――(各自別々の質問をぶつけたようだが、質問の声に雑音が混ざり、聞き取れない。それぞれの発言から推し量るしかない。)
西村「ハイ。えー、河野太郎先輩と何度も仕事を一緒にさせていただいておりますし、共通点も結構あります。えー、それはムダを削減していこう、ムダ撲滅のリーダーしておられて、私も一端を担ってやっておりましたし、えー、外務省外務委員長で、私は外務政務官で、勿論あの、意見の相違があったり、遣り取りすることもありますけれども、大きな方では外務省の改革をしていこうという点では一応一緒にやってきた面もあります。
で、違いはですね、えー、大きく言うと、二つあるかなあと、思っております。一つは、えー、まあ、それは生い立ちが全然違いますので、私は世襲でもありませんですし、それから田舎の選挙区を持っておりますし、地方の痛みを知っている。私自身は裕福な家でもありませんし、えー、本当に苦しい、人たちの選挙区もあり、また私自身、周りもそうであったということも含めて、それが分かる点、えー、この点は、えー、ま、私も勿論、あの、激しく遣り取りすることもありますけれども、あの河野さん、突破力とか、破壊力は圧倒的に強い。いいものがありますので、この激しい、いわばこの攻撃力、私も評価しておりますけれども、ここは先ず手法の違いがある。あるいは生い立ちも違いがある、というのが一つ。
(裕福な家庭に育たなかったから、貧しい人の気持ちが理解できる、田舎に育ったから、地方の痛みが分かると言うのは固定観念的。)
もう一つは、、えー、考え方の違いだろうと思いますけども、私は、あの、先程申し上げたような地域の共同体、競争原理ではない、えー、つながり、あるいは連帯感のある、そうした共同体があり、別の価値で、他の価値を求めて動いていく家族、健全な家族であったり、職業観であったり、という保守の、新しい保守、そうしたものをベースにしながらも、守りながらも、グローバル化し新しい時代をつくっていくという、そういう考え方に立っておりますので、えー、ここは恐らく違うんだろうと思いますね。
そして、まあ、追加して言えば、今まで色んな議論をした中で、原子力政策とかですね、日米安保、そうした問題で意見が違いますので、ま、保守の政策を私は、新しい政策を体現していきたいと思っております」
(何を言いたいのか、何を言っているのか意味不明。)
河野「森喜朗さんを初め、例えば談合で福田内閣をつくり上げた。ああいう人たちの古い政治のスタイル、というものが、自由民主党というものに対する信頼を、著しく損ねた、と思っています。特にこれだけ総選挙に負けたにも関わらず、そのあとの本当に党をどうやってつくり直すかという、極めて大事な総裁選挙であるにも関わらず、派閥の力を利用して、それに強行に介入してきた人間がいる、というのは私は極めて憤りを感じております。
小野寺さんにしろ、石破さんにしろ、本来なら、手を上げて、ここに立っているべき人なのに、あいつのところが何人か足らないから、お前、悪いけど推薦人になってやってくれないか。そういう頼みをする先輩がいるなら、私はこの党もなかなか捨てたもんじゃないと思いますが、あいつだけはダメだから、推薦人にはなるな、というみたいな介入をすることが、自由民主党をつくり直すときにどれだけ役に立つかと言ったらですね、まだそんなことをやっている人間がいるのか、ということにしか、見られないんだと思います。ですから、そういうところをきちっと切り捨てなきゃあ、いかん、というふうに思っています。
私は谷垣さんの政治家としての能力に疑いを持っておりません。しかし残念ながら、派閥を足場にして何かをやろうとしているというスタイルは、私は間違っていると思っていますんで、是非この総裁選挙を通じて、そうではない、そういうことを是非証明していただきたい、と思っています」
谷垣「先ず、派閥を足場にして何かをしたいというスタイルというご発言がありましたけども、私は派閥を足場にして何かをしたいなんて全く考えておりませんし、それは今後の行動で見ていただきたいと、おもっております。
