自民総裁選/谷垣総裁選出は森喜朗が主役の派閥政治の延命治療(3)

2009-09-23 18:31:01 | Weblog

 18日自民党総裁選共同記者会見続き

 ――幹事から三問目です。テレビ朝日の足立です。えー、派閥ですけれども、えー、党再生会議の提案にもありましたけれども、解消すべきだとお考えでしょうか。もし解消するなら、どのような形で解消を実施するのでしょうか。え、総裁になったときに党役員人事などをするときに、そのバランスなどを意識した人選をするのでしょうか。それについても答えてください。

 谷垣「派閥の弊害というのは乗り越えていかなければいけないと思うんですね。例えば人事を壟断(利益を独り占めにすること)するとかね。えー、党あって、派閥あって、党なし、おー、いうようなことが行われるようではいけないと。やはり人事は、おー、何て言うんでしょうか、特に政権交代ということになればですね。えー、派閥の情実人事であるとか、順送りであるとか、あの人は次の選挙で引退するから、閣僚にしてやろうとか、こういう人事であっては、あー、政権交代、この可能な時代には、負けてしまう。

 だから、ベストメンバーでのぼらな、臨まなければいけない。そういう意味で、派閥の論理や何かはこの人事に関しては乗り越えなければいけない。これは当然のことだろうと思います。そうして派閥が人事や、それからカネを配る機能、カネを配るっていう機能もですね、野党になって、そんなものは非常に衰退化していくことは明らかでありますから、そうしますと、派閥の機能っていうのは、弱ってくると思うんです。

 ただ、派閥の機能を弱めていくは、弱まっていくといいますか、もう一つ考えなければならないことがあると思います。それは今、党ではですね、必ずしも、あのー、何て言うんでしょうか、新人を教育したり、新人を発掘したりする作業が必ずしも十分にできていない。それから現在ですね、ええ、例えば落選をしておられる方が、どこに頼ろうかということになると、党に頼るというよりも、圧倒的に人間関係のあるところにいって、色々指導を受けたりですね、励ましを受けたりしているのは実情だろうと思います。従って、党にですね、やっぱり新しい人材を発掘し、そうして、その新しい人材に、何て言うんでしょうか、あー、選挙教育って言うんでしょうか、選挙指導というものを施してですね、それから落選している方々にも、きちっと連絡を取って、そうして、その何て言うんでしょうか、まあ、孤立化しないというか、あんまり淋しい気持になると、選挙も続きませんから、やっぱりそういうことをきちっとしていく、いうようなことが必要なんじゃないかと思います。

 私はこういう野党になって、派閥の機能は段々なくなっていくと思いますけど、その今果たしているものに代える機能等をつくる努力をしなければいけないと思っています。

 そうしますと、結局残るのは仲良し同士が時々メシを食うとか、えー、仲良し同士が、えー、政策を議論をやろうかと、いうような集団としては、ま、残っていくだろうと、そういうふうに思います」

 (「あの人は次の選挙で引退するから、閣僚にしてやろうと」いった人事が与党時代の自民党では行われていたわけである。だが、そういった派閥の弊害を直接的には指摘も批判もしない。ただ、「派閥の弊害というのは乗り越えていかなければいけない」と一般論化して述べているだけである。

 野党になって、派閥は衰退化していくと言っているが、野党となっても党役員の選出、影の内閣を置くだろうから、その閣僚の選出と人事作業は与党時代と変わらずに行われるはずである。そこに与党時代と同様の派閥力学が働かない保証はない。河野太郎に言わせると、総裁選立候補の段階で既に派閥は動いているということになっている。

 にも関わらず、「派閥の機能は段々なくなっていく」から、派閥がこれまで担って来た新人教育・新人発掘を派閥に代って党が担う機能を構築しなければならないと野党化による派閥衰退がさも現実のものであるかのように言う。)


