を受けた事実でない。

 少なくとも2018年5月10日午前中の衆議院予算委員会柳瀬唯夫参考人招致の質疑を、午後に参議院予算委員会柳瀬唯夫参考人招致の質疑を迎えることになったとき、野党側はその時点までに自らの発掘によるか、あるいはマスコミ報道によって知り得た各文書に現れている数々の事実を頭に入れて臨んだはずだ。

 そしてそれらの事実に基づいて組み立てた加計学園獣医学部新設・認可に関わる全体像は全面的に「首相案件」であることの疑惑によって黒々と塗り込められていたに違いない。

 では、衆参の柳瀬唯夫参考人招致から柳瀬唯夫への面会目的が「獣医師養成系大学の設置」に向けた何らかの働きかけであることは動かし難い事実であることのみに絞って、質問と答弁を見てみる。そして最後に上記「asahi.com」 記事が伝えた愛媛県文書を愛媛県が参院に提出後に公表された画像からテキスト化して記載することにする。

 最初に衆議院予算委員会(2018年5月10日)

 自民党後藤茂「平成27年4月2日に愛媛県、今治市が官邸を訪問したことについて、愛媛県のメモが公表され、また、農水省も愛媛県の文書を保有するなどの事実が明らかになっております。4月10日、柳瀬元秘書官は、自分の記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方とお会いしたことはないとコメントを出していますが、国民の中で、事実関係についての疑念は拭えておりません。

 4月2日に柳瀬元秘書官は愛媛県、今治市、加計学園関係者と会っていないのか、まず最初にしっかりと説明してください。

 柳瀬唯夫「御質問の点でございますけれども、加計学園の事務局の方から面会の申入れがありまして、4月ごろに、その後の報道などを拝見すると恐らくこれが4月2日だったのではないかと思いますけれども、加計学園の方、その関係者の方と面会をいたしました。

 その面会のときには、相手方は、10人近くの随分大勢でいらっしゃいました。そのうち、加計学園の事務局に同行されました獣医学の専門家の元東大教授とおっしゃっている方が、世界の獣医学教育の趨勢は感染症対策にシフトしているのに日本は全くついていっていないという、獣医学教育に関するお話を情熱的にとうとうとされた覚えがございます。あわせまして、加計学園の事務局の方から、国家戦略特区制度を活用する方向で検討しているというお話がありました。

 面会では、メーンテーブルの真ん中にいらっしゃいましたその元東大教授の方がほとんどお話しになっていて、それと、加計学園の事務局の方がお話しになっておりました。そのために、随行されていた方の中に愛媛県の方や今治市の方がいらしたかどうかという記録は残ってございません。

 ただ、その後の一連の報道や関係省庁による調査結果を拝見しますと、私は、今でも愛媛県や今治市の職員の方が同席者の中にいたかどうかはわかりませんけれども、十人近くの同席者の中で、メーンスピーカーでない方の随行者の中に愛媛県や今治市の方たちがいらっしゃったのかな、かもしれないなというふうに思います」
   
         ・・・・・・・・・・・・・・・

 柳瀬唯夫「(元東大教授の方から)獣医学部が過去50年余り新設されていないこと、四国には鳥インフルエンザなどの感染症対応の獣医が不足していること、過去、構造改革特区で今治市から何度も獣医学部新設を申請してきているが実現していないことというふうなお話があったと思います。その際に、従来の構造改革特区とは別に、新たに国家戦略特区制度が始まったという話も出たようにも思いますけれども、そのときには特に具体的な話にはならなかったように思います。

 このときに、50年以上も獣医学部が新設されていないというお話を伺いまして、強く違和感を覚えました。しかし、私自身、獣医学部新設については詳しくなかったので、基本的に、聞きおいたということだったと思います」

 柳瀬唯夫の答弁は加計学園関係者である元東大教授が、「獣医学部が過去50年余り新設されていないこと、四国には鳥インフルエンザなどの感染症対応の獣医が不足していること、過去、構造改革特区で今治市から何度も獣医学部新設を申請してきているが実現していないこと」という獣医学部新設に向けた加計学園が置かれている状況を説明しに来ただけという説明になっている。

 三者側の面会目的があくまでも「獣医師養成系大学の設置」に向けた何らかの働きかけである以上、状況説明だけで終わらずに、このような状況だからこそ、獣医師養成系大学の設置に何らかの助力をお願いしたいを結語として初めて面会目的は完成する。