それで、まあ、派閥の領袖を執行部に入れる入れるのか入れないのかを、ということでありますが、私はみんなでやろうぜということを言っておりますので、予めこういう人入れる、入れない、こういう、何て言うんでしょうか、判断基準を持って、執行部を選ぼうとは、あー、思っておりません。ただ私が考えておりますのは、やはり世代交代、政権交代が起こりまして、自民党のフェーズ(局面)も一つのページがめくられた。そうすると、今までと全く同じような顔ぶれで執行部を選んで、これが野党になった自民党が再生を目指すんですよと、いうわけにはなかなかいかないだろうと。やはり自民党の中で若い世代が育っている。次の世代が育っている。こういうことも示していかなければいけないんだろうと、思っております」
(派閥の弊害は一切ないと言っているのと同じ。結果として育っている若い世代が派閥の選別を受けて活動の機会が左右されることもないと見ていることになる。自身は上手に派閥力学に乗っかって政治の世界を巧みに泳いできたのだろう。)
――共同通信の小倉と言いますが、えーとあの、党総裁に関するお話は大分出たと思うんですが、あの、これからの総裁選挙戦でですね、えー、内政・外交について、政策面ではどういうことを訴えていくのか、ということをメイン的なものを一つ二つそれぞれ。先程谷垣さん、消費税の話がありましたが、あと、日米安保の話をいただけましたら、えー、その辺りを具体的にお願いします。
河野「順番で私から。あの、今度の総裁選挙はですね、まだそのレベルではないと、私は正直思っております。本来、あの、私が日程を決められるんであれば、もっと総裁選を後ろにずらしたかった。なぜなら、やはり自由民主党っていうのは、どういう政党なのかという議論を先ずきちっとやった上で、この旗の元に集まるのは誰なんだ、というのがあった上で、そこに集まった人間の中から、リーダーを選ぼうと言うのが、本来あるべき総裁選の姿だというふうに思っております。残念ながら、日程が先に決まって今日からスタートということですから、総裁選挙をやりながら、自由民主党と言う政党はどういう政党なのかという議論を一緒になってやらなければいけないことになってしまったというのは、私はちょっと残念な気がしております。
私は、その自由民主党というのはなるべく、小さい政府で、公の中で官が果たす役割は極小化していく。そして公正で健全な競争の環境をつくることによって、日本経済を切磋琢磨の中で成長させていく。そういうことを目指す政党なんだ。日本の経済が成長することによって、一人ひとりの豊かさが大きくなってくる。
あるいは一人ひとりがリスクを取って経済の中で挑戦をしてもらうためには、リスクを取って挑戦して失敗した人がきちっと受け止められるセーフティネットというものをつくらなければなりません。特に少子高齢化ですから、セーフティネット、社会保障、というのは残念ながら本来目指すものよりも遥かに大きくならざるを得ない。
その中でも大きな社会保障を抱えながらも、政府はなるべく小さくして経済成長をきちっと目指していく。そういう政党であるんだという旗が先ずきちっと立った上で、色んな議論を、政策議論をそこから細かくやっていくべきだと、私は思っております」
谷垣「私はね、あのー、政策論というのは野党になったときに、どのくらいやるべきかというのは若干迷いがございまして。先ず自民党は国民のために何をやる政党なのかという議論から、あー、出発するのが正しいと思っております。
それから国会論戦が野党になると、一番の主軸であると言うことを申し上げましたけれども、オー、与党の政策を、オー、徹底的に追及していくと言うことは、野党はやらなければなりません、問題点は。しかしそのとき、追及する視点がバラバラでですね、どんな政策だってそれは100点万点ありませんから、どこか欠点ありますよね。その欠点を指摘する視点がバラバラであったんでは、あー、何の党かということになると思います。ですから、私は自由民主党が保守政治の王道に立つんだと。まあ私の言葉で言えば、自由や平和を、きちっと守り、繁栄をつくり、そうして色々な人間の絆を大事にしてみんなでやろうぜという精神でやってきた。
そういう保守主義をきちっと位置づけるというところから出発して、政策論もそっから批判していくということになるのではないかと思っております。ただお尋ねですので、若干申し上げますと、先程申し上げましたように、やっぱり、これは、これだけの少子高齢化が進んでいる、国際的な競争も激しい、日本は資源が乏しいと、こういうことで、どうやって生きていくかということになりますと、そういったものに対応する改革を避けて通ると言うことは、できないだろうと、オー、思います。