 西村「ハイ。えー、派閥の機能を、これまで果たしてきた機能というか、やってきたこと、まあ、二つ三つあると思いますけど。一つが、えー、カネ、ポストの配分、ですね。で、え、まー、大臣ポストは総理が派閥に関係なく選ぶような仕組みで段々できてきましたけれども、残念ながら、えー、副大臣、政務官といったポスト派閥順送りでやっていたわけです。これがなかなか大臣を長として政策、政治主導でやるチームができなかった。これは大きな反省をしなければならない点だというふうに思います。

 えー、そんな中で、えー、野党になりですね、あの配るポストもない、おカネもない。えー、段々段々もう派閥という機能がなくなっていく。まあ、いわば緩やかな、えー、おそらくサロンのような機能、むしろ、えー、これまでも派閥に属していたとしても、議連、議員連盟があったり、それぞれの組織、政策の勉強会があったりですね、横断的にやってきていますから、必ずしも派閥の機能がすべてを決めてきたということはないですけれども、これはもう、えー、機能は段々小さくなってきているんだろうと思います。そういう意味で、私は解消していく途中の中にあると思いますし、私自身は離脱をいたしましたので、えー、中立的な立場で、リーダーシップを発揮し、えー、適材適所で人事をやっていく、そういう覚悟でいます。

 もう一つ、先程申し上げました。えー、残念ながら党に、あるいは地方組織にリクルーティングの仕組みがなかった。従って、派閥のグループが人間関係の中で、知り合いの中で、何かいいのがいないか、中であいつがいる、こいつがいる。そういう選び方をしてきて、そこで人材規制をしてきた、だろうと思います。まあ、いわば個人商店、自民党の議員はそもそも個人後援会が主として中心でありますし、そしてまた、そういう機能も個人個人で、個人のグループでやってきた。これを、ま、近代政党というか、新しい党に生まれ変わるためには、党主導で、党がしっかりと人材を見つける仕組みをつくり、必要とする仕組みをつくる。

 そしてまた地方組織、えー、今までのような県会議員、市会議員の馴れ合いでやってんじゃなくてですね、え、しっかりとした仕組みにこれから生まれ変わる党改革、主要組織の改革をやって、そこで新しい人材を発掘する、あるいは人材育成をしていく。そして今落選をしている人たち、にしっかりと支援をしていく。こうした仕組みをですね、これからも活動していかなければいけないのではないかと思います。

 えー、そういう意味で、えー、これから派閥を、ま、自然に解消しますけども、ま、人事とおカネでしっかりと党中央でやれば、党、党、党執行部は、えー、総裁が幹事長が、しっかりと、それをやっていけばですね、派閥がカネを配ったり、あるいは人事を派閥順送りにしなければですね、派閥の機能はなくなりますから、これはもう、解消していくと、言うことになるというふうに思います」

 (西村も「大臣ポストは総理が派閥に関係なく選ぶような仕組みで段々できてきたけど、副大臣、政務官といったポスト派閥順送りでやっていた」と谷垣と同様に派閥が自民党の組織運営を担っていたことの種明かしをしている。

 そして野党化したことで派閥は解消に向かうと谷垣と同様の考えを示している。だとしたら、何も総裁選の問題として取り上げる必要もないし、離脱をする必要もない。古い政治家の誰が派閥という自己存在証明及び自己実現、自己活躍の虎の子の手段であり、そうであるゆえに、自らのメンツを満足させ、うまい汁を保証してくれる既得権を手放すものか。

 また派閥力学に依存し、その恩恵を受けて活躍の場と活躍の機会を得ている有象無象の議員がその恩恵をつくり出している組織の機能、派閥に担わせている機能を自ら無縁のものにすると思っているのだろうか。逆に既得権益として手放すまいとするのが人間の自然であろう。認識能力のない男たちだ。)


 河野「森喜朗さんに派閥の解消をすべきだと言って、森さんが派閥を解消するでしょうか。絶対しないと思いますね。派閥をやめたけど、勉強会をつくった。派閥をやめたけど、仲良しグループをつくった。昼飯会をつくった。そうなるに決まっています。自民党のこれからを考えたときに派閥をどうしてくださいとか、派閥はどうあるべきだ、なんていう議論は全く無駄だと私は思っています。森さんを初め、派閥の領袖が、自分たちの力の源泉を自分たちでどうかする、そんな気はサラサラないわけであります。