 もし三者側が状況説明だけで終えて首相官邸を辞したとしたら、面会目的を果たさなかったことになるだけではなく、この衆院予算委開催前に表沙汰になった愛媛県文書はそこに現れている通りの内容とはならない。このことは今治市文書「復命書」についても言えることで、この矛盾を突かなければならないが、他の質問者も同じような質問をし、同じような答弁を柳瀬唯夫に許している。

 つまり面会目的を省いているところに柳瀬唯夫の答弁は虚偽そのものとなる。午後の参院予算委員会で立憲民主党の蓮舫が「面会は午後3時から始まって3時40分に関係者全員が退室している」と発言しているが、大の大人たちは面会の40分間を状況説明のみに費やして、面会目的に触れずじまい、柳瀬唯夫の方も、面会目的についての何らかの要請に耳を傾けもしなかったことになる。門前払いでない以上、特段の理由がない限り、そのような面会など存在はしない。

 立憲民主党長妻昭「柳瀬さんにお伺いいたしますけれども、2015年の4月2日の会談は認められましたが、それ以降、加計学園関係者にお会いしたことはありますか」

 柳瀬唯夫「総理に御一緒した際に、加計学園の方とお会いしたことがございました。その後、2015年の2月から3月頃に一度、官邸にアポイントをとって来られましたので、そのときにお話を伺いました。そして、同じ2015年年4月に、今話題になってございます面会をさせていただきました。それで、その後、今治市が戦略特区の提案を出すということをお話しに一度来られたという記憶がございます」

 長妻昭「そうすると、2015年4月2日以降は、今治市と加計学園に一度しか会っていないということですか」

 柳瀬唯夫「まず最初に、申し上げ忘れましたけれども、申しわけございませんが、私の国会の答弁をきっかけとして大変御迷惑をおかけして、申しわけございませんでした。これは、与党も野党にもどちらにも御迷惑をおかけしましたので、おわびをさせていただきたいと思います。
 
 その上で、お答えさせていただきます。

 その意味で、官邸でお会いした3回は覚えてございます。それ以外はちょっと覚えが、官邸でお会いした覚えは、それ以外はございません」

 長妻昭「そうすると、加計学園とは首相官邸で三回お会いをした、四月二日とその以前一回と四月二日以降も、三回、加計学園関係者とお会いしたと。官邸でですね」

 官邸以外でこれまで、期限を区切らずに、加計孝太郎理事長を含めて加計学園関係者とお会いしたのは、会食、ゴルフもあったのかもしれませんけれども、何回ぐらいですか。

 柳瀬唯夫「私が記憶していますのは、一度ゴールデンウイークに、総理の別荘が河口湖にございまして、そこにお供をしたときに、たくさん総理の御親族の方や御友人の方が集まっておられまして、そこで、総理の御自宅というか別荘でバーベキューなどを、これはいつもよくやってございますけれども、やったときに、加計学園の理事長さんと事務局の方がいたという記憶がございます。それと先ほど申しました官邸でお会いした三回と、私が総理秘書官時代、お会いした記憶は以上でございますけれども、それ以外にお会いしたかどうかは、ちょっと今覚えているものはございません。

 長妻昭「そうすると、加計学園関係者と会ったのは、官邸で三回、そして、官邸以外では一回しかないと。(柳瀬参考人「一回はお会いしています」と呼ぶ)一回は覚えている、それ以外もあるかもしれないけれども、覚えていないということだと思います。

 これは、多分、今、バーベキュー云々かんぬんという話は、2013年の5月6日、平成25年ですね、ゴルフのコンペではないかと思うんですけれども、ゴルフはされましたですか」

 柳瀬唯夫「その当時、私、ちょっと首を痛めてからはやらなくなりましたけれども、そのころ、お供をしたときには御一緒に、総理が大体友人の方たちとやっておられて、秘書官は緊急連絡要員ですので、その後のパーティーで追っかけていくということがありましたので、多分そのときも、バーベキューを前の日にやって、翌日ゴルフをやって、いつものように総理がやっておられて、そのパーティーの後ろの方で秘書官たちでついていったということだと思います」

 長妻昭「そうすると、ゴルフもされたということですね」

 柳瀬唯夫「多分、ちょっと首を痛める前だと思いますので、そのころであればしていたと思います」

 長妻昭「ゴルフの代金はどなたが払ったんですか」

          ・・・・・・・・・・・・・・・

 柳瀬唯夫「私、総理秘書官になりまして大変違和感を覚えましたのは、本当に外の話が聞けなくなる、だんだんもう、自分は世の中からどんどんずれているんじゃないかということを強く思いまして、できるだけ、外の方からアポイントがあれば時間が許す限りお会いするようにしていました。別に総理の親友だからということではございませんで、私は、都合がつく限り、どなたであってもアポイントのあった方はお会いしたというふうに覚えております」