で、そういたしますと、結局、同時にセーフティネットをもう少しほころびを直し、手直ししていくということは、必要だろうと思います。しかし結局それは最後は人の問題になってくるんで、以下に人材を育て、そしてやっていくかと、こういうことを考えていかなきゃいけない。それはやはり保守政党の視点から、考えたいということであります。
もう一つ申し上げますとね、やっぱり保守政治という場合は、何でも政府に頼ろうというんではなくて、政府も必要なとこは出なくてはいけませんが、やっぱり自分たちでできることは自分たちでやろうと言う精神が大事だと思います」
(「色々な人間の絆を大事にしてみんなでやろうぜという精神」とは派閥力学がつくり出す人間関係を重んじる協調精神のことなのだろう。
また「自由や平和を、きちっと守り、繁栄をつく」る。そういった旗印を掲げているのは何も保守政治だけではない。それが「保守政治の王道に立つ」ことによってのみ実現し得る理想郷――「自由・平和・繁栄」だとするのは余りの独善性、独りよがりに過ぎない。独裁権力者にしても、自分たち権力層に限った、特に自身の権力維持のみに役立つ「自由・平和・繁栄」を求めて、あくなき権力の追求に勤しむ。
問題はどの層に立った利害代弁者なのかである。大企業・富裕層の利害代弁者なのだから、そこに目を向けている以上、3人が言っている「セーフティネット」も、それを疎かにしてきたことが総選挙での大きな敗因となったことの裏返しとしてあるスローガンに過ぎない。)
西村「あのー、これから国会論戦になりますので、民主党はマニフェストに書いた政策を出してきますし、これは我々にとっても、どう対処するか、どう反論していくか、どう建設的な議論をするか、これは大事な課題だと思います。
一つは、えー、経済対策ですね。予算を、再編を、えー、国事業(「こくじぎょう」に聞こえたが)を初めとして使われていない補正予算を停めて、それを別のものに振り替えようということをやってきますので、えー、勿論、ムダな事業は彼らは見つけてきて、我々が気づかなかったムダ事業があれば、それを停めて、別のものに替えることは必要だと思います。
けれども、景気がますます悪くなり、地方の景、雇用が問題になってきている中でですね、えー、経済対策どうするのかという議論を、それは論戦も、民主党との論戦もそうですし、先ず、大きな課題として、これをやらなければいけない、問題だと思います。そんな中で、家計におカネを配るんでなくて、基本はやっぱり仕事を創ると、えー、雇用を生み出すと、いうことだと思いますので、私は大胆な法人税の減税、えー、それから、えー、今予算の組み替えについて公共投資でもムダなものがあればやめるとしても、環境とか、あるいは防災対策とか必要な対策については、これは停めると、支障が出る、ということを言っていかなければいけませんし。
そして子育て支援についてですね、2万6千円の出てきますので、えー、本当に金持にまで5兆円かけて配るのかと、財源どうするのか、あるいはそれが本当にいい政策なのか、私たちは所得制限を入れた、児童手当を拡充していくっていうのは、これは少子対策に意義があることだと思いますので、えー、そうしたことを、これから国会論戦でやっていかなければならないと思いますし、外交面では、二つのことを、地球温暖化の問題にどう対応するのか。本当に25%削減できるのか。ま、外から1兆円か何兆円かかけて排出権を買ってこれば、いいと言いますけれども、本当にそれだけの財源があるのか、あるいはそれを買ってくるんであれば、国内でそうした対策をやった方が経済対策になるんじゃないかと、そうした議論をですね、これから国会論戦の中でやっていきたいと思いますし。チームをつくって、しっかりと理論武装すべきだと思っております」
(バカな男だ。ムダは誰から見てもそうであるかどうかを判断の基準とすべきで、そうでない判断は自分たちが利害代弁している立場に応じてムダかどうかが決まってくる。自身の利害まで代弁している自民党族議員にとっては自らが予算をつけた事業に決してムダはないだろう。
また環境対策、防災対策だから、決してムダな事業はないと断言できない。事業方法による。官僚がよくやっている、他社との談合を経た随意契約に限りなく近い一社応札で事業を行っていけば、そこに高値契約というムダが先ず生じる。
「大胆な法人税の減税」も結構だが、そのことによって得た法人の利益がどう国民に還元されていくか、そのことを保証する政策がより重要だが、そこまで考える能力はないのだろう。)