 じゃあ、どうするかと言ったら、派閥には何も触らせない。人事は、全部、党が、やる。政治資金はすべて党がコントロールをする。候補者の選定はすべて党が決める。それでも森喜朗さんと週に1回、昼飯を食べたいという人が何人いるか。それでもご飯を食べる友達がいるんだったら、それはそれで、いいことなんだと思います。しかし派閥が果たす役割は、河野総裁の元では、何もありません。それで誰かと一緒にご飯を食べたいと言うなら、それはどうぞ一緒にやってください、と言えばいいだけの話であります。

 派閥が人を発掘し、候補者を決めてきたから、ベストのメンバーが候補者にならなかった、ことはこれまでも多々あります。党本部が人を見つけ、人を育て、そして地方と一緒になって、候補者を決めて、これが一番自由民主党にとって、最適な人事だ。そういうことをやっていかなければ、いけないと思います。

 なぜ、大臣が今まで1年ごとに代ったか。あるいは党のマルチメディア局長なんていう役職ですら、なぜ1年で代ったのか。これは派閥が、その属する議員が満足して貰うために1年毎に、そのポジションを代えていかなかったら、不満が出るからです。そんなことをやっていたから、今の自由民主党の体たらくがあります。

 私のところでインターンをやってくれていた、イギリスから来たある仲間に、イギリスの人事と、日本の自由民主党の人事、トニア・ブレアさんの労働党の人事と自民党の人事を較べて貰いました。自由民主党は綺麗に年功序列で、ポジションが代っておりましたけれども、イギリスでは全くそういうことは見られませんでした。河野太郎総裁の元では、派閥も年功序列も関係ない、能力オンリーで人事をやらせていただきます。それについて誰かからとやかく言われる筋合いは全くないと私は思っておりますので、だからこそ、この総裁選挙に立たせていただき、河野太郎の元にこの党を新しく生まれ変わらせていただきたいと思っております」

 (河野だけが派閥利害から離れて立っているから、客観的な認識能力を示すことができる。

 「森喜朗さんと週に1回、昼飯を食べ」る。それを望む人間からしたら、自らの忠誠心を示す場であり、森喜朗からしたら相手の忠誠心を計る場であろう。結果、政治が各自の政治的創造性によってではなく、忠誠心で動くことになる。

 河野は派閥主導型政治に反対なら、私に総裁の1票を入れるべきだ、今のままの派閥支配の党運営でいいなら、谷垣さんなり西村さんなりを総裁に選べばいいと宣言して、誰を選ぶかを派閥主導を許すかどうかの踏み絵とすればいい。谷垣が選ばれたなら、自民党の大勢は派閥容認派に占められていることが明らかとなる。派閥容認でありながら、そう見られたくないために河野に投票する行動に出る者も出てくるに違いない。

 その上で河野が選出されなかったなら、自民党の派閥政治を壊すことはできないだろう。)


 ――幹事からの質問は以上です。各社さん、どうぞ。

 ――産経新聞の・・・(?)・・・です。今の質問に少しかぶるんですけども、この前、あのー、落選議員の方々が党本部で開いた会合の中ではですね、キングメーカーが人事を歪めたりする。そういうやり方だったから、結局有権者に嫌われた、いう意見がかなりありました。あの、これから総裁になってですね、役員人事をやったりするときに、こうしたキングメーカーの声は今の段階で、完全に排除できる、そういう覚悟はおありなのかということと、具体的にそうするための手法を、どういうふうなことを考えていらっしゃるのか、それをお伺いしたいと思います。

 西村「ハイ。えーと、私自身は総裁になったとき、こういう人事でやりたいっていうを頭に持っております。えー、これは比較的たくさんの、私、一年生、二年生、一期、二期のとき、からですね、各政策分野での事務局長をやらせていただいたり、委員会議事で色んな現場をやらせていただいてきましたので、えー、色んな先輩、先生方、あるいは同僚、後輩、一年生はまだ分かりませんので、一期生はまだ分かりませんけれども、えー、色んな付き合いの中でこの人はどんな能力があり、どんなことを考えておられるのか、私なりに、えー、よく知っているつもりであります。
 えー、分担とか含めてですね、多少仕組みを変えたいと思っていますけども、分野ごとにですね。そうした分野でこの人を長にして、この人を、おー、の意見を聞きながら、そしてその人が国会論戦をやってもらいたいなあ、という大まかな絵は描いておりますから、これは総裁になればですね、直ちにそれを具体化していきたいというふうに思っております。従って、えー、全く相談する気はありません」

