ケイの読書日記

個人が書く書評

中村うさぎ「私という病」

2007-12-30 15:02:17 | Weblog
 中村うさぎは私と同い年である。ということは相当なオババだが、その彼女が「人妻デリヘル嬢」をやってみて、その体験をまとめたもの。
 これって、結構、週刊誌で話題になっていたよね。

 自分の女性性を突き詰めていって、上野千鶴子や小倉千加子よりももっと優れたフェミニズムの本になっているのだが、正直、疲れる。
 「私は…私は…」「我々は…我々は…」自分の内面を掘り下げるのも大切な事だが、そればかりで自分以外のものが見えていないような印象を受ける。


 この人も、季節の移り変わりや、飛んでいく雲や、夕焼けの美しさにふと心を奪われるという心境になってもいいような年齢だと思うけど。
 まあ、そうなっては中村うさぎとはいえないかもしれない。


 自分でも終わりの方に書いているが、中村さんは「女である事」を良くも悪くも過剰に意識しすぎなのだ。
 「男の欲望を刺激しない女は存在する価値が無い」という理屈を、中村さんは憎みながら肯定している。


 そして、いやいやお義理で亭主に相手してもらっている女房を、かわいそうとか人間扱いされていない、とか書いているが、世の中めんどうでやりたくない、という女もドッサリいると思うな。
 男の欲望を刺激する女ばかりだったら、男自身がさぞ困るでしょうね。


 私はそれよりも、中村さんが「女としての存在意義」ばかりに関心を持ち、「生物としての存在意義」にちっとも興味を持たないのは本当に不思議だと思う。
 「種の保存」という欲求は無いのだろうか?
コメント (6)
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