現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

ノヴェンバーステップス

2008-02-07 09:50:49 | 虚無僧日記
1/25、武満徹の『ノヴェンバーステップス』が
愛知県芸術文化センター・コンサートホールで
再演された。演奏は、セントラル愛知交響楽団。
尺八は野村峰山。琵琶は北川鶴昇。野村峰山氏
から招待状をいただき、聞かせていただいた。

知る人ぞ知る、「武満」の名を一躍有名にした曲だ。
もう3.40年も前だろうか、新進気鋭の小澤征爾が、
尺八の横山勝也と琵琶の鶴田錦糸を連れて、ニュー
ヨークに渡った。ニューヨークフィールのメンバーは、
日本からの“へんてこりんな楽器”と日本人指揮者を
馬鹿にして、とかく反抗的、非協力的だったという。
しかし、演奏が終わると、聴衆は総立ちで万来の拍手。
世界の武満、世界の小澤、そして尺八が世界に認めら
れた輝かしい瞬間だった。

この『ノヴェンバーステップス』を聴いて、尺八を
始めたという人も現われ、尺八は一時的にブームと
なった。私の青春時代だ。

その鶴田女史も亡くなられた。横山氏も病に倒れ、
もう舞台には立てない。
武満徹が亡くなった時、英米仏のメディアは一面
トップニュースで報じたのに、日本の各紙は訃報欄に
載せただけだったことも、世界的ニュースとなった。

そんな思い出が込められた曲が再演される。我々尺八
第二世代にとっては感動的なことだ。野村峰山氏も
同じ思いを手紙に綴っている。40分もの大曲を全曲
暗譜というのもすごかった。野村氏の、この曲に賭ける
並々ならぬ熱意のほどを見せてもらった。