 加計学園と何回会ったのかだとか、ゴルフを一緒にしたのかだとか、ゴルフの代金は誰が払っただとか、どうしようもない質問ばかりを続けて、愛媛県、今治市、加計学園側の面会目的は何だったのか、一言も尋ねていない。 

 柳瀬唯夫は二度「アポイント」という言葉を使っている。相手側がアポイントを取るについては先ずアポイントの目的(=面会目的)を伝えて、アポイントを受ける側の了承を得る手続きが必要となる。柳瀬唯夫は最初に加計学園の方が「2015年の2月から3月頃に一度、官邸にアポイントをとって来られましたので、そのときにお話を伺いました」と答弁している。当然、どのような面会目的を伝えられたのか、相手のどのような面会目的に応じて官邸で応対したのか聞いていたなら、これまでの状況説明に来ただけで、面会目的には触れない答弁の矛盾を突くことができたかもしれないが、そのまま遣り過している。

 長妻昭「安倍総理は、昨年の1月20日に加計学園の獣医学部新設の計画を知ったというふうにおっしゃっているんですね、国会で。でも、今の話を聞いていると、柳瀬さん本人は相当前に知っていますよね。

 初めて獣医学部新設の計画を加計学園が持っているというのを知ったのはいつでございますか」

 柳瀬唯夫「平成27年の2月から3月に官邸にお越しになったときにこの獣医学部の話をされていまして、そのときに、これは、このときは国家戦略特区ではなくて構造改革特区として今治市が申請しているということを加計学園の方がおっしゃっていましたので、その時点で、加計学園は獣医学部の新設というのを今治市と一緒にやろうと考えているんだなということを認識しておりました」

 長妻昭「そうすると、2015年ですよね、平成27年。2月か3月というと、日にちは覚えていないですか、いつ来たかというのは」

 柳瀬唯夫「申しわけございませんが、4月より1、2カ月前だったなというぐらいの印象しか残っておりません。済みません」

 長妻昭「私は、実は首相経験者にもお話を聞いたし、首相秘書官関係者にもお話を聞きました、これまで経験した方に。やはり首相と秘書官というのは一心同体で、目となり耳となって、いろいろな報告はまめにしている、勝手に外部の事業者と会うということは基本的にはないと。

 そうすると、柳瀬さんは2015年の2月か3月に加計学園の獣医学部新設の計画を知ったということで、総理は去年なんですよ。すごく、2年弱空白期間があるんですけれども、その間に何にも、総理大臣に一切、加計がこういう計画があるとか、加計と会ったことすら何にも、雑談も含めて何にも報告しなかったということですね」

 柳瀬唯夫「私、いろいろな方とお会いしましたけれども、きのうこういう会社の人とお会いしましたとか、こういう市町村の方とお会いしましたと総理に一々報告したことは、別にこれに限らず、ございませんし、私は、平成27年の8月の4日だったと思いますけれども、総理秘書官を退任していますので、今、長妻先生が29年とおっしゃいましたけれども、私は、4月2日から、あるいは2月から、3月からしても、その後、半年足らずで官邸を出ていますので、その後総理が、今、認識された年は29年の初めですか、その1年半ぐらいの間、総理がどこでどう認識されたかというのは、私にはちょっとわかりません」

 柳瀬唯夫は加計学園が2015年の2月か3月に首相官邸に来た際に「獣医学部の新設というのを今治市と一緒にやろうと考えているんだなということを認識した」と答弁している。長妻昭は「考えていることを認識させることだけが相手の面会目的であったのか」と柳瀬唯夫に問い質さなければならなかった。

 子供の使いでなければ、「考えていることをぜひ実現したい。つきましてはご助力をお願いします」までいってこそ、今治市文書の「復命書」別紙の面会目的を「獣医師系養成大学の設置に関する協議」と記載することの整合性を取ることができ、愛媛県文書の「獣医師養成系大学の設置に係る内閣府藤原次長・柳瀬首相秘書官との面談結果について」と面会目的を記載する正当性を得ることができる。

 そもそも首相官邸で柳瀬唯夫と面会するアポイントを取る際に面会目的を伝えているはずで、面会した以上、その面会目的に添った話し合いが行われなければならないが、その面会目的について一言も話し合わなかったと見せかける国会答弁は虚偽の事実によってしか成り立たせることはできない。