――朝日新聞の山浦と申します。あの先程から河野さんの話の中でしばしば出てくる森喜朗さんについて伺います。えーと、それぞれお三方、まあ、例えば西村さんは森喜朗さんに近いとされています。あと河野さんといえば、しょっちゅう森喜朗さんを批判されています。あと谷垣さんは、いっときは森さんを総理から引きずり降ろそうとしたこともあるかと思うんですけれども、オー、これ自民党の再生にとってですね、森喜朗さんというのは害になるのか、それとも、オー、これから再生に必要なのか、そこを具体的に伺いたいです。
谷垣「私は先程申し上げましたように、みんなでやろうぜという考え方ですから、特定の方を総裁選挙に於いて議論すると言う、そういう考え方には立っておりません」
(「みんなでやろうぜ」の一言で、派閥主導型政治の体現者である森喜朗問題を片付けている。)
西村「えーと、私、石川県庁に出向したときにですね、えー、当時から、国会におられたので、そのとき以来、あるいはつきあいであります。で、あのー、ま、私の色んな政策面での能力なんかを評価をしてくれているんだと思います。まあ、自分で言うのも何ですけど、思いますので、えー、そういう意味ではご指導頂いているお一人でありますけれども、私自身は、今回総裁選に出るに当たっても、私が出ますと言って、了解はいただきました。お世話になっている人ですから、それに仁義を尽くすのは当然だと思います。
えー、ただそれ以後、えー、何かを頼って、えー、推薦人集めをお願いをしたり、えー、邪魔をしてくれと言ったりそんなことは一切やっておりませんし、自分の力で総裁、えー、推薦人を集めたわけでありますので、そういう意味では、えー、今回の総裁選に絡んで何かを頼んだりしたことはありません。えー、今後の害になるかというかと、まあ、個人の人のことを、まあ、そういうのは適当かどうか分かりませんけれども、えー、基本的に私が知っている森さんはですね、もう自分で何かしようと、そんなことを思っておられるんではなく、若い人にどんどんやれと、そういうことを思っておられると、私は、個人的には思っておられますが、まあ、イメージが一般的にどういうイメージができているか、色んなイメージができていますが、それ以上のことは私には分かりませんけど、基本的には行動隊、若手が中心になって自民党を変えていけと、そういう思いを持っておられるとそういうふうに思っております」
(谷垣も西村も「自民党再生にとって森喜朗は害になるのか、再生に必要な存在なのか」との問いに直接答えていない。谷垣は「みんなでやろうぜ」「全員野球」だとしているが、政策の違いや人間の違い、好悪を無視して、すべての人間を等価値に置く不可能を可能と看做している。野球チームにしても、全員野球だからといって、すべての選手を等しく必要とするわけではない。活躍できない選手はベンチウォーマーに甘んじなければならないし、二軍に落とされもする。最悪、シーズン途中で解雇ということもある。シーズンを無事に終えても、來シーズンは契約の意志はありませんと球団から解雇通告を受けることもある。必要とするのは監督の采配に従って活躍できる野球能力を持った選手のみである。監督の采配を阻害する選手は排除される。
一人の洩れもなく全員が必要だと言うなら、森をも党再生に必要な存在だと言うべきだろう。)
河野「党のかつての総裁、総理でありましたし、かつての野党の河野総裁の元に幹事長を務めて、与党に戻った。えー、そういう過去の功績はあると、私は思っておりますが、そろそろ出処進退をお考えになるべきだと、私は思っております。
あのー、これだけ惨敗したあとの総裁選挙ですから、奇麗事ではやはりダメなんだと思います。あの、きちっと変えるべきところは変える。そういうことでなければ、私はこの党を再生させることはできない、というふうに思っております。
あの、総裁まで務めた方がですね、議員バッジがなければ何もできないと言うことは恐らくないんではないかと、私は思っておりますんで、そろそろ出処進退をお決めになられるべきときはきていると思っております」(以上)――
(誰が総裁に選出されるかによって、自由民主党の派閥主導型政治の動向がはっきりしてくる。)
18日自民党総裁選共同記者会見続き
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