ケイの読書日記

個人が書く書評

横溝正史「本陣殺人事件」

2006-02-24 13:39:09 | Weblog
大好きな本・読んだ本  


 横溝正史の古典的名作。


 すごく有名な作品なので、前々から読んでみたいと思ってはいたんですが、実はこのトリックを、読む前から知っていたので、今まで本を手に取らなかったんです。

 子どものころ雑誌の付録に付いていた推理小説のトリック集を読んで、覚えていました。

 クリスティの「オリエント急行殺人事件」もそう。はっきり覚えています。優れたトリックほど印象に残るから困ります。

 だから誰が犯人か、どういったトリックを使ったかは、前もって知っているけど、別の意味で十分読み応えありました。


 この「本陣殺人事件」は、探偵金田一耕介のデビュー作なんでしょうか。だって金田一耕介のプロフィールまで本文中に紹介されています。


 東北の出身で東京の私立大学に籍をおいてゴロゴロしているうちに、ふと思いついて渡米する。そこで、麻薬中毒になりかかったが、サンフランシスコの日本人間で奇妙な殺人事件が起こり、それを見事解決。それが縁でスポンサーがつき、カレッジを卒業。日本に戻って探偵事務所を開く。


 ミルン「赤屋敷の殺人」に出てくる素人探偵アントニー・ギリンガムがモデルらしいけど、このギリンガム探偵もさえなかったなぁ…。


 アメリカ滞在中、麻薬常習者になる、という設定は、ホームズがコカイン常習者だったという所からきているのかなあ。



 しかし、金田一君がアメリカのカレッジを卒業しているとは!だったら出る所に出る時、背広ぐらい着てほしいです。


 横溝正史の中では、比較的論理的でスッキリした作品。いつもは金田一君が登場しても何件も殺人事件が起こり、この人何のためにいるんだろう、と不思議に思うことも多いんですが、この作品では金田一君活躍しています。
コメント (6)
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