 午後の参院質疑で立憲民主党の蓮舫のみが面会目的を尋ねている。但し深く考えもせずに横道に逸れてしまった。

 蓮舫「何の案件でお会いをしたんですか」

 柳瀬唯夫そのときに具体的な案件の申入れがあったかどうか、ちょっと記憶にありませんけども、まあ上京されてお会いしたいということでしたのでお会いをしました」

 蓮舫「具体的な案件が分からないけれども、上京したのでお会いをしたい、つまり、首相秘書官である柳瀬さんと加計学園関係者はそれぐらい密接な関係ということでしょうか」

 柳瀬唯夫「元々、総理の別荘のバーベキューでお会いして、まあ面識はありました」

 それから、私は総理秘書官時代、まあちょっと相当時間タイトでありましたが、時間がある限りは外の方のアポイント、申入れはお会いするようにしていましたし、私の記憶ではアポイントの申入れをいただいてお断りをしたことはなかったと思います」

 蓮舫「このバーベキュー等でお会いをした、どなたから紹介されたんですか、加計理事長、学園関係者は」

 柳瀬唯夫「これはですね、総理はよく河口湖の別荘に行かれて、御親族の方や御友人らをいっぱい集めてバーベキューをやるということはよくやっておられました。そのときに、秘書官も緊急時対応でいつも何人か御一緒をしてございました。

 したがって、御紹介いただくとかいうそういう場ではございませんで、わあっとそこのお庭に総理の御親族やお友達の方がいて、秘書官がいて、まあ総理の、政府の何人かの方がいてと、そういう場で何十人もいるところでお会いをしたということで、特に誰かに紹介されたわけではございません」

 蓮舫「つまり、全く紹介されていなくて、何十人もいる、たくさんいる中でお会いをしたその人からアポイントの連絡が来て、案件も分からないで、それでお会いをする間柄なんですか」

 柳瀬唯夫「先ほど申し上げましたように、私は基本的にアポイントの申入れがあれば、政府の外の人、お会いするようにしていましたので、まあこれも例外じゃないということでございます」

 蓮舫「3月24日の面会、先ほどあなたは4月2日に学園関係者側から国家戦略特区という提案があったと言いましたが、3月の会合時点で既にあなたから加計学園関係者に国家戦略特区でいこうと助言していませんか」

 柳瀬唯夫「そこの具体的なやり取り、記憶がクリアではありませんけども、その三月の、その最初にお会いしたときも、構造改革特区で何度もやっているけどうまくいかないという話がございまして、そのときにはもう国家戦略特区制度がスタートしていましたし、安倍政権として大事な柱でございましたので、それは、当時、その戦略特区をPRするというのは……」

 蓮舫「3月に言いましたか」

 柳瀬唯夫「ええ。それで、そのときに国家戦略特区の話になったと思います。ただ、そのときどこまで具体的な話になったかは、そこはよく分かりません」

 蓮舫「つまり、もうそこで既にもう国家戦略特区の話題が出たら、その後の4月2日のアポイントのときに、国家戦略特区でいくと事業者ではないから愛媛
県、今治市も行った方がいいだろうと、それを呼ぶように加計学園に提案していませんか」

 柳瀬唯夫「ちょっと、私の方から呼ぶようにと言った記憶はございませんけども」

 蓮舫は「何の案件でお会いをしたんですか」と面会目的を尋ねた。対して柳瀬唯夫は「そのときに具体的な案件の申入れがあったかどうか、ちょっと記憶にありませんけども、まあ上京されてお会いしたいということでしたのでお会いをしました」と答弁。それに応えて蓮舫は「具体的な案件が分からないけれども、上京したのでお会いをしたい、つまり、首相秘書官である柳瀬さんと加計学園関係者はそれぐらい密接な関係ということでしょうか」といとも簡単に横道に逸れてしまった。

 既に明らかになっている今治市文書と愛媛県文書には面会目的が「獣医師系養成大学の設置」についてのことだと記載されていることを踏まえていたなら、「上京してお会いしたいということ」だけで面会に応じたとしたら、「例の件で」という言葉が最初にあって、「例の件」が何なのか、その意味を両者間が共通認識としていることが条件となる。

 当然、「例の件」とは「獣医師系養成大学の設置」に関してのことだとしなければならない。蓮舫としたら、「今治市文書にしても愛媛県文書にしても『案件』は『獣医師系養成大学の設置』となっているのだから、その案件での面会だったはずだ」と追及しなければならなかった。

 今治市文書と愛媛県文書が面会目的を記載しているのだから、それを根拠に同じ面会目的を柳瀬唯夫の口から引き出さない限り、「3月の会合時点で既にあなたから加計学園関係者に国家戦略特区でいこうと助言していませんか」とか、「つまり、もうそこで既にもう国家戦略特区の話題が出たら、その後の4月2日のアポイントのときに、国家戦略特区でいくと事業者ではないから愛媛県、今治市も行った方がいいだろうと、それを呼ぶように加計学園に提案していませんか」と尋ねようと、素直に「ハイ、そうです」と答えるはずはない。