 河野8月の30日の投票の日からまだ一ヶ月も経っていない、この総裁選挙の推薦人を集める段階で、何を考えていらっしゃるのか分かりませんが、何人かの派閥の領袖が私の推薦人のところに電話してきて、河野太郎の推薦人には絶対なるな、そう電話をかけてこられた方がいらっしゃいました。全く懲りていない方がいらっしゃる。えー、これを何とかしないければ、自由民主党の再生はない。私はそう思っています。

 ですから、私はその老壮青とか、挙党一致とか、色んなことを、おー、言葉がありますけども、だから、今までのことはなかったことにして、みんなで力を合わせようということには、ならないんだと思います。やっぱり自由民主党を新しくつくり上げるためには、切らなければならないという部分ははっきりある。それを切るかどうかがこの自由民主党の再生のカギを握っていると私は思っております。河野太郎の推薦人に名を連ねてくれた方々は、そういうことに賛同して、名前を連ねてくれたわけですから、我々の、うー、グループが担いでくれた河野太郎が総裁になったら、そういうところに耳を傾ける必要は私は何も感じておりません。

 むしろ、そういう人には申し訳ないけども、自民党の中にどれだけ居場所があるのか、というのを考えてもらわなければいけない。というふうに思っております」

 谷垣「ま、これは総裁になりましたら、どういう人事をするか。やはり、これは何と言うんですかね。えー、総裁が全責任を持って、自分の判断できちんと選んでいくんだと、この挙党態勢を揺るがしたらいけないんだと思います。そして、そいう中で適材適所。先程、あのー、甲子園野球のこと、喩えを申し上げましたけども、今の自民党には、あー、何て言うんでしょうか、人事の遊びをしている余裕はないんだと、それぞれのベストメンバーを当てていくんだと、えー、今度野党になった総裁は、その信念を徹底しなければいけないと思います。

 ただ、私、まだ具体的に考えているわけじゃありませんが、色々と考えを巡らせますとね、なかなか難しいのは、人を知るっていうのは、簡単ではないんですね。あのー、自民党の中にも随分人材がいらっしゃいます。それぞれがどういう能力を発揮するかと、あの、何て言うんでしょうか、あのー、議員の、あの、年鑑を見ましてね、ずっと見ましてね、なかなか、そこは容易ではありません。その辺りをどうしていくか、というのは、普段の付き合いもありますけれども、かなり、色んな声に耳を傾けなければ、私はうまくいかない場合もあると思います。

 その辺りの、何て言うでしょうか、一方に偏してはなかなかできないのかなあという気もしております」

 (谷垣は終始一貫して派閥主導型政治の弊害から話を逸らしている。逸らすために「人事の遊びをしている余裕はない」などという。だが、この言葉を裏返すと、今まで派閥主導に任せた「人事の遊びをしている余裕」があったことになる。

 また、谷垣は派閥の機能に代る党の新人教育・新人発掘の機能の育成を説いていた前の発言を忘れて、ここでは「自民党の中にも随分人材がいらっしゃいます」と派閥の新人教育・新人発掘の機能を評価している。発掘・教育した新人が派閥温存によって後々政治的能力からではなく、派閥力学を受けて活動を左右される弊害の可能性こそを問題とすべきだが、物事を表面的に把える能力しかないらしく、頓着ない発言の進め方となっている。)


 自民総裁選/谷垣総裁選出は森喜朗が主役の派閥政治の延命治療(4)に続く
  


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 自民総裁選/谷垣総裁選出は... | トップ | 自民総裁選/谷垣総裁選出は... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Weblog」カテゴリの最新記事