ケイの読書日記

個人が書く書評

谷崎潤一郎「猫と庄造と二人のおんな」

2006-02-05 19:47:19 | Weblog
大好きな本・読んだ本


 少し前に、ぶう坊さんが紹介していた「猫と庄造と二人のおんな」を私も読んでみました。


 猫を溺愛する一人の男。その男と姑にいびり出された前の女房。かわって後釜に入った持参金つきの今の女房。

 この庄造という猫にくびったけの男が、本当にふがいない。家業の荒物屋がサッパリなので、外に勤めればいいのに、それも長続きせず、家で猫のリリーと遊んで暮らしている。

 結局、前の女房の内職賃金か、今の女房の持参金か、秤にかけると、持参金の方がうんと重かったんだろう。


 困窮する生活を自分でなんとかしようとする気持ちは全く無い。庄造の母親もそう。庄造にとっては従姉妹、姑にとっては姪にあたる現在の女房をなんとかつなぎとめようと必死。
 逃げられたら庄造たちの生活は成り立たなくなるから。


 いったいこの先、この夫婦はどうなるんだろう。でも、女房に男出入りが多少あっても、なんといっても女房の持参金、女房の実家の援助で食べていることを、よく自覚している庄造とその母親だから、案外長持ちするかも。
コメント (8)
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