 引き出したとき初めて、面会目的に添う会話が交わされたはずだと追及できる確かな手がかりを手にすることができる。

 柳瀬唯夫は一貫して面会目的に触れるのを避ける答弁か、面会目的とならないような言葉を並べる誤魔化しの答弁に終始した。面会目的を明らかにしたなら、交わされた会話の中身までが知れることになるからなのは断るまでもない。このことだけを取り上げても、加計学園獣医学部新設と認可が安倍晋三の行政の私物化・政治関与の産物であることを証明することになる。

 でなければ、面会目的を隠す必要は何もない。この証明を元にした場合、「asahi.com」記事が伝えた以下の愛媛県文書は題名に現れている面会目的と内容が一致していて、全て事実を記していると見ることができる。

 「獣医師養成系大学の設置に係る内閣府藤原次長・柳瀬首相秘書官との面談結果について」

                       27.4
                      地域政策課   
                    
 《藤原地方創生推進室次長の主な発言(内閣府)11:30》

  ・要請の内容は総理官邸から聞いており、県・今治市が
   これまで構造改革特区申請をされてきたことも承知。
  ・政府としてきちんと対応をしていかなければならないと考
   えており、県・市・学園と国が知恵を出し合って進めてい
   きたい。
  ・そのため、これまでの事務的な構造改革特区とは異なり、
   国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたい。
  ・国家戦略特区は、自治体等から全国レベルの制度改革提供
   案を受けて国が地域を指定するものであるが、風穴を開
   けた自治体が有利。仮にその指定を受けられなくても構
   造改革特区などの別の規制緩和により、要望を実現可能。
  ・今年度から構造改革特区と国家戦略特区を一体的に取り
   扱うこととし、年2回の募集を予定しており、遅くとも
   5月の連休明けには1回目の募集を開始。
  ・ついては、ポイントを絞ってインパクトのある形で、2、
   3枚程度の提案書案を作成いただき、早い段階で相談さ
   れたい。
  ・提案内容は獣医大学だけでいくか、関連分野も含める
   かは、県・市の判断によるが、幅広い方が熱意を感じる。
  ・獣医師会等と真っ向勝負にならないよう、既存の獣医学
   部と異なる特徴、たとえば、公務員獣医師や産業獣医師の
   養成などのカリキュラムの工夫や、養殖魚病対応に加え、
   ペット獣医師を増やさないような卒後の見通しなどもし
   っかり書き込んでほしい。
  ・かなりチャンスがあると思っていただいてよい。
  ・新潟市の国家戦略特区の獣医学部の現状は、トーンが少
   下がってきており、具体性にかけていると感じている。

 《柳瀬首相秘書官の主な発言(総理官邸) 15:00》
 
 ・本県は、首相案件となっており、内閣府藤原次長の公式
  のヒアリングを受けるという形で進めて頂きたい。
 ・国家戦略特区でいくか、構造改革特区でいくかはテクニ
  カルな問題であり、要望が実現するのであればどちらで
  もいいと思う。現在、国家戦略特区の方が勢いがある。
 ・いずれにしても、自治体がやらされモードではなく、死
  ぬほど実現したいという意識を持つことが最低条件。
 ・四国の獣医大学の空白地帯が解消されることは、鳥イン
  フル対策や公衆衛生獣医師確保の観点から、農水省・厚
  労省も歓迎する方向。
 ・獣医師会には、直接対決を避けるよう、既存の獣医大学
  との差別化を図った特徴を出すことや卒後の見通しなど
  を明らかにするとともに、自治体等の熱意を見せて仕方
  がないと思わせるようにするのがいい。
 ・加計学園から、先日安倍総理と同学園理事長が会食した
  際に、下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけ
  しからんといっているとの発言があったとのことであり、
  その対応についての意見を求めたところ、今後、策定す
  る国家戦略特区の提案書と併せて課題への取組状況を整
  理して、文科省に説明するのがよいとの助言があった。

  ついては、県としては、今治市や加計学園と十分協議を行
  い、内閣府とも相談しながら、国家戦略特区の申請に向けた
  準備を進めることとしたい。 
   また、これと併行して、加計学園が構想する事業費や地元
  自治体への支援要請額を見極めるとともに、今治市新都市への
  中核施設整備の経緯も踏まえながら、経費負担のあり方につ
  いて十分に検討を行うこととしたい。  

 

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