ケイの読書日記

個人が書く書評

エラリィ・クイン「チャイナオレンジの秘密」

2006-11-07 15:53:57 | Weblog
 エラリィの友人の事務室控室で1人の男が殺された。その室内では、死体の着衣や絨毯は裏返し、本棚は壁を向き、動かせるもの全てがあべこべになっていた。
 被害者の身元を示すものは何もない。わざわざ面倒な細工をした犯人の意図は?


 この作品最大の謎「なぜ犯人は時間がかかるという危険を犯してまで、室内のものすべてをあべこべにしたか?」に対する論理的な答えはキチンと示されていて納得できますが、キリスト教の色んな宗派のことに詳しくない日本人にとっては難問。
 それよりもっと原始的に『音』で考えてみれば、犯人は一発でわかります。


 中国の事を「あべこべの国」と言ってみたり、その当時の(1934年)白人系アメリカ人の正しいとは言い難い東洋感がいたるところににじみ出ていて、ちょっと居心地が悪いです。
 日本の事ももちろん出ています。(満州事変で中国へ侵略の手を伸ばしている、という記述があります。)


 私は9作目の「スペイン岬の秘密」を一番最初に読んで、それから第一作目にもどり順番に読んでいったので、コレで『国名シリーズ』を全部完了。

 年の始めの目標「国名シリーズを全て読む」を達成できました。
 さすがに、作中の登場人物に愛着がわきますね。特に父親のリチャード・クイン警視が私の好み。

 自慢の息子のエラリィとの親子喧嘩はトリックより面白いです。
 「クイーン警視自身の事件」とかいう作品があるそうですが、これもぜひ読まなくては。
コメント
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